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悪役令嬢にそんな『力』はありません!  作者: 黒い猫
第二十五章 延期にて
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第1話


 そうしてイリーナはキュリオス王子に全て話した。


 正直。信じてもらえるかどうかは一種の「賭け」の様なモノだったが、元々キュリオス王子はシュレインの事情を知ってはいたものの、あまり良い感情を持っていなかったらしい。


「僕としてはいつかそういった事が起きるんじゃないと思っていたくらいだね」


 普通の生徒であれば彼が「生徒会」という委員会にいるという時点で「生徒の模範」という事が頭を過るので信じてもらえない可能性があっただろう。


「でも、今の生徒会の面々を見てそう思う生徒はどれだけいるのかな」

「……」


 そう言われて返す言葉が見つからない。それくらい今の生徒会は……とても正常に機能出来ているとは言えなかった。


「どちらにしても早く見つけないとね。このままじゃアリアが退学処分になってしまうから」

「……はい」


 諸々の話は後……という事だろう。


 ――でもきっと、今日の『星空会』は中止ね。


 それに対して怒る生徒もいるかも知れないが、むしろ胸をなで下ろす生徒の方が多いかも知れない。


 ――それくらい「準備」が必要だから。


 何せ「退学」がかかっている。準備はしておいて損はないだろう。


 イリーナはそう思いつつ、アリアの痕跡を辿って先に行ったキュリオス王子の後に急いでついて行った――。


◆   ◆   ◆   ◆   ◆


 結果としてアリアはすぐに見つかった。キュリオス王子が一年生ではまず使えるはずのない「探索」を使った……というのが一番の理由ではあったが……。


 イリーナはキュリオス王子からの指示ですぐに先生たちに報告をし、数人の先生を連れて王子の元へと急いだ。


 ――でもまさか「落とし穴」とはね。


 しかし、実際にその「落とし穴」を目の当たりにすると……正直かなり驚いた「まさかこんな原始的なやり方で」というのもあるが、こんな大掛かりな事を仕掛けてくるとも思っていなかったのである。


 そんな事を考えながらキュリオス王子の元へと近づくと、王子は「あ、その辺気を付けて下さい」と声をかけた。


「え」


 イリーナたちは「一体何の事を言っているのだろう」とこの時は気づかなかったが、後に実はあの辺りの数か所にアリアがはまった様な落とし穴がいくつかあったらしい。


 ――念には念をって事?


 それだけでも驚きを隠せなかったが、ふと「なんでアリアは上って来られないのだろう?」と疑問に感じた。


 思えばアリア程の実力があればたとえ穴にはまったとしてもすぐに上って来られるはずだ。


 しかし、その疑問にキュリオス王子から「どうやらあの穴に落ちると魔法が使えなくなる魔法道具が使われているらしい」と答えた。


「え、ですがそのような物を一般生徒が持っているとはとても……」

「まぁ、出所を特定するのは簡単だろうね」


 そう言いつつキュリオス王子は「とりあえず手伝ってもらえるかな。念のために保健室にも行ってもらいたいし」とイリーナと先生たちに指示を出したのだった。

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