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24話 迷える子羊③

あとちょっとで100ptです!よろしくお願いします!

「……」

 

 さっきから気になっていました。

 テンユちゃんはずっとちらちらと私の厨二病的杖を見ている。やはり子供としてこんなヘンテコなモノは気になってしまうのでしょうか。

 私もそんなテンユちゃんを見ていたので、顔を上げた時、自然と目が合ってしまった。


「おねえちゃんの杖、かっこいい……」 


 テンユちゃんはいつかのキエンくんのように目をキラキラとさせてそう言った。

 またその言葉に厨二病2人は反応し、誇らしげに、


「そうだろう、そうだろう!分かってくれるなんてキミはなかなか見どころのある子だね!」


「右腕と杖を見て分かる通り、この姉ちゃんは竜を封印している人柱なんだ。その竜とは無垢なる原野をその(わざわい)を呼ばんとする冷血な煉獄により……」


「勝手な設定を付け加えるのはやめなさい!」


 2人の言動があまりにも可笑しかったためか、テンユちゃんは小さく音を立てて笑った。


「騙されてはいけませんよ?この右腕はさっきまでここにいたあの黒毛玉にやられたモノですし、杖はただの装飾ですから!」


 すると私の意思と反抗するかのように──


「あががががが……右腕がっ……」


 お決まりの疼きが来てしまった。

 この世界では森羅万象、この世のどんなモノにも魔力がこもっている。人には感じ取れないほどの少量から頭が痛くなるほどの多量の魔力が込められているモノまである。そのため私の右腕は一瞬一瞬、少しずつでもそんな魔力を吸収してしまう。そして溜められた魔力に耐えられなくなった右腕が疼くようになる。これさえなければこの世界でも普通にやっていけるのに……。

 私の奇行を見るとテンユちゃんはポカンと、その他2人はにやにやとして、


「言った通りだろう?」


「違いますよ、テンユちゃん!これは私のスキルの副作用で……」


「ところでテンユちゃんはさ、どんな固有スキルを持っているのかな?」


 私の話は一切無視。

 もう、この世界の人々は本当に話を聞きませんね……。


「えっと……その」


 テンユちゃんは小さな手をこねくり回し、キョロキョロとして何か悩んでいる様子だった。

 もしかして私と似たような事情を持っていたりするのだろうか!


「言いにくかったら言わなくてもいいんですよ!」


「『神からの加護(ゴッド・ブレス)』っていう……」


(ゴッド)ですと?!」 


 世界に3人しかいないという神を冠するスキル持ち……まさかこんなところで出会ってしまうとは……世界は狭いです……。

 『神のみぞ(ゴッド)知る(ノウズ)』ではなかったのは幸いでした。もしそうだったら色々とマズいことになっていたでしょうし……。

 シュウとリンも私と同様に驚いていますが、シュウは少し様子が違っている。まさに適当に投げたちり紙が綺麗にゴミ箱に収まってしまったような顔をして、


「こんなことあるのか?!」


「ボクも初めて会ったのだよ!神の祝福を受けた──」


「いや、違う。確かにテンユがそのスキルを持っていることも驚くべきことだが、俺がもっと驚いていることは……この狭い空間内に神の祝福を受けたスキル持ちが2人いることだ」


 数秒間の沈黙。


「え……ってことはヒューガも?!」


「え、ええ。実は私の固有スキルは『神のみぞ知る(ゴッド・ノウズ)』という……」


「ええ?!おねえちゃんも?!もしかしてさっきの右腕がっ、てやつも『神のみぞ知る(ゴッド・ノウズ)』の……?」


「いや、それは違う」


「あなたは黙っててください!」


 シュウはどうしても私の右腕の疼きを厨二病的行動としたいらしい。


「……それでテンユちゃんはどういう能力なのかな?」


「運がよくなるの」


「まあ縁神の祝福を受けてるくらいだからそうだろうね……」


 単純ながら運がよくなるスキルで最強では?発動すれば攻撃が当たらなくなったり、弱い攻撃が強烈な一撃になったり……。

 するとその刹那、私の後ろからガサガサと音がした。


「はっ!な、なんですか!」


 まさかモンスターではないだろう、と祈りながら振り返ると──


 そこにいたのは3犬だった。

 ただ出て行った時とは違い、皆覇気のない顔をしている。

 3犬は見つけられなくて申し訳ない、とでも言うように「くぅーん」と鳴き、シュウの足元へと近寄って行った。


「まあこの森も広いからな、仕方ないだろう」


 シュウは跪いて3犬を平等に撫でた。


「ご苦労であった、我が眷族たちよ。今は休むがいい」


 そう言うと、3犬は消えていった。


「さて……テンユをこんなところに1人にするわけにもいかないし……」


「そうだね!お父さんお母さんが見つかるまでボクたちで保護するのだよ!」


「こればっかりは仕方ありませんね……」


「よし行こう!」


 リンはテンユちゃんの手を取って奥へ奥へと進んでいった。シュウも後ろからの襲撃に備えるようにテンユちゃんの後ろにぴったりとくっついた。

 短期間であってもテンユちゃんがこの厨二病2人に毒されないようにしっかり見張らないといけません。私はこの中の唯一の常識人として正しい道へ導く義務があるのですから!

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