illumination1:特別なクリスマスプレゼント
霜影 遮瞳はどこにでもいるようなごく普通の高校一年生。今年のクリスマスもいつもと変わりなく友達とクリスマスパーティを楽しんでいた。その日の夜窓側に大きなプレゼントボックスが置いてあった。誰が送ったかも知らないプレゼントを遮瞳はすぐにあけててしまう。そのプレゼントボックスの中身はなんと……!?そのプレゼントボックスを開けたことが遮瞳の生活を大きく変えた。遮瞳はそのプレゼントをどうするのか……!?
今日はクリスマス、街はとっくにイルミネーションに包まれた。どこを見回してもカップルや子供達が楽しく笑っている。燭灯高校のすぐそばの教会にもいろんな人が来ている。
俺もクリスマスが大好きだった。どうしてと聞かれてもうまくは答えられないけど昔からクリスマスが大好きだった。たぶんいっぱいクリスマスプレゼントがもらえるからか……?ママやパパ、友達に先生、あとサンタクロースからもプレゼントがもらえるから好だったのかも知れない、あの時の俺の考えは無邪気だな。
「遮瞳、こっちだよ!!」俺のクラスメート、麗舞が後ろでさけんでいた。
「あ、うん。そっちだったな。」俺は振り返った頃には麗舞は俺の隣に来ていた。
榎本 麗舞、俺の中学の時からの友達だ。俺の親友,木村 悠哉の彼女なんだ。あの二人はよく俺の前でいちゃいちゃしてる。性格はリーダーシップ系だから俺もよくこいつに迷惑かけてしまう。成績もいいほうだし、何かあったらすぐに教えてくれるから結構頼りにしている。
「“そっちだったな”ってあんたね……もう5年も来たのに忘れたの?」麗舞が俺の肩をとてつもなく強く敲いた。これが麗舞の唯一の欠点(俺らにとって)。こいつ見かけによらず空手なんてやってるからな……悠哉も大変だよな……毎日何回くらいやられてるんだか。こいつ体育だめなくせに力は強いよな~。
「いや、別にそんなんじゃねーよ。」俺は教会の方を見た。
「フン、私が呼ばなかったらしらなかったくせに!」麗舞は俺の足をふんづけた。
「なんでそーいうんだよ。」俺は麗舞の顔を見てみた。なんか結構俺にむかついてる感じだった。
「だって遮瞳正反対の方向みてたじゃん。」
「それはただ……あっちにカップルがいてキスしてたから……」
「……そうゆうの見ない方がいいからね?邪魔しちゃうし。それとも遮瞳も彼女つくってちゅーしたの?」
「べつにそんなんじゃねーよ……」
「じゃあなによ?」
「んなのどーでもいいからいくぞ。」俺は悠哉の家に向かった。
「あ、遮瞳!まってよ~~」
毎年悠哉の家でクリスマスパーティを開いてる。悠哉はいつも俺達5人をパーティに誘ってくれる。そのおかげでみんな楽しいクリスマスの思い出がある。
俺以外のやつはとっくに着いてた見たいだ。悠哉の家は相変わらずクリスマスムードだ。テーブルにはローストチキン、ナゲット、ポテト、ピザ、シャンパン、ジンジャーブレッドに二段ケーキ……毎年毎年豪華になってるな……
「ただいま、遮瞳つれてきた、こいつ悠哉の家分かんなかったんだよ。」麗舞はため息をついた。
「誰が分かんなかったんだよ。悠哉の家くらい知ってるよ。」俺は遠慮なくソファーに座った。
「霜影君まさか……迷子になったの?」香澄は俺の隣に座った。
「遮瞳おっせぇ~~このチキンうめーから早く食べに来いよ。」高田はチキンを食べるのに夢中だけど話に割り込んできた。べつにこいつの話には構ってないが。こいつの名前は翔、しかしだれもこいつの事を名前では呼ばない。
「……迷子じゃねーよ。」俺はシャンパンを少し飲んだ。俺の喉はすっきりしたがこの空気はなかなかすっきりしないな……。べつに来るのが少し遅くたっていいだろ……?
「じゃあ霜影君迷子を助けてて迷子になったとか?」子扉 香澄、子供好きでよく俺達を子ども扱いする。それだけではなく香澄のは能歌善舞で何でもできる、所謂おねぇさんタイプ……というかお母さんタイプ。
「なんでそうなるんだよ…!どんどんややこしくなってるんですけど。」ムカツクけどなんて答えても香澄にはかなわない。どうせ香澄にはスルーされるからもう何も言わない事にした。
「じゃあ霜影君は迷子になったってことで☆」香澄は満面笑顔でこっちを見た。
「はぁ……」やっぱり香澄はてごわいな。
俺、悠哉、麗舞、香澄、高田、俺達5人は誰にも変えられない固定グループだ。
……
……
……
そして俺達は楽しくあそびまっくって、ごちそうを食べまくった。一緒にクリスマスツリーを飾ったり、ケーキのクリーム付け合ったり……。今年のクリスマスもいい思い出ができそうだな。あっという間に時間は流れていった。
「最後にプレゼント交換しよっか。」香澄はバックからプレゼントボックスをだした。
「悠哉用とか麗舞用とかのくれんなよ?」俺は適当にいってみた。
「しってるよー。」「麗舞用のは他に用意してあるよ。」悠哉と麗舞の声が重なった。
「何もらっても恨みっこ無しだからな!!」高田は少し長めのプレゼントボックスを出した。
高田は何でそんな事言うんだ?嫌なプレゼントなんてあるか?あいつ何いれたんだ……?変だな……。俺が気づいてない間に音楽は流れていた。
♪ー♪ー♪ー♪ー♪ー♪ー♪ー♪
音楽が止まった。 俺の前には紫の長めのプレゼントボックス——高田の準備したプレゼントだ。俺はふと周りを見渡した。俺のプレゼントは麗舞の所に回ったみたいだな。よろこんでくれるかな……。俺はまず自分のプレゼントを開けずに麗舞が開けるのを待っていた。
「わぁ!?なにこれ!?スノードームのオルゴールだ!優雅なメロディの流れるオルゴールなんてロマンチックで綺麗~~これ誰が準備したやつ?悠哉?悠哉なの!?」麗舞は目をキラキラさせて悠哉をみつめている。
「残念だけど僕じゃないよ。それは確か遮瞳が送ったやつだよ。」悠哉は俺を見て笑った。
「わぁ~遮瞳ありがとぉ!あんたプレゼント選ぶセンスあるね!大切にするね!」麗舞は可愛く俺にお礼をいった。結構喜んでくれたみたいで良かった。というか俺の想像以上に喜んでいた。悠哉がこっちを睨んでいる……まさか、ヤキモチか……!?まぁ、別にそんなつもりでは無いしいっか……。
「あ、悠哉のやつうちが送ったんだよ!しかも手編みの!頑張って香澄に教えてもらったの!」悠哉の手元には黒白相間のマフラーがあった。
「ありがとな、麗舞。」悠哉は麗舞の方に近づいた。
『チュッ』悠哉は麗舞のほっぺたにキスをした。麗舞は毫无準備だからすぐに顔が真っ赤になった。俺達はあの二人を見てニヤニヤわらった。
「あら、これはきっと木村君が送ったのね。」香澄は表紙が紫髪の女の子の本を持って言った。
「はい、これは《ZEROA》と言ってんぶっと豆子の名作なんです。」※《ZEROA》は本作者の手書きの小説です。
「ふふ、おもしろそうね。ありがとう。」香澄はその本のあらすじをじっくり見ていった。
高田が大声でテーブルの真ん中にプレゼント箱を置いて言った、「じゃあこれは香澄のか……開けてみるか。」俺達の目線は長方形のかわいいプレゼントボックスの方へ動いた。
「香澄……これ、これはハムスターじゃん!!」ピンクの箱のなかには小さな灰色のハムスターが入っていた。
「ええ、そうよ。」
「動かないってまさか、窒息で……!?」高田のこと一言で俺らに緊張感を与えた。
「寝てるだけよ、ほら、ちゃんと呼吸してるじゃない。」
「良かった……ごめんな、お前の事死んでると思って。」高田はハムスターをさわった。
「……」ハムスターは丸まって寝ている。
「よし!こいつの名前は“世界で最強の永遠に不滅のハムスター”だ!!」
「ながっ!!てかそれが名前!?」麗舞があせって言った。
「べつにいいんじゃね……あいつのなんだし。」俺は適当に言ってみた。
「じゃ次は遮瞳のだな。」悠哉が俺の所に回ってきたプレゼントボックスを取った。
「俺もまだみてないんだけど…」高田はなぜか恨みっこ無しとか言ってたが今回みんなが送りあってる物は全部すごいもの達だ、俺のもきっとそんな感じなものだろう。
『パカッ』
中にはウエディング服を着たリ〇ちゃんドールが入っていた。
「………………」
「あはは、あはは。」悠哉が思いっきりわらった。
「ちょっと高田~遮瞳は男の子なんだから~」麗舞が笑いながら言った。
「あら、かわいい❤」香澄はべつになにもおもってない。
「これは限定版のリ〇ちゃんドールさ、喜べ!遮瞳!」高田がケラケラ笑ってる。
「…………」なんて言えばいいか分かんなくなった。黙ってる方がいいのかも……。香澄と交換したい……、本にはあまり興味ないけどり○ちゃんドールよりは……言えないな……そんなこと。一応限定版らしいし、誰かにあげるのも良くないな……。俺は仕方ないから持って帰る事にした。
そして今年のクリスマスパーティもみんなの笑い声の中で幕を閉じた。その頃はもう深夜の2時だった。
「あ、……今年はサンタさんからプレゼントもらえないな……」良い子は早めに寝てないとプレゼントもらえないからな。俺はもうサンタクロースを信じる年齢をすぎたけどなんか信じてるんだよな……サンタクロース。少し寒かったがまっすぐ家に帰った。
「はぁ、これが本物の美少女とかだったらな……なんて。」俺はあのリ〇ちゃんドールを出してつぶやいた。
俺が家のドアを開けたら何か物音を感じた。俺はきになって部屋に行ってみた。誰かか俺の家にいると確信した。そいつは俺の気配を察知して慌てて窓から飛び降りた。
「!?」俺は上からあいつをみてみた……しかしそいつの姿は無かった。まぁいいだろう、ここは2階だし死にはしない。それより先に何か盗まれてないかチェックするべきだ。
「何も盗まれてない…か。」俺はホッとして独り言をいった。そのとき俺は窓側に大きなプレゼントボックスが置いてあるのに気づいた。
「なんだ……?誰からだろ……?」俺はその箱をじっくり見てみたがメッセージなどはなかった。箱の外見では何も分からない、分かったのはただひとつ、中身のものが大きくて重いと言う事だ。まさか中身はパソコン?それともプラズマテレビ?それともお宝!?誰が送ってきたかなんてどうでもいい、中身の方が大事だ。
俺がプレゼントボックスを開けてみたーー中には全身に赤と緑のリボンがクルクル巻いてある裸(?)の女の子が眠っていた。その子は肌が白くてかわいい茶色のツインテールでピンクのファーを付けていた。
「……………………………………………………………。」
「えっ…………………………………。」
「女……………の子………………?」
「しかも美少女………………」俺は信じられなかった。
なんでだなんでだ…何で俺の家にこんな物が置いてあるんだよ!!物……じゃなくて人だったな…。もしかしてさっきの怪しいやつが誘拐した女の子とか!?それともリ〇ちゃんが現身したとか!?いやいや、もしリ〇ちゃんの現身ならウエディングドレス着てるよな!?うわぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁどうすればいいんだ俺。警察に言うべきなのか!?いくら警察に来てもらってもなんて説明すればいいんだろ…。ていうか絶対俺が犯人って思われる……
俺はまたその女の子を何回か見た。その子は結構寒そうにしていた。何も洋服着てないもんな……。
とりあえず俺はその子をベットで寝かせといた。初めて一人暮らで良かったと思った。そして俺はソファーで寝る事にした。
この事がすべて夢だと信じて………………………………………………………。
翌日……。
「この変態ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」と言う声に俺は起こされた。
「はぁ……?ってお前起きたのか?」俺がその子を見てみたらその子は俺の首にリボンを巻いた。
「リボンでおめぇの首をしめてやる!!死ね!!」何が起こったか分からないまま俺はリボンにしめつけられた。
「…っ…ゴホッ…なめるんじゃねぇーよ!!」俺は全力でそのリボンをぶち切った。リボンはちぎれて床に落ちた。
「むっ…くそぉ…しねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇー!!」その子はコップを投げてきた。
「なんで俺が死なないといけねーんだよ!!」俺はいそいでそいつの両手をつかんだ。なんと凶暴なんだこいつ……!
「あんたがどんな罪をしたか自分でいってみないさいよ!!」
「はぁ!?俺なにもしてねーよ!!」なにもしてねーのにそんな風に言われるとムカツク、なんだこいつ、麗舞よりも力強いぞ……!
「フン、離して!!てめぇを殺さないといけないの!!」その子は無理して俺の手から離れたそうだ。
「おい、変に動くなよ!!あっ……」
『ブチッ』 その子の体のリボンが次々と切れた。
「この変態ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」と言ってその子はあわててベットに飛び込んだ。俺もなにも見てなかった事にして目を瞑った。
この何分間だけが平和だった………………………………………。
その子は布団をかぶってこっちに来た。「しねーーーーーーーー!!」
「お前そんなんでもやるのかよ!ふとんが落ちてもしらねーぞ!!」俺は机の下に隠れた。
「うっ………落ちないもん!!だから……しねーーーーーーーーーーーー!!」また何かが投げられて壊れた音がした。こいつが言う“しね”は他の奴と違って“死ね”って漢字で書く感じないな。まぁつまり…本気で言ってないみたいな…。
『ぐぅーきゅるるるるる………………』お腹が減った時にしか出てこない音がした。
「ねぇ!あんた!先になんかご飯作って!対戦はそのあと!!」
「“そのあと”ってまだやるのかよ!!ったく……」俺は仕方なく適当になんか食べ物を作りにいった。料理なんてできないんだけどな……作りにいかないと殺されるかもしれないからな……。といっても何もねーな……まともな食べ物。
「カップ麺でいいか?」俺は死ぬのを覚悟してきいてみた。
「うん。いいよ。」その子はやっと大人しく椅子に座った。
「てかさ、お前名前なんていうんだよ?」
「あまり変態に教えたくないな~まいいや、どうせあとで殺すし☆俺はね、柊 萌菓。」
「モカ!?本名かそれ?あと“俺”ってなんだ?」俺はお湯を入れたカップ麺を二つテーブルに置いといた。
「本名です~!!なによ、女の子が俺っていって悪い?」
「いや……悪くないです。そろそろもう食べていいだろ。」本名じゃないとか、悪いとかいったら死ぬな、俺。もうこの話したくねーから話題を変えることにした。
「どれどれ……はむっ。」萌菓は麺をフォークですくって食べた。
「……まだかったいじゃない!!!騙したな!!しねーーー!!」
「ごめんごめん……そうゆうつもりじゃねーよ!!」なんで萌菓がフォーク使って食べようとしたか分かった気がする……。フォークの方が殺しやすいからな。
「フン!!スープかけてやる!!」
「やめろ!!ほら、俺のやつはもうOKだからさ、おまえにやるよ。」俺はそう言って俺のカップ麺を萌菓の方へ置いた。俺は信じてます、3分以上たったと……。伸びてたりして……。
「……本当だあんたのは固くない……“あんたの”ならね……」萌菓はフォークでおいしそうに食べた。“あんたの”なんていわれるとなんか怖いな……。
「うめぇか?それ。」まずは萌菓に大人しくさせるのが先だな。
「ううん、ちっともおいしくない。」
「あっそ、じゃあ俺に還せ、どうせ美味しくないんだろ?」俺だってお腹はすいた。
「やだ!!やだ!!こんな美味しい味の食べたことないもん!!あっ……」萌菓はうっかりしてフォークを床に落とした。
「やっぱおいしかったんだな。」なんかこいつおもしろいな、萌菓だってただ座ってるだけなら誰にでもモテる美少女なんだけどな……。
「そんなこと無いもん……美味しくないもん!あんたにかえす!!」
「いいんだな?俺の腹に行っちゃっても?後悔すんなよ?」
「いや、あんたに還さない!」
「さっきと言ってる事違うよな?」
「フン!いくら美味しくなくても俺はお腹へってるから食べるわよ!!」
「ふーん……」こいつ以外とツンデレだな。
「おまえさ、なんでこんな箱にはいってたんだよ?しかも何も着ないで……」
「なに?てめぇが俺をいれたんじゃないの?」萌菓はカップ麺のスープを飲んだ。
「んなわけねーよ、てかお前俺がやったのかと思ってたのかよ!?」
「うん。へー、てめぇじゃないの?何か証拠は?」
「おまえこそ俺がやったっていう証拠あるのかよ!!」
「ある!!」
「どこにだよ!!」
「心の中!!」一言一言どんどん声が大きくなってきた。
「じゃあ俺だってあるよ!!」
「どこによ!!」
「読者と作者の心の中に!!」たのんだぞ、読者達。
萌菓は少し考え込んだ。「チッ……読者達がそういうならそーゆーことにしといてあげる。」こいつでも納得するんだなと俺は思った。
「……おまえ俺がやったって思ってたって事は誰がやったか覚えてないのか?」
「うーん……覚えてるのは……黒い服の誰かに洋服脱がされて……」確かに俺は黒い洋服を着てたな。
「大体分かったからもうそのあとは言うな!」聞いてるこっちがはずかしい……。本当は全然分かってないけどもうその話は聞きたくない。変な妄想してしまうからな。
『ズズーッ』萌菓の顔にカップ麺のスープが飛び散った。
「そうだ、てめぇの名前なんだっけ?」萌菓は一枚ティッシュを取り唇のまわりをふいた。
「教えてなかったような……」
「何で教えてくれないのよ!!」
「お前が聞てこなかったから…。まぁ、俺は霜影 遮瞳。」俺は手をつくえに置き窓から外を見た。外には雪が降っていた。
「シャドー?それ本名?」
「シャドーじゃなくてしゃどうだ。本名。てかお前に言われたくねーよ!!」
「だってーしゃどうってなんか苗字見たぁーい」べつに苗字見たいと言われても悪い気はしない。
「お前さ、どこに住んでるんだよ?食べ終わったら送ってやるぞ。その……外…寒いだろ?雪降ってるし……。」
「あれ………どこだっけ……」萌菓は食べるのをやめた。
「お前、自分がどこに住んでるのかも知らねーのかよ!」
「違う……違うの……」
「??」
「思い出せない……」
「……じゃあお前の親や友達の家とか電話番号は?」呆れた、自分がどこに住んでるのかもしらないなんてよ。
「友達……?パパ……ママ………?」萌菓の声が震えてるように感じた。
「それくらい分かるよな?」
「……………無理」萌菓はきっぱり答えた。
「えっ……」
「思い出せない………」
「まさかお前友達いなっ……」
「違う……いたんだよ……友達……だけど……思い出せない……ぐすん」萌菓の桃色の瞳から涙が溢れ出した。
「な、泣くなよ。」俺は萌菓が辛いのに気づいてあげられなかった事に自分を責めた。
「分かんないけど思い出せない………」
「…………。」なんていってあげればいいか分からない。
「思い出しなさいよ……俺の頭……さもないと……殺すわよ……ぐすっ」
「…………。」
「脳みそのばかぁ……早く思い出してよ……」
「…………。」沈黙を続けるのは良くないってしっている、でもそれしかできなかった。
「でもね、シャドー、いっぱい居たんだよ……友達……」
「ああ、知ってるよ。お前にはいっぱい友達がいる。」
「うん………。」
「じゃあ、お前さ、どの学校通ってた……?思い出せないなら無理しなくていいからさ……」俺は変な事をいった。
「がっ…こう…?」
「うん。」
「覚えてる。そこは……俺の書けない複雑な漢字だった…たしか……どうそくって読むような……」
「まさかそれって燭灯のことか……?」何か手がかりがありそうだ。
「あ、うんうんそうそう!!速度ー……。俺学校は覚えてるんだ……なのに……友達は……」
「……。」また俺は萌菓になんていったらいいか分からなくなった。
「分かったかも知れない……学校は覚えてた……友達とかは思い出せないわけじゃない……。」
「?」
「記憶の中から消えたんだと思う……」
「えっ……?」
「あのね、思い出せるのは記憶のなかに入ってるから思い出せるんだよ……つまり思い出せないのは記憶の中に無いから……」
「記憶の中の根ってことか…?」奥が深い話だ。
「うん……。」
「証拠は?」
「脳みその中……」
「無効だ。明日さ、学校に行ってみようぜ。何か分かるかもしれないし……。」
「てめぇも?」
「俺だってあの学校に通ってるんだし。楽だと思うぞ?」
「うそだぁーー!てめぇも!?」
「さっき俺もそのセリフ言いたかった……。お前と同じ学校って事は俺も信じられねーよ。」
「どーゆー意味よ。」
「だってお前チビじゃん。」さっきまで気づいてなかったけどこいつは本当にチビだ。
「なんですって……?」
「ごめんなさい……何も言ってなかったと言う事にしてくれませんかね……」こいつが凶暴なのをわすれてた。
「無効だ!!!しねーーーーーーーーー!!」
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…………」
お腹がいっぱいになった萌菓はまた暴れだした。そしてもう一個のカップ麺が伸びまくってることに一日中ずっと忘れてた。
こうして俺の生活が変わり始めた。