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ゲームな異世界「Gear of all the things.」  作者: Wizadm
亜人の町と無職「冒険者は職業じゃない」
6/12

6.入院生活「聞いてくれ」


あの後すぐに、俺は気を失ったらしい。

おそらく、限界を超える左腕の痛みを、緊張が抜けてきて知覚したから自己防衛のために意識を遮断したのだろうと言われた。

まあつまりここは病院で、俺は今グチャグチャになった左腕を治療してもらっているわけだ。

筋繊維は半分以上千切れ、骨は複雑骨折だったと言う。

我ながら良くこんなものが直るもんだと、ベットの上で呟いた。

向こうの世界なら、元のように動かせる確立は無いに等しいんじゃないだろうか。

それがこっちの世界だと、回復魔法に魔法薬、回復薬…これだけで腕が治るらしい。

骨は時間がかかるそうだが、外側はもう完治してしまった。

その骨も時間がかかるとは言っても一週間、早い人だと3日だとか。

十分に早いと思うんだが、高級なものは一瞬で完治するらしい。

万能すぎて唖然としたのは記憶に新しい。


さて、長々と現実逃避していたがそろそろ本題に移らないといけない気がする。

本題と言うのはこれからの行動目的についてだ。

昨日までは脱奴隷だったが、もう奴隷じゃなくなったわけだし…

そういえばお金もない。

ここの治療費はノアの家が出してくれるそうだが、ちゃんと全額返す気でいる。

これを全部満たそうとすると自然に選択肢は働く一択になるというわけなのだが。

問題はここからだ。


まず言語。

普通に会話が成立しているし一応文字も読めてしまうが、怪しんでおいて損は無いだろう。

何しろあの神の世界だ。

次に習慣。

似ていたりはするかもしれないが、まったく同じと言うのはほとんど無いだろう。

風呂も蒸し風呂だったしな…

最後は、俺が肉体労働に向いていないこと。

この世界じゃ、俺はDex以外はかなり低い部類だと思う。

事実、獣人の看護師さんは重症の患者を軽々と運ぶ。俺にゃ無理だ。

これだけの条件がそろっている俺に、雇ってもらえる仕事があるだろうか…


「難しいよな…」

「何が?」

「就職だよ、就職。ちょっと絶望的でなぁ」

「そう…」

「と言うか、何故いるんですか?ノア」

「暇つぶし」

「旦那様が心配されますよ?」


言ったとたんに何故か不機嫌そうに睨んでくる。

例によって表情は読み取れないので尻尾で判断した。

そうとう機嫌が悪いようだ。


「…えい」


治療中の左腕を小突かれた。


「――――ッ!???!!!?!?」


あまりの痛さに俺が悶絶すると、満足したのか足早に病室を出て行った。


「うおぅぅ…あいつは俺を見舞いに来たのか、それとも俺に見舞いに来たのかどっちだよ…!?」


その後は特に来室も無く、持ってきてもらった新聞や歴史資料なんかを読んで過ごした。

病室の窓から外を見ているのもそれなりに楽しかった。

後は時たま、もの珍しさに現れる獣人やエルフの子供の相手をしたが、どこの世界でもあまり変わらないものもあるらしい。


「じゃあな!人族のにぃちゃん!また明日来るからなー!」

「明日もお話聞かせてね。絶対だよっ」

「バイバイっ!」

「おう、気ぃつけて帰れよ」


手を振ってくる子供達に手を振り返えしてやる。

子供は好きだ。

俺が唯一、人間関係を確立できるからだ。

どうにも同年代や大人相手には尻込みしてしまって上手くいかない。

治るといいんだが。


翌日、特に何事も無く起床。

トイレに行こうとして、左腕のことを忘れて移動。

死ぬかと思った。

そろそろ朝食だ。

トレイに乗って運ばれてきたのはパンとベーコン、サラダだった。


「結構しっかりでるんだな…」


しかしながら味は、病人食なのか薄味だった。

いや、三日ぶりに食べ物口にしたから薄味でちょうどいいかもしれない。

完食後、昨日の続きを黙読。

今日は魔法について。


(えぇと、ベルモット魔法入門…へぇ、参考書みてぇだな。

著者はクラウドリィ・ベルモットか。

まず始めに、この本は魔法を扱う為の基礎を教える本です。

魔法とは、魔力を使い、様々な現象を…これは言われなくても知ってるな。

飛ばそう…

最初は魔力を感じる事からはじめましょう。

魔力は常にあなたの内側を廻っています。

イメージで動くので、自分の血管の血が指先に集まるようにイメージしてください)


一度本を読むのを止めて、やってみる。

目を閉じてイメージを固め、ゆっくりと指先へと集める。

目を開くと、人差し指が紫に、中指が水色に光っていた。

集中が切れると、光は見えなくなってしまった。


(光った色があなたの属性です。

紫と水色は…雷と氷か。

うぅむ。光とか闇とかが良かった)


そんなことを無意識に思う辺り、着実に厨二病が再発してるなぁと、思わなくも無かった。


(次は、実際に魔法を使ってみましょう…ねぇ。

各属性の初級魔法は次のページに収録されているので、それを使うといいでしょう。

魔法を使うときは周りに人がいないことを確認してからお使いください)


ちょっとワクワクしながら次のページを開くと、○○属性と書かれた下に象形文字のような読めない文字が書かれていた。

それしか書かれていなかった。

どこかに補足は無いのかと、探してみたところ…読み飛ばした部分に書いてあった。


(知っているとは思いますが、魔法は魔法文字を指先に溜めた魔力で書くことで発動します)


いや、しらねぇよ。

まあつまり、さっきの読めない文字を魔力で書けばいいんだな。

とりあえず文字を覚えないとな。


「サクヤさん、お昼ですよ。本は片付けて下さいね」


おっと、もう昼食か。

昼食を持ってきたナースさんは兎の耳だったので、兎人族の人だろうか。

髪は白いロングヘアーで、目は赤い。

他に特徴を挙げるとすれば胸だろうか、かなり大きい。


「はい。献立はパンと肉団子のスープ、野草のサラダです」

「わざわざどうも」

「いえいえ、仕事ですから~」


言葉とは裏腹に誇らしげに胸を反らす。

思わず胸に目が行ってしまうのは、仕方が無いと思う。

ここで胸元を隠して「もうっ!」とか言われるならまだよかったのに。

ガタガタと震えながら言うのだ。


「た、食べるのは私じゃなくて、お昼ですよぉ!…ぐすっ、私は食べてもおいしくないですよぉぉ…」

「ちょっ!?人聞きの悪い事言うな!!」

「ひぃぃ…ごめんなさい!食べないでくださいぃ…!!」


大概、こういうときは事態は悪化するものである。

今回の場合、注がれる油は子供たちだった。


「ああ!!人族のにぃちゃんが兎のねぇちゃんを泣かしてるぞ!!」

「ほんとだぁ!院長先生に報告だぁ!!」

「僕もぉ!!」

「なっ!?ちょ!?まっ!?」


悲劇は続く。

次は、ノアだ…


「どうしたの?」

「あ、たすかった。ノ「ノアちゃぁん!!患者さんが私を食べようとするんですぅ…助けてくださいぃぃ…!!」…ぇ?」


え、ノアさんそっち側?

助かったと思ったら、むしろ悪化した!?

ノアに制裁とかされたら俺のHPなんて一瞬で消し飛んじまう!!


「ちょ、ち、違うんだ。これは違くて、えぇと…」


何言ってんだ、俺は…

これじゃ浮気がばれた夫みたいじゃんか!

そ、そうだ、ちゃんと説明すれば分かってもらえるはず…


「な、なぁ、ノア聞いてくれ」


しかしながら思惑は上手くいかなかった。

ノアの先制攻撃が飛んできたのだ。

もちろん、俺に避けられるはずが無く、なすすべも無く崩れ落ちる結果になった。


「サクヤ…









――溜まってるの?」


まさに、クリティカルK.O.だった…

精神的に。


その後、院長先生が来て、事態は勘違いであったことが証明されたが、俺の心はその日一日晴れることは無かった。



高原(たかはら) 作也(さくや)


人族・18歳・男


≪天秤に触れし者≫≪恐怖を忘れえぬ者≫

≪迷宮初心者≫

職業 学生

Lv.2

HP18/20 MP0/15

Str.7

Vit.5

Int.5

Fai.4

Dex.40

Agi.6


Skill

全ての物の歯車Lv.1(0/10) 槍術Lv.1(0/10)

受け流しLv.1(0/10) 投擲Lv.1(0/10)

魔力制御Lv.1(0/10)


EXP.220

NEXT EXP.300



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