表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黎光の器 ―七つの魂と選ばれた少女―  作者: mamaりこ* chatty
第二章 光の選定、影の目覚め
136/145

第136話 眠りの間(かん)に寄り添う影

部屋へ戻ると、セリナがすぐに歩み寄った。


「意識は……?」


短い問い。

だが、その奥には抑えきれない焦りが滲んでいた。


セリナは、静かに首を横に振る。


「まだ眠っておられます。」


レンセリオンは小さく息を呑み込み、

襟の留め具を外しながら、まっすぐベッドへと向かった。


「目覚めたら、すぐに知らせる。

それと……リリナ姫が療養できる部屋と、従女を城へ呼び寄せてほしい。」


「承知いたしました。」


セリナは深く一礼する。


それ以上は何も問わず、静かに部屋を後にした。


扉が閉まり、沈黙が降りる。


レンセリオンは深く息を吸い、

天蓋ベッドのとばりへ手を添えた。


そっと開く。


淡い光が差し込む空間。


その中で、リリナは静かに眠っていた。


胸元が、わずかに上下している。

それだけが、確かな救いだった。


ベッドの端に腰を下ろした瞬間――

全ての重みが、肩へと落ちてくる。


婚約。

共鳴。

そして――彼女を深い眠りへと導いてしまったこと。


両手で顔を覆う。


「……すまない。」


誰に届くでもないその声は、

悔恨と祈りのあいだで揺れていた。


やがて、そっと顔を上げる。


そこにあるのは――リリナの寝顔。


安らかで、痛みの影すら見えない。


(目覚めたら……何から話せばいい)


胸が、静かに締めつけられた。


レンセリオンはためらうように身を寄せ、

そっと手を伸ばした。


リリナの手を、包み込む。


温かい。


――生きている。


その確かな温もりが、

どれほど自分を支えているのかを思い知る。


「……リリナ姫。」


囁くように、名を呼ぶ。


返事はない。


だが――


穏やかな寝息が、静かに続いている。


その呼吸に引かれるように、

レンセリオンもまた、ゆっくりと瞳を閉じた。


帳の内側。


外界から切り離されたその空間で――


ふたりの呼吸だけが、静かに重なっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ