第27話 ゲート開放
地下へと伸びていく隠し通路。当然の事ながら灯りなどあるはずもない。漆黒の闇が広がるのみである。一部の者は暗闇であろうとも、昼間と同じように認識できる者がいる。けれども今この地に残った者にはそういった能力が無い者ばかりだった。
ランドルフ達はショーが取り出した小型のランプを受け取り、周囲を照らす。
階段通路は石造りのしっかりとした造りをしていて、少々の衝撃ではビクともしないような頑強なくみ上げになっている。
高さはランドルフが頭をかがめずにいられる程度であり、幅は人がなんとかすれ違いできる程度しかない。10メートル程度下ると踊り場がありそこで180度折れ曲がり、さらに下っていくようになっている。時々踊り場で通路が二手もしくは三手に分岐している。
「通路は侵入者を邪魔するためにダミーの通路がいくつも造られているわ。間違った通路を進むと、その先にはあまり楽しくない未来が待ちかまえている場合もあるから、注意して」
静かな声で王女が教えてくれるが、間違った道を進んだ場合の末路を想像すると、寒気がする。
分岐事に王女に確認をし、正しい進路を誘導して貰いながら、一行は地下奥深くへと進んでいく。
通路はいくつもの分岐を繰り返し、途中、ランドルフの指示で一人ずつ騎士を残していく。彼らは王女を異世界に逃すための時間稼ぎをするためにこの場所に残されていくのであった。
別れ際に皆ががっちりと握手をし頷き合う。
「王女を頼むぞ」
「命に代えても」
言葉は無くとも想いだけで何を伝え合ったか理解できる。
どれくらいの時間、階段を下っただろうか。
「もうすぐ最深部よ」
王女が宣告すると、視界に壁が現れた。
つまり行き止まりということだ。ここが最深部の入口? なのか。
「ランドルフ、降ろして頂戴」
主の指示でランドルフは恭しく王女を床へと降ろす。王女は壁面に歩み寄ると、何か呪文のような言葉を詠唱しながら、右手を壁に置く。
鈍い音を立てて、壁の一部が動き始める。そして、入口が口を開く。
「ここが最深部? 」
「そうよ」
ショーの問いに王女が答える。最深部には王女とランドルフ、そしてショーの三人がたどり着いた……ということになる。
中はそれほど大きくない部屋だった。入口と同じく、隙間無く積み上げられた石壁があるだけだ。何もない。
本当に、ここが異世界へと続く門なのだろうか。
「異界への門を開くには少し時間がかかるわ。あなた達は少し待っていてくれるかしら」
王女に命じられ、ランドルフとショーは彼女から少し距離を置いた場所に跪く。
外からはまるで音は聞こえてこず、まだ敵は自分たちの動きには気づいていないということが分かる。これなら何事もなく王女を送り出すことができる。その安堵感でショーは一息つけた。
王女が呪文を詠唱を始める。
詠唱にあわせ、王女の体から白い光が放たれ始める。その光は最初は弱々しかったものの、詠唱に合わせて次第に輝きを増していく。同時に、これまで戦闘で見たことのある、もちろん中に記載される文字やその配列は異なるのだが銀色の魔法陣が現れて、ゆっくりと回転を始める。魔法陣地は複数現れ、王女を中心として幾重にも重なり、上下に移動する。
何かすさまじいエネルギーがここの集まってくるようで、地下奥深くだというのに、風が発生する。
王女は両手を部屋の奥に向けて両手をかざした。その両手から光の筋が放たれ、壁に激突すると光の奔流となり部屋全体を覆い尽くす。あまりのまばゆさで目を開けていられないほどだ。突然、もの凄い強さの突風が起こり、ショーはよろめく。同時に光の波動が体を突き抜けていくのを彼は感じ、一瞬ではあるものの意識が飛んだ。
気を失っていたのはどのくらいの時間だっただろうか? おそらくは数瞬のはず。
まばゆい光がゆっくりと収まり、ショーは視界を取り戻していく。
ぼんやりとした視界の中、前方に開かれた扉とその前に立つ王女姿を確認する。開かれた扉の向こうは黒と白と赤の空間そのものが蠢く、まさに時空のうねりの中だった。
それを見て彼は理解する。
ついに、扉が開かれたのだ!
「姫、やりましたね……」
そう言って王女の下に駆け寄ろうとした刹那、横からもの凄い衝撃波を受け、彼は自分が飛ぶのを感じた。そして、そのまま壁に叩きつけられる。
「な、なにご、と」
混乱の中ショーは立ち上がろうとするが、全身に激しい痛みを感じた。何本か骨がいかれているのは認識できたが、そんなことを気にしていられない事態が発生していた。
久しぶりの更新となりました。
不定期更新ですみません。




