ハイノウン城内会議③
2016/12/02修正したはずが修正されていなかった。化け物屋敷→忍者屋敷、素晴らしいの味→素晴らしい味の
ジョージを含めたその場の全員が席に着くと、扉から犬族のメイドが現れ、人数分のカップを用意し、そこに茶を注ぐと一礼して立ち去った。
(忍者屋敷かここは)
ジョージは落ち着いて見えたが、内心驚愕していた。
ジョージが騒動を起こしたとき、廊下に人の気配はなかった。
今のメイドがどこから現れたのか、まったくわからない。
「さてではわしが仕切らせてもらうがいいか?」
ゴフランが話を切り出す。
「ではまずトッサムは知ってのとおり…………いや、知らんかも知れんな。なにせアンディを知らなかったくらいじゃから」
「…………ほう。門兵か」
「悪く思わんでくれ、ギルドマスターは耳が多いんじゃよ」
(さすがというべきか)
ジョージがマーロックを知らなかったことでイザリーが驚いたのはハイノウン城に入る時だ。
城を案内していたマーロック本人も、付き添いの騎士もゴフランに伝える機会はなかったはずである。
門兵のどちらか、あるいは両方にゴフランの息がかかっており、伝えたということであろう。
「トッサムについてどこまで知っておる?」
ジョージは村長からトッサムの基礎知識については聞いている。
「トッサムは南の大国であり、不定期にやってくる南海からの魔族侵略に対抗するための国家のため、世界最強と言われる海軍を保有している、程度のことくらいしか知らない。あとは実力主義と言うことか」
「そのとおり。トッサムは実力主義。王族は別じゃが貴族ですら基本は世襲を認めておらんほどのな」
「良い考えだ。二代目が無能というのはよくある話だからな。トッサムでは能力さえあれば歓迎される。たとえ他国で曰く付きであったとしても」
「うむ。おかげトッサムは優秀な人材が集まっておる。たとえ癖があろうとそれを飲み込み従わせるだけの力もあるんじゃが、それにしてもじゃ」
ゴフランはため息をつくと、お茶をすする。
「物事には限度というものがあってじゃな。さすがに宮廷魔術師全員の魔力を足したより巨大な魔力保持者なんぞ、どうすればいいのかという話じゃ」
「俺は別に敵対するつもりはない」
「そういう問題ではなくて、どう扱うかという話なんじゃ。…………メリッサ頼む」
「はぁ。仕方ないわね。ようするにあなたの魔力が767とかとんでもなく高いってことはわかってるの。でも、その魔力に見合った実力があるかってのは別の話なわけ。単に魔力が高いだけなら、ころっと死んでしまうかも知れない。それってトッサムとしては国家的な損失なのよ。冒険者なんて、わりとあっさり死んだりするから、そうならないように誰かをフォローにつけないといけないでしょ。そのへんの人選はゴフランがするんだけどね。もっとも、本当に実力もあるなら、ソロでやってもらってもいいのだけど、うふふ」
「なるほど」
メリッサは、まるでジョージに実力がないような言い方をしているが、能力があってほしいと思っていることが態度には現れていたため、ジョージが不快になることはなかった。
…………めんどくさい女だな、とは思ったのだが。
「だから、試験させてもらっていいかしら。簡単な競技魔法の」
「もちろん構わない」
ジョージは競技魔法というのが何かは知らないが、ようは競技プログラミングのようなものだろう、と、おおよそ想像することはできた。
ジョージ自身は興味はあったのだが、前世で競技プログラミングに直接参加した経験はない。
ただし、勉強会でお互いにコードを書いてみせるということは行っていたため、即興でコードを書くことには慣れていた。
「そう、じゃあ付いてきてくれるかしら!レッツゴー魔法競技場!」
メリッサは勢いよく席を立つと嬉々としながらジョージの手を引っ張って立たせ、このまま逃がすものかと言わんばかりの勢いで部屋の外へと連れ出す。
それを見て、マーロックとゴフランが後に続く。
「あ、ちょ、ま」
今まで飲んだことのない、素晴らしい味のお茶に浸っていたためもあって出遅れたイザリーは、慌ててお茶を飲み干してカップを置くと小走りで一同の後を追い、部屋の入口で躓いて転び、涙目になるのであった。
イザリーはオチ要員。




