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59話 闇に生きる者①

「ええ?!あのかっこいい杖が盗まれただと?!」


「そうなんですよ……まさかあんなものが盗まれるとは……」


「その盗人とは気が合いそうだ」


「おい」


「冗談だ」


 女湯に入ってきたということはつまり女性と言うことでシュウは犯人ではありません。一緒にいたハランさんも同様です。それにリンもテンユちゃんも私とずっと一緒にいたので違う。というかするわけがない。こんな小さいコミュニティの中で悪事を犯したら除け者になるのは目に見えているだろうし、そもそも私は彼らを信用しています。


「お風呂場にはボクたち以外いなかったわけだから犯人はヒューガの杖だけ盗ってすぐ女湯から出たってことだよね」


「せっかくならお風呂にはいってけばよかったのにねぇ」


「それだと顔バレちゃいますから……」


「よっぽどヒューガの杖に惚れたんだろうな!いやーかっこよかったもんな、アレ!」


 やっぱりハランさんはキエンくんのお父さんであるらしい。厨二病たちと魔界人以外で杖を本心から褒めてくれたのはキエンくんだけでしたから。


「犯行時間は俺たちが男湯から出てくる前までということだな」


「待たせてしまったようで……すいません」


「女子はお風呂が長いものだ。気にするな」


 とシュウの紳士的な発言。


「俺たちが待っている間、女湯に入っていく人は見てないもんな」


「フロントの人にいた人に聞いてみましょうか。一部始終を見ていた人がいるかも」


「そうだね。手当たり次第聞いてみるのだよ!」


 それから私たちは近くにいた数人に話しかけましたが、誰1人として怪しいヤツを見た、と首を縦に振る人はいませんでした。

 ではなぜなくなってしまったのでしょうか。杖が1人でに歩いていったとか?あり得ない……とも言い切れませんね。ここは魔法が遍在する世界ですから。

 あれ?というか魔法による犯罪なんてのもあるのでは?魔法なので物証を残すことなく成し遂げることができますし……。


「私の杖……帰ってくるんでしょうか……」


「きっと大丈夫さ!ボクたちが見つけるのだよ!人から貰った大事なモノなんだろう?」


「リン……」


「ちなみに誰からもらったの?」


「ああ、シン・コーキフという杖職人の──」


「やっぱり見つけないでおこう」


 リンは食い気味にそう言った。


「その手のひら返しはなんなんですか?!」


「ソレ、男だろう?そんな恋敵のアシストができるほどボクはできちゃあいないのだよ」


「男の人ですけど……」


 シンさんとはちょこっと話して、杖を作ってもらったぐらいでそれ以外特に関わりはない。

 この女は何を勘違いしているんでしょう……。


「ボクが新しく杖買ってあげるからさ!もう諦めな?」


「それは無理です!その人を紹介してくれた人にも顔が立ちませんから!」


「ヒューガを斡旋ねぇ……随分ボクには敵がいるみたいだ……」


「あんたは何を勘違いしてるんですか……」


 つくづく呆れる女ですね。


「おーい!」


 すると待機していた私たちに向けて遠くから声が投げられた。

 その方向を見るとハランさんとシュウ、そしてその後ろに……角が生えた女の子?!


「待たせたな。治安維持隊の人を連れてきた」


 治安維持隊。それはこの世界での警察のような組織です。この事件のことについて捜査をしてもらおうと2人に呼びにいってもらったのですが……。


「初めまして!治安維持隊の隊長、マルティア・テルゼペットと言うのです!よろしくなのです!」


 その隊長と名乗る子は敬礼をして、にこりと可愛らしく笑いかけてきた。

 耳の前あたりから枝分かれするように白い角が生えている、この小柄なこの子……魔界人なんでしょうか?

 そんな私の驚いた感情を読み取ったのか、


「驚かせてすみません。マルティアは魔族なのですが、正真正銘の治安維持隊です!」


「あ、いえ、すいません。失礼しました、角が生えていることについて驚いたわけではなく……」


 隊長さんは首を傾げた。

 というか魔族?魔族と言いましたか?シューツェン氏が言っていた通り、まだ生存していたんですね。

 まさかこんなところでお目にかかることができるとは……。


「えっとですね、私が驚いたのは──」


「魔族?!」


 と私が言葉を続ける前にテンユちゃんが驚くような声を上げた。


「同胞はもう少ないですからね。マルティアは珍しいでしょう?」


「実は……この子も魔界人でして」


 私はテンユちゃんの肩に触れてそう言った。

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