第12話:静観することが生還に繋がる
面白おかしくひっかき回せる人は凄いですけど、それは自分が関わらないからの面白さなんですよね。
自分が巻き込まれると分かった時の観戦に徹していた人の反応は笑えたり、というお話♪
キララside
「……キララ様、よろしいんでしょうか?」
「何が?」
休日の昼下がり――と言っても仕事は趣味でしかないアイドル活動と、ファンクラブを玩具にすることだけなんだけど――家来の一人、水星人のスイセイ・ペン二等兵が心配そうに聞いてくる。
まったくもう、何がそんなに心配なのよ。
「リュー様のことですよ。
あの方、なんかノリで金星を壊しちゃいましたよ?」
「いいんじゃない? つい最近、あんたらの母星の火星と水星を壊したばかりなんだし。
まぁ、リューちゃんのことだから『全部の惑星破壊をやろうぜ!』とか言ってきそうだけど」
そもそも、こう成ることが分かった上で庭の大木型宇宙人の対処を任せたんだし。
そんなことよりも……、うん、今日の紅茶も美味し♪
流石は僕のファンクラブなだけあって、ペンも美味しい紅茶が入れれるようになってきたわね。
それでもファンクラブの上位陣に勝てないあたりは要修行だけど。
「それですよ!
これから毎日星を壊そうぜ? とか言われたらキララ様はどうするんですか!?」
「いいじゃん、別に。
大の大人ならともかく、僕らはまだ子どもなんだから、何か面倒があったら大人のあんたらが何とかしなさいよ。
僕らはまだ子どもなんだから」
そういえば大の大人の料理屋さんが、「オカズを先に食べちゃったから、残ったライスにカレーをかけてくれ」ってお客さんの注文に応える話があったわね。
解決策としては「かけちゃえ」よね。
何でもかんでもやってしまえば面白くなるんだから。
トラブルの無い人生はスパイスのないカレーに見せかけて出されたハヤシライスみたいなもの。
「ぐっはははは!
流石は我が主キララ様♪ カレーの話からハヤシライスが美味であることに繋げる流れが最高でしたぞ」
「ふふっ、もっと褒めてもいいのよ? ペン。
僕はカレーも好きだけど、どちらかと言えばハヤシライスの方がもっと好きなんだし」
「ならば今夜は私が腕をふるってハヤシライスを作りましょうか♪」
「「……」」
さぁ、ここで上のセリフが誰のものか分かるかな?
答えは簡単、僕の姉妹にしてトラウマ製造機のアテカちゃんだったのさ。
「あらあら? 二人とも黙りこくってしまって。
本気度マックスマックスのリューちゃんを止めるのではなく暴走させる方向へ色々と画策していたのではないのですか?
私も混ぜてくださいよ♪」
「や、やだなぁ、アテカちゃん。
僕は平和主義だから、そんな物騒なことはあんまり考えてないよ」
「……(気絶中)」
う~ん、ちょっとマズイかも。
アテカちゃんってば僕と似たようなことを考えているみたいだけど、確実にリューちゃんだけでなく、僕にも被害が出そうな面白おかしいことを考えている顔してるもの。
ここは何とかリューちゃん一人が玩具になるように話を進めないと……。
「ふぅ、キララちゃん。
私は妹(立場的には私が姉ですわ)の心を読んだりはしませんけど、考え事を顔に出さないようにした方がいいですわよ。
あからさまに私が来たことで自分にも被害が出そうだからリューちゃん一人に私の相手を任せようと考えている顔をしていますもの」
「あ、あはははは。アテカちゃん。
僕はアテカちゃんが作ってくれる今夜のハヤシライスが楽しみだから少しくらいお腹減らしておこうかなぁ~って考えていただけだよ」
「……それならいいんですけどね。
ではこれから私が何をしようとキララちゃんは乗ってくれるという方向でいいんですね?」
「……はい」
こうして僕はアテカちゃんに逆らえなかったわけだけど、アテカちゃんは何も考えていなかったのでしばらく事態を静観することで話し合いは解決したんだ。
……ふぅ~~~~~。僕はてっきり、熱湯風呂に入れられて今晩のハヤシライスのために僕自身の出汁を取られるとか、「人肉ハヤシライス~♪」なんかで手足をちぎられるかと思ったよ。
「キララちゃん……、私はそこまで酷いことをしませんよ?
それともしてほしいんですか?」
ヤベッ、心読まれてた!?
しかし意外!! 結果としてアテカちゃんにはもっと別の考えがあるのか、何をするでもなく去って行っちゃった。
……何かされるよりも、何をするのか分からない方が厄介なんだけど……何をするつもりなんだろう。




