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23話 迷える子羊②

1500~3000文字程度で投稿していきます!

「そうか!あなたの犬っころで!」


「ああ、一応ちゃんとした犬の機能も持ってるからな」


 なんて頼もしい!もしモンスターであっても犬が食べられるだけで済みます。

 シュウには申し訳ないですが。


「『地獄の使者(ケルベロス)』」


 そう言うと砂煙を立てて、シュウの足元に3犬が現れた。


「「「わわんっ!」」」


「この森にいる俺たち以外の人間を見つけてきてくれ。体臭とか呼気とか魔力とかを感知するんだ!行け!我が従順なる眷族たちよ!」


 3犬はそれぞれ別の方向へ走っていった。

 そして数分後、ポンちゃんだけが帰ってくると、


「がる!がるがる!」


「なるほど。そこへ行こう」


 シュウは犬語を解せるらしい。


「え、なんて?」


「女の子がいたらしい」


「……その子は本当に人間なんでしょうね?」


「どうかな。行ってみねば分からん」


 女の子の姿をしたモンスターの可能性も……まあ犬は食べてないみたいですし……。

 私は杖を刀のように前に持って女の子がいるという場所に向かっていった。


 

「わんわんっ!」


「ぐらぅ!」


「えへへ、くすぐったいよぉ」


 そこでは切り株に座った幼女がアンちゃんとタンちゃんと戯れていた。

 肩ほどまで伸びているややウェーブがかった白っぽい金髪にくりくりとした目。アンティークドールでしか見たことないような純白で華やかなドレス。どこかいいとこのお嬢様に見える。成長すれば凛とした美人になりそうですが、今はハムスターやリスのような小動物的な可愛さを持っている。

 見たところ角もなさそうですし……普通の人間のようですが……。


「お嬢ちゃん!」


 リンちゃんの大声に女の子は肩をすくめ、こちらに振り返るとまた泣き始めてしまった。


「え、え?」


 いきなりのことで戸惑っているリンちゃん。子供って何考えているか分からないんですよね。いきなり突飛な言動をして周囲の人間を驚かせるんです。

 私も弟たちには手を焼いたものでした。

 ここは1番子供の扱いに長けているはずの私が──


「大丈夫だ。俺たちはきみを助けに来た」


 そう言ってシュウは女の子の頭に手を置く。その声はいつもの電波なことを言う時とはうってかわって爽やかな、ただの”優しいお兄さん”という感じであった。

 そんな暖かい行動に触れたためか女の子は袖で涙をごしごしと拭い、拭うモノがなくなったことに気づくと、


「たすけに?」


「迷子だろう?お父さんとお母さんは?」


「わかんない……」


 家出少女なんでしょうか。


「どうしてこんなところにいるんだ?」


「きれいなちょうちょを追いかけてたらね、こんなところに……」


「蝶々を追いかけるだけでここに来れるということはおうちは近くにあるんじゃないか?」


「ううん、こんなところ見たこともないの……」


 子供特有の謎の集中力でここまで来てしまったということでしょうか……。


「では3犬にこの子の匂いを嗅がせて同じような匂いを探知させましょう」


「いい考えだ」


 シュウは屈んで犬たちと同じ目線になり、その女の子を指差して指示した。

 3犬は、「了解しました!」とでも言うように鳴き声で返事をし、森の闇へと消えていった。


「キミ、名前はなんて言うのかな?」


 リンちゃんはその子の両親が見つかるまでの場繋ぎ、そしてその子を不安にさせないために話しかけた。

 また先を越されました……。


「……テンユ・ウシンジョー」


「へぇ、良い名前だね。ボクはリン・キオーヘン。そこの男はシュウ・シュボーカン。そこのかっこいい杖を持ってる美人さんはボクの将来の嫁?夫?のヒューガ・チカ!」


「”ボクの”ってなんですか!聞き捨てなりませんよ!」


 ほら、テンユちゃんが困惑しているでしょう!


「何歳なのかな?」


「わかんない……」


「分かんないかー。小さいからそんなこといちいち数えてないよねー!」  


「というか……皆さんは何歳なんです?」


 初めて会ってからてんやわんやで聞いていなかった。


「ボクは19歳」


「え、俺も」


 2人とも19歳ですと?!私は本来19歳ですが、訳あってピュートでは17歳と偽っています。

 どうしましょう。ここでは19歳だと言ってもいいんでしょうか。そっちの方が都合がいいというか、私だけ17歳だと舐められそうというか……。


「ヒューガは?」


 もしピュートの3人に私が19歳だということがバレたら気まずいですし、年齢を偽るキツいヤツだと思われそうですが……。


「私も19歳です!」


 やっぱりこの人たちより年下というのは不服なので本当の年齢を言ってしまった。


「なんと!みんな同じ年齢か!つまり我々は血で染まりし赤い縄によって手繰り寄せられた絶対的関係!」


「ククク……実に面白い。まさにこれは命運に誘われし邂逅……」


「はは……」


 苦笑いするしかありません。

 テンユちゃんは私たちの会話に置いてけぼりでキョトンとしている。

 ふと私が身内話を始めてしまったばっかりに……。


「ならさ、ボクのこと”ちゃん”なんてつけなくていいのだよ!シュウだって呼び捨てだし……。なんならもっと仲良く、近づくためにも……”あなた”、いや”おまえ”なんて呼んでくれても……」


「じゃあリン」


「もうー!ツンデレだね、キミは。まあ……そんなところも愛おしい!」


 リンは両手で私の後頭部を掴むと、そのまま顔面を自身の胸に(うず)めさせ、壊れやすいモノかのように優しく頭を撫でてきた。

 こんな不健全なモノ、小さい女の子に見せるのはやめませんか……。

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