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第1話 光に満ちた世界(プロローグ①)

光が世界を満たしていた時代。

人々はその世界を、ルミナリエと呼んだ。


その東に、セレフィア王国という国がある。

豊かな水脈と緑に抱かれ、風は歌い、陽はやさしく降り注ぐ。

その地に生きる人々は、命の循環を信じ、与えることを尊びながら日々を紡いでいた。


王都の中心には、国の象徴である大樹がそびえている。

枝は天を抱き、根は大地の奥で眠る魂たちと結ばれていた。

人々はその樹を“息吹の母”と呼び、日々の恵みと命の巡りに祈りを捧げてきた。


この国に伝わる教えは、こう語る。

――「命は奪われず、姿を変えて還る」


奪うよりも、与えること。

争うよりも、照らすこと。

それが、この国に流れる“光の理”であり、

セレフィアの血を継ぐ者たちが守り続けてきた祈りだった。


だが、その穏やかな時代にも、

ひとつだけ――逃れられぬ宿命があった。


うつわは、希望を生むために在る」


それはまだ記憶に新しい出来事だった。

先代の王妃――かつて“器の魂”を宿していた者が静かに息を引き取ったのは、ついこの春のこと。

国中が祈りと沈黙に包まれる中、王妃は「次の光は、あなたの手の中に」と言い残して逝ったという。


そしてほどなくして、現王の妃が懐妊した。

誰もが、あの言葉の意味を悟っていた。


――器の魂は、巡ったのだ。


そして、まだ誰も知らない。


その光が、


何を止めるのかを。

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