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Javaで学ぶ魔法入門  作者: つむらてんほ
第四章 イザリー成長編
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ギルドデビュー②

2016/12/08訂正:本来は後書きに入れるべき補足が本文に入っていました。申し訳ないです。


(初めからおかしいと思ったのよね。あたしの目線外すとかありえなくない?)

 エミリアにとって、この青年、ギルドカードが本物(・・)であればジョージ・ミウラーという…………は不審者以外の何物でもなかった。

 なにせエミリアの顔を見ない、目線を合わせない、おまけに胸元にも目をやらないのだ。

 それが彼女の人気の理由の一つなのだが、エミリアはギルドの制服…………ハイノウンギルドカラーの緑のチョッキに、白いブラウス…………そのブラウスのボタンを2つ外して、わざと薄く透けた白い下着(ブラジャー)とそれなりに豊かな谷間が見えるようにしているため、エミリアがいままで相手した人族の冒険者で、その顔や胸元に目のいかなかったものはいない。

 ましてや青年は二十歳前後、年より落ち着いて見えるので若作りだったとしてもせいぜい二十代前半のお年頃だ。

 狐族の少女がいる(女連れ)とはいえ、客観的に見たとしても、自分が彼女(狐ごとき)より魅力がないとは考えられない。

 実際はジョージの実年齢は三十八歳であり、それがそのまま彼女いない歴という童貞の上、女っ気のない危険な開発現場(デスマーチ)が主な仕事場だったために女性慣れしておらず直視できなかっただけだったのだが、もちろんエミリアはそのことを知らない。


(それにこのギルドカード)

 提示されたギルドカードは、確かにハイノウンギルドの紋章があり、本物にしか見えない。

 しかし、その加入経過日は1日となっていた。

 すなわち昨日このギルドに来ていたはずなのだが、彼女が青年を見た覚えはない。

 たまたま休憩中であったり席を外しているタイミングに来たのかも知れないが、そうだとしてもギルドカード発行は一つのイベントであり、必ず話題になる。


 おまけに、依頼票を受けた形跡がないのにランクはC-である。

 何らかの方法で100万ベーブを支払って仮免を外した上で、さらに魔石を売却してC-にしたということになる。

 そもそも魔石には倒したパーティメンバーの固有魔力波長が刻まれるので、ギルドカードの上に載せれば、本人が倒したのかそうでないかはすぐにわかる。

 魔石売却はモンスターを倒したパーティにいないと功績には加算されないため、魔石を誰かから譲ってもらったとしても、それを100万ベーブの支払いには使用できても、ランクアップ功績には使用できない。

 Sランクパーティに小判鮫(お荷物)でもしてBランクモンスター数十匹かAランクモンスター数匹分の魔石を譲って貰うといった方法でも使えば可能かも知れないが、こんな若造がそんな危険なモンスターがいる場所に行けば即死するだけだ。


 よって、エミリアが出した結論は

(ギルドカードを偽造するなんて、大胆な)

だった。


 ギルドカードはギルドが身分を証明する以上、その偽造が発覚すれば全世界のギルドから生死を問わないまま指名手配される。

 冒険者にとっても偽造を放置すれば自らの身分証明が危うくなるため必死で捜索するということもあり、今まで偽造事件は2回あったが、どちらも3日経たぬうちに指名手配者死亡(まともでない死に方)で解決している。

 これは世界の”常識”であり、だからギルドカードを偽造するものはいない。

 もっとも、どこかの国(トック)では貴族(タウロン家)三男(ボルト)に頼まれて、地方の町のギルドマスターがランクをねつ造するということが行われたという噂がないわけではない。

 たとえそれが事実だとしても、地方のギルドマスターが個人裁量で付与できるのはEランクまでなので、それから先はパーティメンバー(優秀な家来)の手助けがあったとしても、死と隣り合わせの冒険という、本人の努力によって上げるしかない。

 ましてや、このギルドカードの発行元は実力主義国家(トッサム)首都(ハイノウン)ギルドだ、そんな個人裁量など王族相手でも許すわけがない。


「それにしてもお若いですね」

 時間稼ぎに放たれたエミリアの必殺の笑みも、それを見ようとしない青年には効かない。

 むしろ狐族の少女のほうが、わー姉さん美人ーという顔をして見惚れていたのだが、青年を警戒していたエミリアは気づかなかった。

「魔石、確認しますね」

 酒場から2人のギルド職員、元冒険者のスティードとグランがさりげなくギルドの入り口近く、逃走を防げる位置についたのを見て、エミリアはさらにギルドマスターが来るまでの時間を稼ぐために袋の中の魔石をカウンターに広げた。


「ひゃ!ふぁ!ふぇ?」

 思わず淑女(受付嬢)にあるまじき声を出したせいでエミリアは周りの注目を浴びたのだが、彼女にはそれに気づく余裕はなかった。

 カウンターに設置された鑑定用の特殊光(ファインライト)によって緑色に輝いた、精巧な亀の形をした(グランタートルの)魔石4つと、その光を浴びて同じ色の輝きを放つギルドカード。

 これの意味するところは、ギルドカードは本物であり、青年がグランタートル(Bランクモンスター)を倒した本人であるということなのだから。


 ファインライトはギルドカードの固有魔力波長と魔石に刻まれた固有魔力波長をマッチングするため、単にギルドカードにファインライトを当てても真贋の鑑定はできません。

 そもそも偽造されないという前提がある上、依頼達成による功績ポイント書き換えや魔石売却の際に本物であることがわかれば十分、という考え方です。


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