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ちっぱいメイドは玉の輿&寿退社の夢を見れるか!?~伯爵家の下っ端メイドですが ハニトラしてこいと命令されました~  作者: 岩爺


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王国歴1669年10月20日⑤:乾杯!

「おぬし、ヒイロの事をどう見ておる?」


 私はグララブの言葉に困惑する。

少し振り向いてヒイロを確認したが顔立ちに問題は無いし、小綺麗にしてて外見には問題ない。しかし”どう?”と言われてもまだ名前しか知らない状態では答えようがない。


「いや、そんな事聞かれても…」

「ほれ、顔はなかなか、性格は真面目で身体もしっかりしておる。大衆浴場で見たが、キースには劣るものの中々女泣かせなモノも持っておるぞ?」

「女泣かせ?モノ?………ちょ、ちょっと!!」


 私の盛大な赤面にグララブがニタリと笑う。


「ほほ、どうやら知識はあるようだな?しかし未通女(おぼこ)い反応じゃ!」

「うぅぅぅ…いったい何なんですかぁ……」


 私はグララブを殴りたくなったが、その衝動を我慢した。これが脂ぎったコーモノ様の嫌がらせだったら問答無用で殴っている所だ。解雇されるから心の中だけだけど。


「すまんすまん…なに、ヒイロに女っ気が無いものでな、少し心配しておるのだ」

「……そうなんですか?」


 私は気を取り直してグララブに聞いてみた。グララブは両手を組むと何度も頷く。


「キースが娼館に誘っても断るし、カリーナはおろか他の女性にも反応せん。男色家かと疑ったがパーティの誰にも粉をかけんしの…暇があれば鍛錬ばかりしおって、本当に面白味がないわい」

「こな?…よく判んないですけど…いい人そうなのに不思議ですね?」


 ヒイロは椅子を引いてくれたり、泣いてる私をフォローしてくれたのだ。基本的には良い人だと思う。


「男なんだから女と遊ぶぐらいの要領の良さも持ち合わせんとな…そんな訳で嬢ちゃん、いっちょヒイロと遊んでみんか?」

「いや、そんな…女遊びの練習相手なんか嫌ですよ…」

「ヒイロを本気にさせれば良いだろ?男を捕まえるのも女の手腕じゃろうが…」


 私は困惑しながらも再びヒイロを見た。嫌う理由は無いのだが、これといった決定的な判断材料も確認できない。


「…そういえば嬢ちゃん、玉の輿とか言っておったの…それならばヒイロは良い相手だぞ?」

「え?そうなんですか?」

「このパーティが活躍しておるのは殆どがヒイロの功績じゃ。知略や交渉は苦手だが、剣技についてはキースに指導されて超一流の腕前だ。それにシーナルの教えた魔法を応用して『魔法剣』なる秘技まで会得しておる。アレを前にしたらドラゴンとて無傷では居れんわ」

「そ、それは凄いですね…」


 私はグララブの言葉に前のめりになった。そんな私の様子にグララブがニヤリと笑う。


「それに真面目で無駄遣いもせん。恐らくパーティの誰よりも貯め込んでおる。言っておくがキースは女遊びで金が無いし、シーナルは気に入った女以外には金を使わんからな?期待するなよ?」

「お金持ち…そ、それは魅力的な話です…」

「…その気になってきたか?」


 グララブの問い掛けに、私は頭を悩ませた。断る理由が思いつかない。


「…まぁ、物は試しじゃ…取り合えず儂がフォローしてやるからヒイロと話してみぃ。決して悪い奴ではないから、良いと思えば一考してくれ」

「わ、わかりました…」


 私はグララブのお願いに頷く。グララブは満足げに微笑むと、一瞬で表情を激変させた。


「それじゃコマイお姉ちゃん!これからもよろしくね♪」

「ふぇッ!?ぐ、グララブさん?」

「僕は仲良くなりたい人とは、いつもこうして話をするんだよ?驚かないでよ~!」

「あ、え?あ、よ、宜しく願いします!」


 グララブに改めて頭を下げると、皆の視線が私に集中していた。


「おぉ、グララブが対応を改めた!」

「年齢を経た女性じゃないのに、あんなに丁寧な話し方をするなんて…」

「…コマイ…今までの女性の中では一番反応が良いわよ?」


 皆が驚く中、キースだけは無言で眉を歪める。


「も~、みんな酷い言い方だなぁ~!僕だって気に入った子には優しくするって!」


 皆の驚きを笑顔で跳ね返しながら、グララブは椅子を押すとヒイロの右に移動させた。


「ほらコマイお姉ちゃん!ここに座りなよ!いいよね、ヒイロ?」

「う、うん、俺は構わないけど…」

「そ、それじゃ…失礼します…」

「あ、ど、どうぞ」


 私が椅子に座ろうとすると、ヒイロは椅子から立ち上がって椅子を引いてくれた。やっぱり優しい人だ。

 私が席に着くとグララブが私がグラスを持ってきてくれた。ご丁寧に果実水を御代わりしてくれたみたいだ。グララブは私にグラスを渡すと、私の右の開いた席に座る。


「それじゃ、新しく仲間になったコマイお姉ちゃんに乾杯しようよ!」

「…その前に嬢ちゃん、気を付けろよ?」


 それまで沈黙を守ってきたキースが口を開いた。


「な、何がですか?」

「その…グララブさん、なんだがな…言っておくが俺より年上だからな?侮ってると痛い目にあうぞ?」

「え?そうなんですか!?」

「こらキース、儂の年齢をバラすんじゃない!…僕は永遠の12歳だよ?」


 グララブは老齢な表情を掻き消すと、天使のような微笑みを私に投げ掛けた。キースはどうみても40歳を越えている。グララブがそれより年上だとなると、先程までの年寄りめいた喋り方が自然と納得できた。


「ほら、みんな、乾杯しようよ!」


 グララブは琥珀の液体が注がれたコップを持ち上げると、皆に乾杯を求めてきた。皆は顔を見合わせたが、断る理由もないのか同様にグラスを持ち上げる。


「それでは…皆様の健康と益々の御発展を願って……乾ぱ~~いっ!」

「「「乾杯!」」」


 みんながグラスに口を付ける。私も果実水を飲み込んだ。その果実水は緊張の為か、先程よりも少しだけ苦く感じた。

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