出陣!六人の協力者。
「くそ、ヴォルフの数が多すぎてこのままじゃ角居総助君を守り切れない」
スウリクルメは、面倒そうな顔をした。
全員総助を囲む形で魔物をを狩っていた。しかし全員体どこかに傷を負い、いつこの守りが崩れるかを待っているだけに過ぎなかった。
その時、総助は立ち上がり向かってくるヴォルフを〈光〉で薙ぎ払った。
「ようやくその力を使ったか...やはり彼は」
スウリクルメは独り言を言いながら、総助の方を見た。
「よう、戻ったぜオオカミの野郎」
総助の顔つきが少し変わって見えた。
〈タンクヴォルフ〉は、総助の変化にいち早く気づき、先ほどの余裕など無く真っすぐと、総助を対等な敵とみなし威嚇している。
総助は持っていた〈光〉の形を変え、薙刀として這い寄る魔物達を振り払い切り刻んだ。
スウリクルメ以外のものは、驚愕した。
「あの力は!俺もあの力を手に入れそして... 」
須流真はそう言いながら総助の後に続き、魔物達をぼろぼろの剣で殺していく。
その時どこからか「待って」と聞こえた。
「死体は残してくださーい、私も出ます」
そう言って現れたのはショートボブの髪形で、セーターを着たやけに現代的な女性だった。
「私は生命力の吸収と譲渡ができるので、けが人のためここは命を張って生命力を集めます」
「遅いよ、赤城救代君 。手始めに今持ってる全ての力で、源須流真君と角居総助君の大けがを治したまえ。」
スウリクルメが笑いながらそう言うと、救代は二人に駆け寄り傷を瞬時に治した。
「さあ、今度こそ終わらせよう。」
全員が見据える先には〈タンクヴォルフ〉や魔物たちが、勢いよく迫ってきている。
今度は総助が全員に合図を送った。
「出陣!」
〈ゴブリン〉や〈ヴォルフ〉がスウリクルメに近寄る
「彼らは超人になれる、しかし君達もしつこいな。インパクトファイヤ」
炎が魔物を飲み込み、燃え盛った。
「さあて、彼らのところに向かわなくては」
スウリクルメは総助たちの方へ向かう
ラスレとサリには、〈サイクロ〉が5人向かっていた。
「巨人さんには悪いですが、ここでやられてもらいます。」
そう言ってサリの膝に力が溜まり、〈サイクロ〉を一り人砕いた。
「サイクロたちよ、消えろ。一ッ閃」
ラスレは一太刀で〈サイクロ〉四人を葬った。
一方救代は、死体から生命力を吸っていた。
「ソウスケ達の元へ向かうぞ」
ラスレに続いて、サリと救代も総助の元へ急ぐ。
総助と須流真は〈タンクヴォルフ〉対峙していた。
〈タンクヴォルフ〉は咆哮し、威嚇するが二人は止まることもなくむしろ進んで行った。
「お前の攻撃はもう読めた。司令塔もお前だな」
「須流真そいつの動きを止めてくれ、俺がぶった切る」
須流真は剣で〈タンクヴォルフ〉足に無理やり突き刺し、後ろ足に抱き着いた。
「早くやれっ」
須流真はそう言っていたが〈タンクヴォルフ〉は以前動き回っていて、総助は攻撃できずにいた。
「キャプチャー」
そうスウリクルメが言うと、白いエネルギーが〈タンクヴォルフ〉の足を止め、ラスレが首に剣を一刺しし、
サリが「今!」というと、
「ぶった切ってやるぜ、はあああ」
総助は、薙刀に力をため走り出し〈タンクヴォルフ〉の首を切った。
〈タンクヴォルフ〉体はその場に倒れ、月明かりが差し込んだ。
「やれた。勝った。」
そう言って総助はその場に倒れた。
だが誰も総助に寄り添うものはいなかった、何故ならばサリや、須流真も同じように倒れこんでいたからである。ラスレや救代は意識はあるものの、疲労で体が動かずにいた。
そしてスウリクルメは、もうその場にはいなかった。
総助が意識をなくす直前で助けが来た、それはアガイであった。
「お疲れ様、あんたたちは私が見といてやるから。今日はもうお休み」
そう聞こえたのが最後、総助は意識を失った。
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守らなきゃ、俺の頭にはその言葉がずっと響いてた。
戦う音が聞こえる。見下ろすと、俺と須流真が戦っていた。
「破滅は近い」
女性の声が反響して聞こえる。
「だからこそ、一刻も早く楽園へ、そこで終わらせるのです。悠久に続く過ちを...」
ふと周りを見渡すとそこは戦場だった。
「彼らは楽園を壊すもの、貴方の行き着く末路の過程でもあります」
そこには、まさしく女神と呼ぶにふさわしい女性がいた。
「人は争い、傷つけ、奪い、踏みにじり、穢し、私はそんな人間をたくさん見てきました。」
その女性は、真っすぐと俺を見てこう言った。
「だからこそ終わらせてほしいのです。人の求めるモノの先あるものを、どうかあなたに...」
そこで俺は目を覚ました。
あたりを見回すと知らない部屋だった。窓を開け外の景色を見てここがどこか分かった。
ここは、デメテール食堂の二階だ、部屋を出るとそこにはラスレがいた。
「やあソウスケ、目が覚めた?」
正直俺はさっきの夢が頭を離れなかった。
「これは...もう少し休んだ方がいいね」
そう言ってラスレはベッドに俺を運び座らせた。
「昨日僕達は、アガイっていう人に助けられて、その人の経営してる食堂の休憩室に止めさせてもらったんだ」
「みんなはどうしたんだ?」
と、総助が思い出したように言うと
「みんなソウスケよりは平気だよ、スルマとサリっていう人は、下で手伝いをしている。
それと途中で来た女の子は、君たちを治してから早々にこの食堂から出て行ったよ。」
総助はそうかと、ほっとした。
「あとは、どうやら不思議な力を使ってた長身の男は昨日の段階で居なかったらしいよ。」
「スウリクルメのことか?」
ラスレはスウリクルメ...とつぶやいて部屋を出て行った。
「?」
総助は頭に?を浮かべたが、まあいいかと思い、先の戦いのことを思い出していた。
俺はこの戦いで、様々なことを体験した。
見せかけの町、赤城龍虎、人の求めたモノ、そして夢のこと。いったいなんだったのか、皆目見当もつかない。
総助は、しばらく自分の求めるモノを考えることにした。
その日の夜、総助の部屋に須流真がやってきた。
「よう、元気か角居?」
「お前こそ」
お互いに疲れた顔をして互いの目を見ていた。
「少し外に出るといい、悩んでることも少しはまとまるさ」
須流真はそう言って、部屋から出た。
須流真に言われて外に出ると、心地のいい風が吹いていた。
この風が今、総助がいるのは此処だと示している。
力を求めた先に破滅が待っている、そしてその破滅は須流真と俺が...
そんなことを考えていると後ろから優しく肩をたたかれた。ふと後ろを向くをそこにいたのは、薄青色のセーターを着た少女だった。
「君は、昨晩の怪我の件はありがとう」
そう言うと救代は穏やかな顔をした。
「角居君だよね?」
そう言われるまで俺は気づきもしなかった。
彼女は、赤城救代。小学校の頃の同級生だ。
「思い出した?角居君」
「ああ、救代ちゃんだよね、小6の頃おんなじクラスだった」
彼女とはあまり話したこともほぼないが、顔なじみがいると何となく安心するのは俺だけであろうか?
「久しぶりだね、角居君。最後にちゃんと話したのは修学旅行の時かな?」
そう言われて俺は忘れていたものをすべて思い出した。小6の夏、学校の修学旅行で班の班長を任されていたが、段取りがグダグダで班の雰囲気がとてつもなく悪くなってそれからそのメンバーとはどんどん疎遠になっていった。
「あの頃は、総助君一人に任せすぎたかな~とか今は思ったりもしてるよ」
と救代は記憶を思い出したショックでうずくまってる俺に、最低限のフォローをした。
俺は彼女とほぼ接点はなかった、ただ一つを除いて。それは両親が務めている会社が、赤城救代の親が務めている会社が一緒、ということで幼少期に何度か顔を合わせていた。
「この世界にはもう慣れた?」
総助が聞くと、救代は少し考え
「少しだけね、今は私の力でけがを治したり、一応冒険者業もやってるの」
「そうか、そろそろ夜も遅いまた今度な」
そう総助が言い立ち去ろうとすると、救代は総助の腕を力いっぱい握った。
「また明日ね」
総助は少し驚いた顔をした後、少し笑った。
「ああ、また明日会おう」
夜風が吹く、今日もどこかで誰かが世界を動かしているのだろう。
その陰から誰かが二人をじっと見ていた。
「スミイ...か、絶対にお前を...」




