壊れた続きの
こんな場所にいる気がします
空の色が今日は不思議な具合に透けていた。
隣の君はもう既に、私には届かない言葉を発し始めていて、君と意思の疎通が取れなくなった事が悲しくて、私はわんわん泣いている。もう全部壊れてるに違いないのに、何故か止まらずに動き続けてる町。
スーパーでパックにしき詰められている魚がお店の中を泳ぎ回ってる。生臭い匂いを振りまきながら、もうどこにもないはずの海を求めて彷徨うお化けの群れ大行進。
もうみんな引きこもっているんだから、誰も登校しない学校の無意味なチャイムの音量が、壊れているので世界中に鳴り響く。昼休みは終わりらしい。蛇口をひねれば色とりどりに光る油が溢れるように流れ出していて、近所の排水口からソーダの泡がぱちりぱちりと私を笑って消えていく。
私の方が消えてしまいたいのに、そんなこと。
誰も食べない温かな食事をせっせと作る祖母と、それを電子レンジで冷やしちゃってる母。私のご飯なんてどこにもないからお腹が空いていた。公園のブランコ、風も吹かないから揺れることもできなくて、台風に恋焦がれて翌朝壊れてた。
みんな馬鹿みたいにおかしな具合。
私一人でまともぶって、穴だらけの耳を今日も可愛く飾り付けてる。
何も聞こえない。
もう夜なのに透け続けてる空も勘違いだった。