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異世界乱世  作者: Asuga
始まりの章、呻の節。始まった物語
5/39

出勤!!異世界でのバイト。

 ここはアイテラガ国のリーエレの町、の北側にある食堂。


 「いらっしゃいませ!」

 と元気に接客する総助の姿があった。


 「おうソウスケ。つうか、いらしゃいませ。ってなんだよ、俺らは貴族じゃなくてただの冒険者だぞ」

 

 この人はリトソ、毎日酒を必ず飲む飲兵衛だ。年齢はとっくに50を過ぎているのに一回で五杯は必ず飲む。


 「リトソさん...俺の元居た所では、これが当たり前だったぞ」


 「そうかい、そらあ珍妙な村にでも住んでたんだな。じゃあソウスケ、アガイさんにビール5って言ってきてくれ」


 「昼間っからビールかよリソトさん、あいよ。アガイさーん、ビール5」

 総助が大きな声で言うと調理場からもっと大きな声でハイハイ、と声が聞こえた。


 「角居もっと静かな声で言ったらどうだ、すでにあの巨漢女がうるさくてせいぜいしてるんだ」

 総助はびくっとしてスルマにすっと近寄る。


 「バッカやろアガイさんに聞こえたらどうすんだ。あのなスルマ、俺たち働かせてもらって、金もらってる立場だぞわかってんのか?」

 スルマはふっと鼻で笑い、客が食べた後の食器を片付けに行った。


 俺がこの町...いやこの世界に来て1週間が経った。

 今はこの町の食堂、デメテール食堂の従業員として働いてる。

 そこで俺はこのいけ好かないやつ、スルマと出会った。

 スルマはたまたまシフトが一緒ってだけだが、毎っ回俺に嫌味を言ってくる。全くもって、いいやつじゃない。


 「角居。俺を睨んでる暇があったら、片付けの手伝いの一つでもしたらどうだ」


 「わかったよ」

 総助は口をとんがらして言った。


 そんな感じで今日もデメテール食堂は忙しい。



 

  「ようやく波が収まったか」

 と、スルマがほっとした顔をする。


 「だな、お前はずっとそんな調子で疲れねえのか?」


 「貴様はまだ余裕があるようだな角居、お前は皿洗いでもしていろ!」

 そう総助とスルマが言い争っていると、厨房から大きな影が出てくる。


 「ソウスケにはこれからお遣いに行かせたいからスルマ、あんたが皿洗ってね」

 スルマはちっ、と舌打ちをして厨房へと入っていった。


 ざまあみろ、と思いながら俺はお遣いに行くことにした。

 

 総助はすっかり異世界の生活に順応していた。


 「どうも、ララおばちゃん。この野菜と、果物と・・・」


 「ソウスケ君じゃないかい、またアガイのお遣いかい?アガイも人使いが荒いねえ」


 「まあでも俺、お遣いの時が何気に一番好きだからさ。店にいるとスルマがうるさくって」


 「ほほほ、相変わらずねえ」


 「じゃあまたなララおばちゃん」

 総助はそう言って肉屋の方へ走っていった。


 「シャヲウルさん、あの肉の胸の部位とモモの部位を・・・」


 「ソウスケ君じゃないかい、仕事は慣れたかね?」

 初老の男がそう聞くと総助は少し考えこみ、こう答えた。


 「まあまあですかね、忙しいときは目が回るほど忙しくて大変ですけど。」


 「ハハ、アガイはどうだい元気してるかね?」


 「アガイさんは元気有り余ってますよ、俺とスルマが言い合いしてたら仲裁とか言って両方殴ったりしますし」


 そう食堂に入ったばかりの頃、今よりスルマとバチバチしてた時は1時間毎でアガイさんに殴られてた。

 それからというもの俺も、スルマも、アガイさんの前で喧嘩することは減った。

(まあ、たまに殴られるけど)


 「あの子は子供の時からああゆう性格だったからなあ、まあ元気でいてくれてわしとしてもうれしいよ」


 「その言葉、アガイさんに伝えとくよ」

 

 そういうと、シャヲウルさんは嬉しそうな顔をして頷いた。


 俺はこの1週間でいろんなことを経験した。

 例えば鶏肉の部位の見分け方や、リンゴなどの果物をナイフで剥く方法など...


 「って食堂にいたせいでこの世界のことなんもわかってないじゃん」


 そういえば金がなくってほぼ1日ずっと食堂にいたりした日もあったな。


 総助は日々金を稼ぐことに集中して、この世界のことなどは無知のままであった。


 「でもお金の余裕は心の余裕、っていうし働いて損はないはず」

 俺は俺にそう言い聞かせて店へと帰ろうとしたその時。


 「見つけたカイショニェ!」

 大きな帽子をかぶった冒険者が、かわいらしい声でそう言いながら総助の手をつかんだ。


 総助はきょとんとした顔をしながら


 「人違いじゃないかなあ」

 と気まずそうに言った。


 すると、その冒険者はあれっと顔にして顔を赤くして「ごめんなさい」と、一言言って走り去ってしまった。


 「恥ずかしかったんだろうなあ、あの娘」

 

 かわいそうだなと少し思いつつ店に帰った。


 「帰ったか、遅かったな角居」

 そうスルマがいうと、

 

 「そうかい、スルマ君はせっかちだなあ」

 と、お互いにらみ合っていた。


 するとその時、ドアを突き破って人が逃げ込んできた。


 「お願い助けて」

 逃げてきたのは、ついさっき総助に人違いといわれたあの少女であった。


 「おい、そこの魔物を捕らえろ。もし、言われた通りにしなかったら殺すぞ」

 ガラの悪い男たちはそう言いながら、総助の首を掴み胸に剣を突き出した。


 「その魔物を売ればこっちはもうけが出るんだ、おとなしくしてろよ兄ちゃん」


 やばい、あとちょっと突いたら刺さる、どう逃げれば...


 その時、ガラの悪い男たち3人に向かって箒が飛んできた。


 「いってえ、だれだ」

 リーダー格の男に箒がぶつかると総助はそのまま地面に落ちた。


 「この程度も避けられない分際で、よく殺すなんて言葉が言えたもんだ」

 そこには、両手に箒を持ったスルマの姿があった。

 

 「貴様らのような弱いやつに用などない、そこの女はお客だ。手を出すなら痛い目にあってもらおう」

 「使え」

 スルマが総助に箒を一本渡した。


 「おうスルマ、お前らよくも店を荒そうとしやがって。何が魔物だ、女の子に向かってひどいこと言いやがって。これはかなり痛い目にあわせてやるぜ」

 

 「ただの店員ごときが、でかい顔しやがって」

 リーダー格の男は、顔に怒りがあふれていた。


 だが一瞬のうちに一人が倒され、リーダー格の男へと二人が向かって言った。

 総助は箒でリーダ格の男ともう一人の脛を叩き、スルマはつかさず二人の顔を箒で振り払った。


 「なめやがって、ウグピィ...]

 と男が何か言いかけている最中に、スルマと総助は追い打ちのけりを入れ男は気を失った。


 「やったな、これで店防衛成功!」


 「ああそうだな、角居」

 少しだけ嬉しそうにスルマが言うと、


 「本当に今回は助かったぜスルマ」

 総助は元気いっぱいで答えた。


 「(みなと)須流真(するま)だ。角居総助」

 そういうと、総助は嬉しそうに、


 「おう、改めてよろしくな須流真」

 総助がそう言うとはふっと、笑い


 「ああよろしくな、角居総助」

 

 源須流真か、意外と悪いやつじゃないのかもしれない。そんなことを考えてると、

 

 「なあにやってのスルマ、ソウスケ、店こんなに荒して」

  

 少し慌てた様子でアガイさんが帰ってきてそう言った。

 俺は荷があったのかを事細かに話した。


 「そりゃあ、こいつらが悪いねえ。あんた名前は?」

 そうアガイが少女に聞くと、少女は小さくこういった。


 「サリ...です。」

 少女は顔を暗くして店から出ようとした、その時アガイが少女の手を掴み無理やり椅子に座らせた。


 「ちょっとアガイさん、さっきまで襲われてた子ですよ。怖がるのも無理はないですって」

 そう総助が言うと。


 「大丈夫だよ、私たちはあんたを、とって食おうってんじゃないからね」

 とアガイは優しい声で言った。しかし須流真は、


 「女、お前隠していることがあるな。もしかしてそのでかい帽子の下に何か隠しているのか?」

 そう須流真がいうと、少女は顔を青ざまして下を向いた。


 「お前なあ、そういうところだぞ」

 総助は呆れてそう言った。

 

 「耳が隠せないんだろう、だから隠してるそうじゃないのか?」

 アガイは少し驚きそっと少女の帽子を脱がした、少女は諦めた顔をしてうつむいていた。そこには、犬のような耳がぴんと生えていた。


 「やはりな、先ほど男が言っていた魔物という言葉がどうにも引っかかていたが獣人のことだったか。」


 「うおおお、耳だ。犬みたいな耳生えてるよ、すげえこんなことってあるんだな」

 総助は少し興奮気味にそういった。


 「馬鹿か貴様は、これでそいつらがこの女を追っていた理由が分かった」

 須流真はそういうと総助は、何も知らない顔をしていた。


 「かわいいからか?だとしたらもしかして恋路を、俺らが邪魔した感じ?でもしつこいのはよくねえよな、うん」

 総助がそう言うと、アガイは怖い顔をしてゆっくりと話した。


 「獣人またの名をエルマベ族。かつて人の国を滅ぼした、と言われてる種族。私たち人族で嫌われてる種族だね」

 「でも私自身エルマベを嫌ってはないし、周りにばれないようすれば平気でしょ」

 そう言うと、サリは驚いた顔をした。


 「怖がったり、怒ったりしないんですか?」


 「するわけないだろ、耳が生えてたくらいで。俺はそう言うのもありだと思うぜ」

 総助がそう言いながらサムズアップすると、サリは少し顔の緊張を解いて、事情を少しずつ話して言った。


 どうやらサリの家は、ここからかなり離れた谷にあるらしい。そこで年の近い弟と父と母とで暮らしていたが、ある日弟が人の町へ行くといって家を飛び出したそうな。

 そこから何度か手紙でやり取りしていたものの、ある日急に連絡が取れなくなったらしい。


 「で、心配になって探しに来たと...」

 総助は、わかったような、わかってないような顔でそういった。 


 「はい。それで、最後に手紙を書いた場所がリーエル町というわけなんです」


 「じゃあお金は持ってるのか?」

 そう総助が聞くとサリは「少ししか」と言い、ため息をついた。 


 「じゃあ宿何泊か取っておくよ、知り合いの宿屋があってな」

 そういうとサリは目を輝かして、隠していた尻尾を振った。

 

 すると須流真は、ふん、と鼻で笑い「勝手にしろ」と言い店の厨房に入って行った。


 その夜。。。


 夜は昼の比較にならないほどの人が、デメテールに来ていた。


 「おい、にーちゃんこっちにビール」

 「こっちに、鳥蒸し」

 「ビールまだ来てねえぞ!」


 忙しい、そう思いながら俺はめまぐるしく店の中をあっちこっちに動き回った。


 総助は、今日もせっせと働く。



~~~



 「ようやく終わった...」

 そう疲れた声で総助は言った。


 「お疲れさん、はいこれ今日の給料」

 そうアガイが言うと、総助は嬉しそうに受け取った。


 「それじゃあ俺、帰ります明日は言った通り休むんで」

 そう言って総助は、そそくさと帰っていった。


 明日久々の休める日何しようかな?たまには武器とかかって冒険者の方もちゃんとやってみようかな?

 そんなことを考えていると、後ろから自分を呼ぶ声が聞こえた。


 「角居総助君、ちょっといいかな?」

 そこには長身の、眼鏡をかけた男がいた。

 

 服装で俺は異質さを感じ取っていた。なぜなら、黒のデニムを履き、紺色のシャツの袖には白衣を通していた。明らかにこの世界に似合ってない。


 「あんた誰だ?もしかして店であったか?」

 総助がそう問うと、長身の男は少し笑ってこう答えた。


 「まあ...店で見てはいたよ、でも大事なのはそこじゃない。」


 「じゃああんたは誰だ?なんで俺の名前を知ってるんだ?」


 長身の男は、クスっと笑った。


 「私はスウリクルメ、これからよろしく」

 男はどこか胡散臭い顔をしていた。


 「ああ、じゃなくてなんで俺の名前知ってんだよ?」


 「それは...そうだね、そこがまず気になるのか。蛇はなぜ、君達をこの町へ送ってきたと思う?」

 そうスウリクルメがいうと、総助の顔に少し緊張が走る。


 「お前、もしかして俺と同じなのか?」

 総助が息をのんでそう言うと、「うん」と一言だけ言ってスウリクルメは別のことを話し始めた。


 「興味深いよねどこか新しくもあり、どこか古臭くて気持ちの悪い場所だ」

 総助は回答に困ってると


 「大丈夫さ、今のは君に対する問じゃ無い。もっと大きな...そう例えば神に向かって話していたのさ」

 総助はこの男の発言に、どこか不気味さを感じていた。


 「とりあえずあんたは、寝床とかあるのか?」


 「心配は無用だ、私はどこでも寝られる。それじゃあ角居総助君また明日、次は源須流真君も一緒にいれば話が弾みそうだ」


 なんで須流真のことも知ってんだ?とも思ったがこれ以上は頭が痛くなるので、考えるのを早々に辞めた。


 「ただいまあ。つーかーれーたー」


 「おう、お疲れさん。そうだお前、彼女作るなんてやるじゃねえか」

 そうケイヤがニヤニヤした顔をして言う。


 「サリは金も泊まる場所もないから、金貸してここに泊めさせてもらおうってだけだって」


 「おうおう、もうすでに名前呼びかよぉ。かなり深いとこまで行ってるなあ」


 「だからそんなのじゃないって」

 総助が少しムキになってそういうと、ケイヤが近くによって真面目な顔をしてこう話した。


 「いいかソウスケ。男ってのはな、こういういざって時にしっかりするようにできてんだよ」


 「ちげえって、おれはもう行くからな」

 総助はかなり疲れた声をしていた。


 「おう、行って来いソウスケェ、声はできるだけ控えろよ」

 キメ顔でウィンクしながら、ケイヤが言う。

 

 かなりイライラしたがここで乗ると、ケイヤさんの思うつぼだ無視しよう無視。

 ガチャっと部屋のドアを開けるとそこにはサリがいた。


 「ソウスケさん、えっと話しておきたいことがあって」

 と、気恥ずかしそうにサリが言う


 「な、なんだ」

 ケイヤさんめ、さっきあんなこと言うからちょっと意識しちしまいそうになるじゃねえか。落ち着け角居総助、なにも早まるな落ち着け、深呼吸。


 「あの、明日一緒に街を見て回りませんか?」

 そう言ったサリの顔は少し赤かった。


 「わかった、アシタイコウ」

 サリは嬉しそう顔をして部屋を出ていくと、俺は動揺で顔が固まったままになってしまった。


 「これデートじゃん」


 俺はこの言葉を最後に、気を失ったように寝た。きっと疲れがたまってたからだ、そうに決まってる。

 明日…何着てこうかなぁ

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