魔法界の魔法科医
こんにちは!温泉たまごです!
この小説に興味を持ってくれてありがとう!
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ここは、魔法界。毎日ホウキにまたがった魔法使いが飛び交い、街は魔法にあふれていた。
「ルビ、お客さんだぞー。」
私の家庭は、お母さんが病気で亡くなって、シングルファーザーなんだ。
「はーい。」
部屋を飛び出て、急いで店に駆け込む。
「毎度ごめんなさいねぇ。ちょっと診てほしいの。」
今回の患者さんはご近所さんのクリスティーナらしい。
「はい!もちろん!」
そう、私は魔法界の魔法科医なんだ!
「この頃頬が痛むのよねぇ。」
クリスティーナは手で腫れた頬をなでた。
「ちょっと見せてみてー。……あららー、クリスティーナったら、『若見えクリーム』塗りたくったでしょ。魔法の効果が表れすぎて肌に逆効果よ。」
「ええー?!塗れば塗るほど若く見えるってもんじゃないのー?!」
クリスティーナは目を見開いて両手で顔を覆った。
「はい、これを塗ったら元に戻るわ。魔法の影響があってしばらくは『若見えクリーム』塗っても効果がないけど。影響がなくなっても、もう塗りすぎはだめよ。」
「わかったわよ…。」
呆れ笑顔でクリスティーナを見送る。
「ほんと、最近は過剰摂取の案件が多いんだから。」
ぶつぶつ言いながら薬を納めている棚をかたずける。
「にゃーお。」
「あら、アローン、おやつかな?」
この子は私の使い魔の黒猫。毛並みがきれいで、猫の中ではかなりイケメンな方だと思う。
「アローンが魔法使いだったらどんな人なんだろうなー。」
アローンの頭をなでながらぼそっとつぶやく。
「見たいんなら、なってやってもいいぞ。」
「え。」
突然アローンが、しゃべった…?
「ままま、まさか…、猫がしゃべるわけ…。」
「ただの猫じゃないぞ。使い魔なら誰でも魔法使いに化けれる。」
今度こそ、はっきり聞こえた。
「ねねね、猫がしゃべった!!」
「だから、ただの猫じゃねぇんだよ!」
アローンは面倒くさそうに顔をしかめた。って、姿は猫なんだけど。
「え、魔法使いに化けれるの…?」
「ああ。余裕。俺、ご主人様より魔法得意だから。」
アローンは鼻高々、と、いう感じに笑った。って、姿は猫なんだけど。
アローンの魔法使い姿、見たい。すごく。
ちょっと迷った末、覚悟を決めた。
「アローン…一瞬だけ。一瞬だけ魔法使いになってみてよ。」
「いいぞー。あー、やっと魔法使いになれる。」
「へ?」
ちょっと意味深なことをつぶやいたけど、アローンは私に質問させる隙を与えなかった。
アローンの体は銀色に包まれ、どんどん人の形になっていく。
「よぉ。この姿では初めましてだな。ご主人様。」
アローンは執事のような服をまとった、イケメンになってしまった…
しばらくポカーンと放心していたけど、ハッと意識を取り戻した。
「えっ、かっこいい!アローンってイケメンだったんだ!」
「まぁな。当たり前だ。」
さっきみたいに自慢そうに笑う。性格は変わんないな。
「ていうか、アローンって年上だったんだ。」
「まぁな。猫は魔法使いと年の取り方が違うからな。ま、これからは魔法使いと同じになるけど。」
アローンはキラキラ輝いた瞳で私を見下ろした。
「え?どういうこと?」
「俺、これからは魔法使いとして生きていくことになるんだ。」
一瞬、何を言っているのか分かんなかった。
「ええええ?!一瞬だけじゃないのー?!」
「まぁ、一回変身したらずっとそのままーとか言ったら絶対変身させてくれなさそうだったし。」
アローンは、いたずらがバレた子供のように頭をかいた。
「だましたぁー!!」
「いいじゃん。ご主人様も、いつもイケメンと一緒だと楽しいだろ?」
アローンはいろいろポーズをとって私の周りをうろうろする。
「もー、お父さんにどうやって言い訳したらいいのよー!」
「うーん、あ、婚約者ってのはどう?どうせ俺ご主人様としか一緒にいれないんだし。」
アローンはさらっと言ったけど、それって私将来アローンと結婚しないといけないってことじゃん!!
「なんでよ!私だって婚約者くらい自分で選びたい!」
必死と拒否する私を見て、アローンはニヤッと笑った。
「じゃあ、他の男が視界に入ってこないくらい甘やかしてあげますよ。ご主人様。」
こんな姿のアローンに甘やかされるって、どんな感じなんだろう…。
……きっとドキドキしてしまうのは私だけではない。
これが、私の油断できない使い魔との生活の幕開けだ。
最後まで読んでくれてありがとう!
これからも頑張って書いていくので、応援してくれたら嬉しいです!