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ゴシック体と

頬にかかる横髪がひたひたと憂鬱に浸かっていた。

私は布団に包まれながら、息苦しくてもがく。

手を伸ばしてモバイル端末を引きよせる。

光がともり、現実と繋がった。

私に向けられた言葉はまるでゴシック体でかかれたようなもので。

その中からポップ体を見つけて少し喜んでみたり。

少しずつ憂鬱が引いていき、なんとか息ができるようになった。

最近寝ていない私の頭は未だによく働かない。

カフェインに頼ろうかと思いながら言葉を送る。

言葉は飛ばない。

画面の奥底へ沈んでいった。

起き上がりなんとなく外へ出た。

沈んでいく言葉と相違していく私は飛んでいった。

言葉だけ、それだけは飛ばない。

鳥のような私であれ、魚のような言葉であれ。

まだ日は昇っていなかった。

電灯が消える寸前の朝。

まだ夜なのかもしれなかった。

腕に巻き付く時計を見ればそれも分かるのかもしれなかったが、知りたくない。知らなくてもいいと思った。

今私は朝と夜の間から。

宇宙の空気を吸っている。

パジャマにコートを羽織っていただけの私は、冷たい空気に身震いした。

ほんのりと香る透明な氷を拾い上げた。

氷はふふふと笑った。私もえへへと笑った。

ぽーんとそれを放り投げた。

まるで泣いているみたいに、それは霞んで消えていった。

遠くに新聞配達のバイクの音がした。

無機質な音の中に、いてっというお兄さんの声が聞こえた気がして、私はまた笑った。

さっきまで憂鬱に濡れていた横髪はもう乾いていた。

ゴシック体のみんなへ、飛べ。

私はもう一度こたつにて沈もう。

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