雲の中のヒーロー
中から小さいながらも元気のある声が聞こえた
「あの少しお伺いしたいんですが、ここはどこですか?」
?「・・・・」
「(いくらなんでも不自然すぎたか・・・でもそれが今の状況を解決へと導くための第一歩だしうーん・・・)」
?「ここは、雲です。」
「へ?」
とてもまぬけな声をあげてしまい自分でも笑いそうになるが、雲?いま雲って?ん?どういうことなんだ?
?「えーっと、ここは雲の中です。」
「えーっと雲ってあの雲ですか?空を飛んでいる」
?「はい、そうです、あの雲です」
「はぁ・・・。」
状況が解決するどころか謎が深まったような・・・
混乱している僕に家の住人は。
?「最初はみんなそうなりますよ、ひとまずあがってください」
中から黒髪がとてもよく似合う短髪の女の子がでてきた歳は15歳前後だろうか、顔は整っていて服装は黒いワンピースを着ている。
部屋の中には机と椅子がひとつずつとベットがひとつ小さな台所がある。机の上には1冊の本とクッキーがおいてある。
(シナモンの香りの正体はあれか・・・)
?「さ、どうぞ」
ひとつしかない椅子を譲ってその子はベッドに腰掛ける
?「まずなにから説明すればいいですか?なんでも聞いてください。あ、まずは自己紹介からしましょうか、私の名前はクーナといいます。どうぞよろしくお願いします。」
「僕は・・・」
記憶が無いってのはこんな感覚なんだな・・・とか思ってる場合じゃない。えっと・・・なんか名前、名前・・・
クーナ「記憶がないんですよね。」
「え!?」
クーナ「ここに来るひとはみんな記憶がありません。」
「じゃあ君もこの世界のことは・・・」
クーナ「わかります。」
「わかるんかい!」
思わず大声を上げてしまいはっとして少女を見ると。
クスクスと肩を震わせて笑っている。
その様子を見て安心した僕は。
「それで、なんで君はこの世界のことがわかるんだい?」
クーナの笑い声が落ち着いてきたころをみはからって聞いてみると
一瞬にしてまじめな表情に戻ると
クーナ「私はあなたの補佐天使として選ばれたからです。」
急にとんちんかんなことを言われた僕は一度収まってきた混乱がまたぶり返しそうになる。
クーナ「あなたには世界を救ってもらいます。」
その一言で僕の気持ちは曖昧な混乱から確かな混乱へと変わった。
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