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第25話 失われた神の力

それを解除し、本来の力を発揮させる事が可能であることを」


 それは驚愕の事実だった。王族の力のすさまじさを何度も見せつけられているショーにとって、その力が千分の一以下に制御されたものであることが信じられなかった。それが事実であるなら、確かに、神に近い存在と言っても間違いでは無い。


「そして、それだけじゃないわ。この世界の天空に浮かぶ二つの月に、隠され眠った状態の二千万の機械化騎士達の存在を。そして、それを運ぶ一万を越える艦船群を。さらに、この星の海底の底深くに隠され、眠ったままの1千万の機械化騎士を。そして、さらには天空に浮かぶ大陸を。そこにも数百万の機械化騎士がいるわ。その能力だけで言うと機械化騎士1体で、今の私の力と同等と聞いているわ。それらすべてが私の命令で動くはずだったの。それらを動かすだけで、サイクラーノシュ含めてこの宇宙のあらゆる生き物を数万回根絶やしにできるでしょう。それだけじゃない。王族の能力を解放する鍵も天空に浮かぶ大陸の神殿の中にある。それを手にすれば、私だけじゃなく、すべての王族が今の力を遙かに上回る力を発揮できるでしょうね……。圧倒的な兵力と物量。そして、個の能力の完全解放。それらすべてが私の手の中にあったの。……けれど、それは、もはや不可能となったわ」


「それはどういうことですか? 」


「これがすべてよ」

 そう言って目の前に浮かんだモニターを指さす。

「それぞれのシステムにアクセスできる端末画面よ。けれど、もう生体認証ができない」


「どういうことなのでしょう」


「兄に私は切り刻まれ、そして再生したでしょう。あのせいで、私の体組織の構造が根本的に変わってしまったのかもしれません。もしくは、部位の欠損による整合がとれなくなったのかもしれない。とにかく何が原因なのかは分からないけれど、力にアクセスできるはずの私は、もうその時の私では無くなっているということなの。システムから私が私であることが認められない。アクセスを完全に拒否されてしまっているの。方法はないかといろいろと試してみたけれど、何の反応も無いわ。つまり、もう逆転のチャンスは失われたということつまりはそれだけってこと。そういうことなのよ」

 言葉は途中から途切れ途切れとなり、王女の体は震えている。

「もっと早く、この力を解放していれば良かった。そうすれば、こんなことにはならなかった。けれどできなかった。いつでも形勢を逆転できる……そんな余裕があったせいよ。慢心してた。この戦争を、そして種族の逆境をどこかで楽しんでいた自分がいたのよ。なんて最低で傲慢で、愚かな女なのでしょうか。そのせいで自分の部下すらを救うこともできない状況にまでなってしまうなんて」

 いつの間にか彼女の瞳から涙がボロボロとこぼれ落ちている。


「姫、しっかりしてください。今は後悔している時ではありません。今は、姫を守るため、皆が行動している時なのです。姫がそんな風じゃあダメです。しっかりしてください」

普段とはまるで異なる弱々しい主を、ショーは必死で慰めようとする。こんな弱気な王女を見たのは初めてなのだ。


「ごめんなさい、ごめんなさい。私のせいでみんなの命が……。私が無力なせいで」

 それでも彼女は自分を責め、後悔の言葉を自らへの呪詛のように唱え続ける。


「何を仰るのですか。私達の命は、あなたと契約した時にあなたのものとなっています。あなたの意思であなたが思うようにあなたの為に、この命を使ってください。それが私達の望みであり、生きる理由なのですから。姫のためになら、私達は皆、いつでも死ぬ覚悟ができているのです。その私達が、あなたをお護りするために、これから行こうとしているのです。そんなときに悲しい顔をしないでください。私達まで悲しくなってしまいます。笑ってください。残された時間を、残された命を姫のためだけに使わさせてください。そして、最後によくやったと笑って見送ってください。それだけで私達は救われるのですから」

 こんな言葉が王女の慰めとなるかは分からない。けれども、そう言わずにいられなかった。


王女はしばらくうつむいたまま少し震えていたが、涙をぬぐうような仕草をした後、顔を上げた。その時には、弱々しい泣き顔は消え、幼いながらも凛々しい姫の顔に戻っていた。


「そうですね。私が後悔してばかりいては死んでいった者たちに顔向けできませんね。私もできるかぎり足掻かないとダメですね。すみませんでした、ショー。行きましょう」


「わかりました」

頷くショー。



前回更新から2年もの歳月が経過してしまっていました。

とりあえず、一話を投稿いたします。

……とは言っても、読んで下さっていた人ももういないかもしれませんね。

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