33話 気まぐれな幼児体型②
更新が遅れてしまい、申し訳ありません!エッセイなんて書いてる場合じゃありませんでしたね!
「いてて……ここは……」
生きてます!あんな高いところから落ちたのに!
眼前には横に長く広がる……城壁?!見上げるほどの大きさの門には豪勢な装飾が施されている。
そして地面の下のはずなのに頭上には赤黒い空が広がっています。
一体なんなんでしょうか、ここは……。もしかして死後の世界?!だとしたらこの先にいるのは閻魔大王──そんなことを考えていると、門がキキキ、と悪魔の笑い声のような音を立てて開き始めた。
これから閻魔大王の元へ連れて行かれるんでしょうか?!私は真面目に常識的に生きてきたつもりなので地獄に送られることはないと思いますが……あ、でも舌は抜かれてしまうかもしれません……。
「な、なぬ?!あの穴から人間が落ちてくるだと?!」
少し顔を出すように現れたのは、こめかみ辺りから白皙たる角を空に向けて伸ばした人間?!角が生えている……人間?!
ここはどこなのかとかあの穴は何なのかとか聞きたいことは山ほどあるのにまずその容貌のことが気になってしまいます!
「貴様!どうやってここに来た?!」
「は、はい!真っ暗な穴を通ってきて……」
「だからソレをどうやったか聞いているのだ!あの穴には巨岩で封がされていたであろう?!」
「ええと、あの岩ですか?その……破壊しちゃいました……」
「はぁ?!貴様がか?!」
「す、すいません!」
誰の許可も貰わずに破壊してしまったわけですから怒られるのは当然ですよね!
どう考えても人工物でしたもんね……でもアレは指示されただけというか不慮の事故というか……。
「……貴様、何者だ」
「私は──」
「わあああああ!」
すると後ろで聞き覚えのある声が上から近づいてくるのを感じた。
ずしゃん、と地面と何かが触れる音が聞こえ、振り向いて見てみると、
「いってて……あ、ヒューガ、ヒューガあああああ!」
なんとリンが空から落ちてきたのでした!
リンは地面に尻餅をついた状態からすぐさま私の元へと駆け寄り、私を包み込むように強く、そして優しく抱きしめた。
「い、痛いですよ……」
「だって……だって!死んでると思ったんだもん!」
リンの顔から流れた暖かい液体が私の肩を濡らした。
落ちた先に何があるか分からないのによく後を追ってきましたね……死ぬ可能性だってあったのに……。
いつもこうされるのはリンの性癖のせいもあって拒否感があったのですが、この今の状況では……少し安堵感というか幸福感が身体を巡った。
調子に乗るので口には出しませんが。
「あなたも死んでしまうかもしれなかったのに!危険すぎますよ!」
「ヒューガのいない世界にいる意味なんてないのだよ!」
……言いすぎですよ、ソレは。しかしそれほどまでにリンが私のことを想ってくれるというのは嬉しいは嬉しい。でもその気持ちに答えることはできません!まずもって私たちは女同士ですし!
ただ……日本にいた時、私のことなんて想ってくれる人は誰もいなかったのでこういうのは新鮮で、なんだか心地が良い。
逆に私は家族以外で他人を想ったことがない。そんな余裕は生活の中にありませんでしたし……だからこそリンの自分の気持ちを素直に表現できるところや純粋に人を好くことができるところが少し、本当に少しだけ羨ましい。
というか……あれ?ここでリンと再会できたということはここは現実ということなのでは?!
「……」
質疑応答の時間だったことを思い出し、門の方を見ると、角男の視線が私たちを突き刺していた。
「すいません!お待たせしました。私は──」
「うおおおおお!」
「いやああああ!」
またもや聞き覚えのある声が上から近づいてきた。
それは当然のごとく、
「シュウ!テンユ!キミたちも来ちゃったの?!」
シュウはテンユちゃんをお姫様抱っこして落ちてきた。ただ着地は流石に上手くできなかったらしく、シュウは五体投地のような状態でテンユちゃんを地面との接触から守り切っていた。
「あの場では落ちていく他なかっただろう……お前たちを見捨ててテンユと2人で戻るわけにもいかないし、それに……クク、深淵中の深淵なんて気になるに決まっているだろう!」
「こわかったけどたのしかった!」
「無茶をしますね……あなたたちは……」
私は自然と笑みが溢れた。まだ会って数日しか経っていない仲間であるのにここまで結束感があることと私を心配して危険地にもついてきてくれる仲間がいることに、えも言われぬ喜びを感じた。
「……ちっ、これからボクとヒューガの2人だけのイチャイチャラブラブ大冒険が始まるはずだったのに」
リンがそんなことを小声で言った。
特に一番乗りに来てくれたリンに感動していたのに、その言葉で好意的な感情は大幅に薄れた。
まあ私のことを好きという以上、そんなことだろうとは思いましたが。
しかし危険を顧みずにここまで来てくれたのは事実です。
「……」
「度々すいません!それで……」
「……テンユなのか?」
「はい?」
「えっ?」
テンユちゃんは呼ばれた方向を恐る恐る覗き、
「……おとうさん?!」
「「「お父さん?!」」」
3人の驚きがシンクロした。
「貴様らがテンユを拐かしたのか……?」
その怒りの混じった冷血な声に私たちがあたふたしていると、
「ち、ちがうの!逆にこの人たちは私をたすけてくれたの!」
「……そう……なのか?」
「うそつかない!」
「その人間たちに脅されているわけではないのだな?」
「もちろん!」
「……失礼した。どうやら汝らを誘拐犯だと誤解していたらしい」
「はぁ……」
私たちは呆然としてしまっている。わけもわからず、いろんな情報が流入してきたため頭の中が錯綜中です!
なぜお父さんがこんなところにいるか、はたまたあのお父さんにしてなぜテンユちゃんは角が生えてないのか、とかそもそもここはどこなんだ、ということとか……聞きたいことが多すぎます!




