パイロット
今日は雪が降るはずだった。
でも雪を見たりすると好きな人のことがきっと頭から離 れなくなってしまうんだろうからいいや。
朝は体温が全然上がらないので暖かい飲み物を飲んで外 に出ます。
ちなみに私の自転車は壊れかけているのでカラカラと音 がなります。
中学生の頃から使っているので、なかなか長い間使って います。
行きたい日も、そうでない日も私はこの乗り物に乗った り乗せられたりして学校へ行きました。
あと8日。
あと8日でそれも終わるらしいのですが。
そういえばいつものように、今日もまた忘れ物が酷かっ た。
大切なものを2つも机の上に置き去りにしてしまったの です。
忘れもののせいで憂鬱がやってきました。
どうしても私の後ろをついてくるので、駅に着いてから ドーナツ屋さんで輪っかを3つほど買って追い払いまし た。
買ったけれど食べる気はありませんでした。
どうやら私はドーナツが買いたかっただけでした。
少し困りました。
学校について教室に入ると怪獣とジャイアンがいました 。
目が合いました。ばきゅーん
心の中の拳銃で倒しました。
でも現実の2人は今日も元気です。
ずんずん進んで私の席へやってきます。
そしてなにやら話し始めます。
使っている言葉が違うのか、私には全然意味が理解でき ません。
曖昧にぼかした表情を取り出しておきます。
そのまま10分、皮膚痙攣です。
いつのまにか先生がきていて、チャイムが鳴っていまし た。
テスト返却が始まります。
不可のないテストに安心して2時間目から爆睡です。 途中で起きたときには机から落ちそうでした。
びっくりするくらいどうでもいい夢でした。
お昼ご飯の間は暇です。
親しくない人の前で食事をするのは苦手だから。
クラスの人がお弁当やらパンやらを食べているのを見な がら適当に相槌をうちます。
私は本を読んでいたかった。
午後から体育があった。 卓球をしていた。
先生に呼ばれていってみたら髪型を怒られた。
知らんよ知らん。ほっといてくれ。
そう思いながらはいすみませんでしたと魔法の呪文を唱 えました。 ほらこれで大丈夫。
意味なんてないんですね記号としての言葉だよ。
放課後教室の外に友だちが2人いて一緒に部室に行きま した。
今週末の用事に向けてコピーしたい物があったからです 。
友だちと話すのは楽しい。
意思の疎通を感じられるのが、こんなにも嬉しい。
忘れ物の鬼がついている私のせいで迷惑をかけてしまっ て泣きたい気分に包まれます。
節分では忘れ物鬼を払わなければならないようでした。
その上、友だちと二人であだ名をつけたコピー機は不調 。
友だちの一人は自動車学校へ行ってしまいました が二人でなんとか乗り切りました。
しかし先生が現れて結局お説教です。
二人で怒られるのは2度目だった気がします。
怒られたので脱走。
奥の方だけ電球が切れた廊下。
窓からしみる冷たい青。
何もかもが久しぶりに見る景色で、友だちの後ろ姿見な がら少し、寂しくなってしまいました。
二人でこれは懐かしいねと話しながらかえりました。
それから駐輪場の光の下で話しました。
時々電球が切れ て真っ暗になるので困りました。
駅までの道では後輩くんに会いました。
私は足が遅いので追いつかれています。
なんとか電車に乗りました。
後輩さんと手の大きさを比べると驚くほど自分の手が小 さくて、あぁ仕方ないなと思ったりしました。
電車を降りれば壊れかけの自転車がビュンビュンと走り ます。
私はパイロットです。