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悪役令嬢にそんな『力』はありません!  作者: 黒い猫
第二十五章 延期にて
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最終話


 そして、アリアとキュリオス王子が学校を休んで数日後。


シュレイン・フォーガスは結果として「アリアを殺そうとした」という事で捕まった。


――本人に殺意があったかどうかという事よりも……。


今回は「アリアを穴に落とした事によってどうなるか」という『結果』としてどうなるかという事を考慮したのだろう。


 シュレインは「ソフィリアから自分をイジメる後輩がいる」と相談されて、とにかく感情的に「自分が想いを寄せている相手をイジメるヤツを許さない!」という気持ちだけで今回の一件を行ったと説明した。


 ただ「被害を受けてしかもイジメの事すら初耳だったアリアからしてみれば本当に勘弁して欲しい話でしかない」と本人は苦笑いをしていたのだが。


――気の毒……と言えばそれまでね。


 シュレイン本人としては「あくまでソフィリアから相談をされただけで、行動をしたのは自分だ」と言っていたらしい。


しかし、あまりにも「ちょっと驚かしてやろう」だけでは取り返しのつかない事になりかねない事やこれまでの婚約者たちの問題行動も含めてソフィリアも同様に捕まったらしい。


「――イ、イリーナ」

「……リチャード様。どうされたのですか」


 そこにいたのはやつれた様子のリチャード王子の姿――。


――まぁ、そうなるのも仕方ないでしょうね。


生徒会たちはそれぞれの婚約者たちから婚約破棄を告げられた。


つまり、イリーナも婚約破棄をした一人なのである。


――この様子を見た限り婚約破棄よりも目的は……。


実は婚約破棄をされた生徒会の面々は各家から廃嫡を言い渡されていたのだ。


「ど、どうしたって……イ、イリーナのから言ってくれないか?廃嫡を撤回して欲しいって。やり過ぎだって」

「……」


――呆れた、本当に……。


どうして国王陛下がその様な決定をしたのか。どうしてそうなってしまったのか全く分かっていないらしい。


「……お断りします。そもそも国王陛下がお決めになられた事に対し私が物申すなんて無礼以外の何物でもありません」

「それは……」


「そもそも……どうしてそうなったのか本当は理解されていないのではありませんか?」

「……」


そう冷たく言い放つと、どこから現れたのか王宮に仕えている魔法騎士が現れリチャード王子は連れて行かれた。


後に聞いた話によると、リチャード王子を含めた生徒会の面々は全員国外追放になったらしい……。


 ちなみに今回の一件はソフィリアの指示ではなく、シュレインが勝手に行ったという事を新聞で知った。


◆   ◆   ◆   ◆   ◆


「――結局。彼女は何がしたかったのかしら?」


 あの『星空会』の一件から一か月ほどが経ち、イリーナは何気なくそう口にした。


「……」


 そのイリーナの問いに対してアリアは何も言えないのかただ微笑んでいるだけ……。


――多分。何か知っているのでしょうね。


でも聞いたところで教えてくれないだろう。


「まぁいいわ。もう過ぎた事ですし」


 イリーナは今回の一件で随分と逞しくなった……というのはキュリオス王子とアリア。


しかし、当の本人はあまり変わっていない様に感じる。


――こういうのって案外本人には分からないものなのかも知らないわね。


ただ、それはそれとしてイリーナには聞きたいところ事があった。


「ところで……」

「はい?」


 不思議そうに首をかしげるアリアに対し、イリーナはコソッと耳打ちをする。


「この間の私の話の答え、出そうかしら?」

「……」


 そう尋ねられ、アリアは無言になった。


「正直まだ分かりません。ですが……」


――あら?この反応は……。


「?」

「ここ最近は、殿下が私以外の方とお話をされているのを見ると……胸がざわつきます」


 素直にそう答えると、イリーナは嬉しそうに「あらあら、そうなの」と言う。


「大丈夫よ。案外早くそのざわつきの答えが分かるかも知れないから」

「え?」


 アリアが不思議そうに尋ねると、ちょうどタイミングよく登校したキュリオス王子が楽し気に話す二人に気が付いて挨拶もそこそこに「どうしたの?」と言いたそうな表情で二人を交互に見る。


「いいえ。女性同士の内緒話ですわ」

「えぇ、僕も入れてよ」


――ふふ。焦っているわね。


「コレは女性同士の話。男子禁制でしてよ」


 そう言いつつ「ねぇ?」と尋ねる様にアリアの方を見るイリーナに対し、アリアも「はい」と答える。


「えぇ、気になるよ」


 そう言って少し不貞腐れた様子のキュリオス王子に対し、イリーナとアリアはそんな王子の様子を見て「ふふ」とお互い思わず笑ってしまった。


 どうなる事かと思っていたが、これでようやくイリーナが思い描いていた楽しい穏やかな日々がようやく訪れた――。

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