同期の桜○
あいつと俺とは同期の桜……もとい、同期で入ったライバルだった。
いつも肩を並べて、正々堂々と競い合ってきた。
常に真剣勝負だった。
文字通り「血で血を争う」それだったといっていい。
あいつに勝ち続けるために、俺はこれまで日々ずっと努力してきた。
そのために流した汗と涙の量と数は、俺自身も覚えていない。
あいつもきっと、俺と同じだったに違いない。
だが結局、晴れて満開の花が咲いたのは俺の方だった。
何故ならあいつは俺に常に一歩及ばなかった結果、
ここを辞めて何処か別の世界へ去っていったからだった。
そしてそれ以来、俺はあいつの顔を一度も見ていない。
なのに……それからしばらく時が流れた今日この日、
何故かあいつのことが急に思い出されて仕方がない。
どうしてだろう?
途中で脱落してこの業界を去っていった奴など他にゴマンといるし、
なぜ今日になって突然、あいつのことを不意に思い出したのだろう?
……と、ふと気づけば隣の家? でいつも可愛がられている猫が、
さも嬉しそうに餌を貰って夢中になってうまそうに食べている。
…………お前ら猫はいいよなあ。俺達と違ってずーっと呑気そうで。
(本文終わり。解説は下↓)
※解説
「あいつ」と「俺」は、ともに競走馬(業界=競馬界)。
「俺」は勝利し続けたから今も現役馬として厩舎に居を得続けているが、
「あいつ」は俺にずっと勝てなかったために登録抹消→廃用処分になった。
馬の肉は別名「桜肉」という。
そして馬肉はキャットフードの材料としてよく用いられている。
早い話がぶっちゃけ、隣の厩舎で飼われている猫が「うま」そうに食べている餌の原材料は……!
あと「血で血を争う」は本来誤りで、正しくは「血で血を洗う」なのは作者自身も承知していますが、
この話=「競馬」が元ネタの場合はそう書くのがより正確&オチのヒント。
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