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天上の皇子  作者: ひろやん
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第1話 皇子の帰還

 プロローグは3人称視点でしたがここからは主人公視点で書きます。

 生きている。俺は天に昇り日に向かったはず。暖かい、ここはどこだ。


『キュウ…』


 キリュウ?たしか俺はキリュウと同化したはず。でもキリュウはここにいる。…そうか、同化せずに俺を守ってくれたのか。でも俺の体はもう人ではなくなっている。胴が長く伸び、羽と尻尾がある。間違いなく今の俺の体は龍だ。


『ですがまだ人に戻れます』


 誰だ?いや、この神気は天照大御神。複製品の三種の神器に込められていた神気と同じだから間違いない。


『私の末の子よ、よくやってくれました。あなたが魔を日の元にさらしてくれたおかげで魔を滅ぼす事ができました』


 けれども犠牲は大きかった。俺は妹を失った。


『そうですね。ですがかの姫の魂は今は愛する者と共にいます』


 クオウ…


『さて、今は地上の者の事よりもあなたのことです。あなたにはこれから2つの生き方が有ります。1つはこのまま龍として高天原で暮らす事。もう1つは人の子に戻りヤマト以外の地上に降りること。どちらを選んでもヤマトには帰れないことだけは覚悟してください』


 ヤマトには戻れないのですか?


『無理です。ヤマトでの生は失われたものと思ってください』


 キリュウはどうなりますか?


『あなたが高天原に行くのであれば私の力で穢れを除き故郷の天界に戻しましょう』


 キリュウは元々天界の生物でありながら地上の穢れで天界に帰れなくなった過去があったけ。


『そしてあなたが地上に帰るのであればあなたの命が尽きるまであなたの守護を続ける事でしょう』


 それは、俺が人の道を諦めればキリュウは故郷に帰れるのか…


『グオォォォ!』


 キリュウ?


『人の子と共に有る事を望みますか。応龍よ、あなたは人と共に生き、徳を積む事で穢れを祓う最中でしたね』


 キリュウ、ありがとう。やっぱり俺は龍としてよりも人として生きたい。


『分かりました。では今は眠りなさい。その身を人に戻す為に。そして傷付いた心を癒すために』


 天照がそう言うと俺は天照の神気に包まれた。ますで赤子に帰って母親に包まれているかのようだ。


『お休みなさい。愛しき私の末の子よ』


 天照の言葉を最後に俺は長い眠りについた。


 そして長い、長い眠りの末、俺は天照に呼び起こされた。


『起きなさい、末の子よ。目覚めの時です』


 天照…。夢を見ていました。クオウはサクヤの魂と一緒に旅をして最後にサクヤが生き返る夢です。俺も時々2人の事を助けたりしました。


『それは夢ではありません。すべて地上で起きた事です。2人は今ヤマトより遠き地で幸せに暮らしています』


 そうですか、子供もいたし俺はもう伯父さんか。


『あのものにはあなたがヤマト以外の地に降り立つ事を知らせました。そしてもう一度あなたに仕えるために待っています。あと今回の手柄の褒美も預けて有るので受け取ってください』


 褒美だなんて、死を覚悟したのにもう一度人として生きられるだけでも十分です。


『もう用意して有るので遠慮なく受け取りなさい。それとお願いがあります』


 お願い?


『地上に降りたら聖杯を探しなさい。私の為にもあなたの役にも立たないものですが時代が必要としています』


 よく分からないですけど困っている人を助けるために必要なんですね。


『そう思って構いません。最後にこれからあなたが降り立つアルビオンは小さな国が群雄割拠しています。かの地の神々とは話をつけてあります。目立たずひっそりと暮らすもよし。王となって国を創るもよし。ただ私の末の者として恥じないように生きなさい』


 天照…、ありがとうございます。


『それとこれは餞別です』


 これは十握剣。


布都御魂剣(ふつのみたまのつるぎ)の神気を分け与えられた複製品です。もし国を創るのなら役に立つでしょう』


 ヤマトを作ったときと同じ、弦を担いだという事ですか。


『そういう事です。ではこれでお別れです。行きなさい私の末の子よ!』


 そう言われて俺は天から地上に向かって落とされた。


 地上は青くて丸かった。そして水気を操れて空を飛べる応龍であるキリュウがいなかったら落下による暑さと(大気圏突入の摩擦熱)落下の衝撃で死んでいたかも知れないという恐怖を味わうのだった。

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