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Javaで学ぶ魔法入門  作者: つむらてんほ
第四章 イザリー成長編
27/64

ギルドデビュー①

2016/12/07 修正

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 ハイノウン、冒険者ギルド。

 まだ隣接されたあ酒場で飲むには早い時間(午後4時)ということもあり、混雑はしていないが、それなりに依頼を終えた冒険者()はいる。

「なあ、いいだろう、仕事終わったらちょっと軽く一杯だけ、な?」

「ごめんなさい、仕事がいつ終わるかわからないの」

 冒険者ギルドの受付嬢、ハーフエルフのエミリアは笑みを浮かべながら、やんわりと断りを入れる。

「待つ待つ!いつまでも待つからさ!出待ちするよ!な?」

(どれだけ待っても裏の寮に住んでるから無駄なのに…………)

 エミリアはそれでも笑みを絶やさない。

 周りから受ける非難の視線を無視しながらエミリアに話しかけているのは竜人族の青年だ。

 名をボルト・タウロンという、半年前にトック帝国からハイノウンにやってきて、そのまま住み着いたC-ランク冒険者だ。

 たった半年でDからC-まで二段階上がっていることからもわかるとおり、新進気鋭の若手冒険者である。

 ただ、彼の素行(女性関係)には多少の問題があった。

 特に最近はエミリアにご執心であり、毎度毎度長時間カウンターを占拠して口説こうとする。


 エミリアは昨年冒険者ギルドの受付嬢に抜擢されたばかりの新人ギルド職員だ。

 耳こそエルフの特徴を受け継いで長耳だったが、ハーフエルフにしては珍しい童顔を持ち、美人ではないがかわいさと、その初々しさからハイノウンギルド受付嬢でも人気は高い。

 ただ、その容姿から侮られがちであるが、30倍という求人倍率を潜り抜けてギルド職員となったことからわかるとおり、それなりにしたたかであり、どれだけしつこくてもボルトを手酷く振って怒らせるほど頭が悪いわけでもない。

 ボルトの長い口説きはいつものことであったためエミリアのカウンターにはボルトしかいないのだが、その分、周りのギルド職員の前に列ができているのを見てエミリアが表向きは笑顔で、裏ではどうやってボルトを追い払おうか考えていたときだった。


 ギルドの扉が開かれ、見慣れない人族の青年と、狐族の少女(といっても、恐らく子供を作れる年齢(14歳以上))が入ってきた。

 ギルドの中が一瞬静寂に包まれたのは、二人の姿がおよそ冒険者にふさわしくない恰好…………着流しと和…………だったからもあるかも知れないが、それよりも今まで見たことがない、つまり新入り(ルーキー)よそ者(フォーリナー)だからだろう。

 青年は周りから受ける胡乱げな視線を気にすることもなく、珍しそうにあたりを見渡し、そしてそこだけ行列のないエミリアのカウンターに並んだ。

 その横には、こちらは恥ずかしそうに顔を赤く染めながら、狐族の少女が立つ。

 よく見れば青年の裾を掴んでいる左手が震えていた。


「ボルトさん、後ろに並んでいる方がいますので、この話はまた今度」

 エミリアが作ったすまなそうな表情を真に受けたボルトは、エミリアの視線が自分から外され、後ろの冒険者に向けられたのを悟って、これ見よがしに「ちっ」という舌打ちを青年にすると、しぶしぶとまだ空いているギルド併設酒場へ向かい、一番手前、つまりエミリアに一番近い席に座った。

 もちろん、エミリアとの楽しい会話を邪魔した冒険者に殺気を漲らせた視線を送り続けるのも忘れていない。


「ハイノウンのギルドへようこそ!エミリアと申します。今日はどういったご用件でしょうか」

 その笑みに業務以外のものが含まれているのは、この青年が間接的にではあるがボルトとのうんざりするような会話を打ち切るきっかけを作ってくれたからであろう。

 青年は巾着から袋を取り出すと、カウンターの上に置く。

「魔石の売却に来た」

「初めての方ですよね。ギルドカードはお持ちでしょうか」

「あー、すまん、先にカードを見せるのがルールだったっけ」

 青年は左手で頭をぽりぽりと掻くと、右手で懐からギルドカードを出しカウンターに置くと、遅れて狐族の少女も巾着からギルドカードを出してカウンターに置く。

 ギルドカードは他人が使ったり同意ないまま見られないように本人固有の魔力波長を認証して1分だけ表示されるため、個々で掲示する必要があるのだ。

「拝見しますね」

 エミリアはにっこりと微笑みながらカードに目を通すと、こっそりとカウンターの下のギルドマスターコールボタンを押した。


 ギルド職員のカウンターの下には2つのギルドマスターコールボタンがついている。

 1つは青、こちらはボルトのようなしつこい冒険者に絡まれているというような、ギルドマスターが顔を見せれば解決するようなときのボタンであり、もう1つ、赤いボタンは、極めて緊急性が高いときに押すボタンである。


 彼女が押したのは赤いほうのボタンだった。


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