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27話 深淵の守護者③

「でっかい岩ですねぇ……」


 私たちが到着した開けた場所。そこには巨大な岩が崖と接してそり立っていた。どうやらここで行き止まりらしい。


「ええ?!これなんかの遺跡だったりするのかな?!違和感ありまくりなのだよ!」


「隕石……とかでもなさそうだな」


「どうする?壊してみる?」


「どういう思考回路してんですか……そもそも壊す方法なんて私たちにはないでしょう」


「なくはないさ。祝福を受けたスキル持ちが2人いるんだから」

 

 リンは右手で私を、左手でテンユちゃんを交互に差した。


「テンユちゃん!」


「な、なに?」


「スキルを使いつつ、あの岩壊したいなぁって思ってくんない?」


「わ、わかった、やってみる……!」


 テンユちゃんは頼られて嬉しいのか、やけに意気込んでいる。

 どう運がよかったらあの岩が破壊されることなんてあるんでしょうか。


「『神からの加護(ゴッド・ブレス)』!!……うーん、あの岩じゃまだなぁ、こわしたあいなぁ……」


 空間には静寂が流れる。


「何も起きないね」


 テンユちゃんは自信をなくしてしまったのか俯いてしまった。いやいや、リンの無茶ぶりなんですから仕方ないですよ!


「流石にそんなの無理に決まっ──」


 ふと上空から風を切る音が聞こえてきたので空を見上げてみると、


「なんです、アレ……」


「……竜だ!竜が飛んでるのだよ!」


 そこには黒い鱗を持つ竜が滞空していた。

 まさかたまたま飛来した竜がこの岩を壊してくれたり?!

 というかそれはもう運がいいというレベルではなく現実改変とか因果律操作とかそっち系の能力でしょう!


「……もう1匹来たぞ」


 黄色い鱗の竜がどこからともなくやってきて先ほどの黒い竜と対面する。


「何が始まるんですか……」


 2匹の竜は睨み合っているようです。

 そして──


「あれは大地属性の応用魔法なのだよ!」


 突然として私たちの真上で戦いが勃発した。時には鱗をぶつけ合い、時には魔法の応酬。これは……マズい!


「あがっ!あががががが!右腕がっ!」


 厨二病2人はなぜか頷き合い、テンユちゃんは2回目といっても慣れないようで私の奇行に怖がっているのかシュウの服の裾を掴んでいる。

 くっ、私がこのパーティーの常識人としてテンユちゃんを導かなきゃいけないのに!

 右腕に吸収されていく魔力はドラゴンなだけあって半端ではありません。紅瞳竜の時を思い出します。

 ……抑えられません!


「うわあああああ!離れてえええええ」


 私の迫真の訴えに本能的に危険を感じたのか、リンはするっと、シュウもテンユちゃんを抱えて私の背後へ回った。

 それを確認し、私は自然と杖を岩へと翳した。

 杖から放出された高密度の魔力の塊が岩を貫き、その中心部から爆散した。そしてその岩のカケラはなぜか私たちを避けるように散乱していった。これもテンユちゃんのスキルによるものなのでしょうか……。

 やっぱり本物の神のスキルはすごいです。


「……え」


「何この威力……これが神の力か……」


「ククク……流石俺の相棒だな」


 3人は私の魔法の威力に引いてしまっていた。

 まさかテンユちゃんの能力でたまたま上空でドラゴンが争いをし、そのせいで私の右腕に魔力が溜まり、放出することになり、岩を破壊してしまうとは……。

 運ってなんだっけ……。


「い、いや、これはテンユちゃんのスキルあっての事ですから!」


 あくまで私1人の手柄ではないことを主張する。そもそもドラゴンが現れなければ魔力放出も出来ませんでしたし……。

 岩があった場所。砂煙が収まると、そこには──


「え、なにあれ……」


 崖の中に地面からアーチ状にぽっかりと空いた真っ暗な穴があった。

 岩があったという面影は長年置かれていたために地面に残った窪みだけでそれ以外は何もない。木っ端微塵であった。


「や、やっぱりなんかあった!これ絶対どこかに繋がってるやつじゃん!」


「そんなわけないでしょう……しかしあの岩は人工的なモノだったようですね。昔ここに住んでいた人が岩で蓋をしていたとかでしょうか。そんなモノを壊してしまって大丈夫か、という疑問は残りますが……」


「ククク……封印されし魔門……か」


「とりあえず入ってみよう!」


「頭おかしいんですか?!人工的に閉じられたものだろうって言っているでしょう!昔の人の入っちゃダメっていう戒めですって、絶対!」


 私の声には一切耳を傾けず3人はずんずん進んでいく……3人?


「ちょ、テンユちゃん?!そんなヤバい人たちについて行っちゃダメですよ!」


 テンユちゃんはいったん立ち止まってくれるものの、私の方に振り返り、


「……ご、ごめんなさい!好奇心にはかてないの!」


 2人はわざわざ私の方に振り返り、にやにやと……。

 もう、仕方ない!


「私も行きますよ!テンユちゃんをあなたたち2人に任せられませんし!」

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