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第122話 光の余韻、影の気配

リリナを宿舎まで送り届けたあと、

レンセリオンは、まるで“夢の中の道”を歩くように第四騎士団の控室へ戻っていた。


胸の奥に、まだ蛍の光の余韻が残っている。


その足取りの途中――

ふと、第三騎士団イグレアの控室から灯りが漏れているのが目に留まった。


(……まだ、残っているのか?)


普段は早くに退室する団だ。

その違和感に、わずかに眉が動く。


控室に入ると、ルークとカイルが顔を上げた。


「殿下、お帰りなさい」


二人は、レンセリオンのわずかな表情の変化で悟ったらしい。

ふわりと穏やかな笑みが浮かぶ。


「もう、そのままお城へ戻られては?」


ルークの言葉に、レンセリオンは瞬きをした。


「報告を聞かずとも、素敵な時間を過ごされたのは、一目瞭然ですし」


カイルが勢いよく頷く。


――先ほどまで“言葉にしろ”と言っていたくせに。

今度は言わなくていい、と。


戸惑いながらも、レンセリオンは深呼吸し、椅子に腰を下ろした。


三人が視線を交わす。


レンセリオンは静かに口を開いた。


「……イグレア団の控室。まだ灯りが落ちていなかった」


突然の“任務モード”への切り替えに、

カイルとルークは思わずきょとんとする。


だがすぐに、カイルが「あー」と声を上げた。


「団員、増員中みたいですよ」


「増員……?」


カイルが頷き、続ける。


「入団試験をしてるらしくて……その審査に時間をかけてるのでは?」


(イグレア団が……増員?

古遺跡の調査が、そこまで急がれているのか?)


探査部隊の増員は、ただ事ではない。

“探光の遠征団”の動きが強まっている証拠だ。


第四騎士団が追っている“あの調合物”と、

どこかで線がつながっているのだろうか――


そう考え、口を開きかけた時だった。


ルークが、その気配を察して先に声を出した。


「セリナ殿も、殿下の帰りを首を長くして待っておられますよ」


レンセリオンは言葉を失った。


途端に、胸の奥で揺れていた“任務の思考”が、霧のようにほどけていく。


ルークはにっこりと微笑んだ。


「ゆっくりおやすみください」


任務と余韻。

光と影。


今日の彼の心には、その両方が静かに並んでいた。

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