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異世界乱世  作者: Asuga
白金の章、滅色の節。崇高と欲望
32/39

欲望の地にて、動き出す新たな物語

旅行が終わったので1週間ぶりの投稿です。見てくれる人が一人でもいれば、終わりまで楽しく書いていくを抱負にエイエイオー!です。

 世界が陰る。ただそこにいるのは血塗られた情景、それはまさに地獄絵図。


 人が戦い、傷つける。


 人が歩んだ歴史に残るのは真の栄光か、それとも嘘にまみれた虚構か、その先にある世界はすべからず正しい世界ではない。

 またここでも再び過ちが繰り返される。それを孕むのが怒りか、それとも悲しみかはまだだれにもわからない。だが、これだけは言える。どんな輝かしい栄光にだって、流れる血はつきもので、その栄光はどこか血生臭いものなんだと…



~~~


 

 目まぐるしかった緧の節が終わり、今はもう滅色(めっしき)の節となっていた。


 冬の始まりを予感させ、葉が落ち始めた林の中でカサカサと走り去る音がする。木々からはわずかにソウスケ達と、それを追うものの姿があった。


「待ちやがれ!てめえらのみぐるみ全部おいて行くまで逃がさねえぞ!」

 ソウスケ達を追っていたのは盗賊で、それも総勢20人ほどいる盗賊団がソウスケ達三人を狙い襲っていた。


 そんな中、ただ逃げ回るのに飽き飽きしたスルマは走りながらけだるげに


 「何故ずっと逃げている?こいつらを打ち取れば逃げる必要もないだろう」


 するとソウスケはむっとして


 「仮に俺達を襲うやつだったとしても、命までは奪えない。人の命を軽々しく扱うなんて、あっちゃいけないんだ。でも、話し合いに応じてくれなさそうなんだよな」


 正直ソウスケもそれなりの時間逃げ回っているので、肉体的にそろそろ逃げ回るのに嫌気がさしていた。


 「それでも駄目だ、人の命を奪うってのは許されざる罰だぜ。法王国ではかなり厳重な罰になるが、お前らは俺に捕まりたいか?」

 ルドラスはソウスケ達より早く、そして素早く逃げながらそう言うと


 「いや、勘弁だ。貴様に捕まるくらいならまだ奴らに捕まったほうがずっとマシだ」


 ソウスケ達三人はアラカンの町を出て、そのまま真直ぐ北上した先にある林で盗賊に襲われたのだ。


 あれからいくつかの村を、町を通り、時にして2週間近くも歩き続けたソウスケ達の体力は口に出すまでもなく、かなりの消耗を強いられていただろう。


 「ここを抜ければ法王国はもう目と鼻の先だ、走るぞ!」


 ルドラスがそう声を張ったその途端、スルマは足元にある木の根に捕まりその場に転げた。


 「ぐぅ、俺を置いて先に行け」


 盗賊が少しずつダガーを構えながらスルマに迫った。


 「へへ、じゃあこいつから痛めつけてやるか」


 ダガーはスルマを捕らえた、しかしそのダガーが行きつく先はスルマの体などではなく、スルマの背負う〈メカニックブレイブ改〉の側面で受け止めていた。


 「やめろ!」

 そしてさらにそこに、ソウスケが盗賊を跳び蹴りで飛ばした。


 「やっちまった、しょうがない。俺は少し席を外すからな、殺しはナシで頼むぜ」


 ルドラスがその場をスッと去ると、ソウスケはスルマに手を差し伸べ二人とも剣を構え盗賊との戦闘に入った。


 「いってぇ、お前らやっちまうぞ!」

  次々と各々の武器を出してくる盗賊たちの動きを、逐一確認し肩を並べ二人の武器は輝いた。


 ソウスケは一瞬スルマと目を合わせたと思えば、自身の〈光〉で作った木刀で目の前にいた盗賊のダガーを弾き飛ばし、木刀のわざわざ峰の部分で盗賊の頭を打ち、気絶させた。


 同時にスルマは〈メカニックブレイブ改〉を起動させ、少し赤く光ったその剣で向かい来る盗賊の武器や装備を狙って的確に切り裂いた。


 〈メカニックブレイブ改〉で切られた武器や装備は、鮮やかな断面が見えるほどに真っ二つにされており、逆に身に着けた当の本人には全くもって傷は一つも付いていなかった。

 このような状態には訳があり、〈メカニックブレイブ改〉の初期段階は細かなエネルギー状の剣であり、人体などの有機物にあまりダメージが与えにくい。その代わり武器などの無機物に対しては恐ろしく滑らかに斬ることができるのだ。


 武器や防具を失った盗賊たちは自分の身に何が起こったのかをすべては理解できてはいなかった。ただ判断できたのは、自らが武器でたたき切ろうとした途端にエネルギー状の不思議な剣で切られたと思えばすでに武器や防具が切れていた。その程度の認識だった。


 「ふん、この剣を使えばこれくらい容易い」


 剣を空で薙ぐと、何処から声がスルマだけに聞こえた。


 『上から来ます!』


 上空からは、遠くの方で待機していた盗賊が空に向かって射った、複数の矢が見えた。


 スルマは口元でニヤッとすると、左手から〈光〉を使い盾にし矢を防いだ。それから盾を弓にし、落ちた矢に自身のモロクショを付与し矢を飛んで来た方向に向かって今度はこちら側で射る。


 「炎の玉を矢に付与すれば、それはいわば火矢だ。安心しろ矢じりは潰してある、死にはしないさ」


 そしてその火矢の落ちる先に、ソウスケはそそくさと忍び寄る。


 矢が完全に落ちきった。潰されていたとはいえ矢は矢だ、その矢は刺さりはしないものの、そこにいた盗賊をひるませることはできた。


 ソウスケは木刀片手に、次々と盗賊を気絶させていった。


 「ふぅ、これで大体全部か?」

 ソウスケが辺りを見渡せば、そこには伸び切った盗賊たちが地面で白目をむいている。


 「後始末は俺に任せな、こいつらは罪人っちゃぁ罪人だ。それなりの処遇を俺が独断で決めさせてもらう。ここにある食料の1割がたもらっていくだけで、許してやるよ」


 そう言って食料をあさるルドラス。


 「やってることは追剥みたいなもんじゃ?」


 ソウスケはそう疑問を投げかけた、ルドラスはチッ、チッ、と鳴らしソウスケの方を軽く指さした。


 「盗賊も元はと言えば、追剥みたいなもんだから大丈夫さ。それに盗賊ってのも俺は嫌いでさ、っま法王国にこんなことばれたらめっちゃ怒られるけど、今回は向こうが悪いし黙っててくれよ」


 ソウスケもスルマもはぁとため息交じりに頷いた。


 盗賊たちをその場に残し、林から出るため林の中の道についた。


 「2週間、長かったな。」

 ソウスケが言ったその言葉には、あらゆる思いが重なり乗っていた。


 この2週間ソウスケ達はほぼ止まることのなく進み続け、その他の時間はルドラスの指導の下、何度か訓練もしソウスケ達はあのアラカンでの戦いから比べてずっと戦い慣れていった。

 

 木々をかき分けるように進み、林の先の日から映し出されたのは大きすぎるほどの聖堂とその周りに広がる聖堂街が神聖な予感を漂わせていた。


 「ここがディジアー法王国。中央にある大聖堂を中心に作られた聖堂街『ヨムキッルー』は、およそ1000の歴史を持つ貴重な街で。1000年前の形を変えていないのは、世界中どこを見ても此処だけだと思うぜ」


 ルドラスがこの町の説明をすると、スルマはふと疑問を口にした。


 「1,000年前の町のままだというには、どことなく機械的だな本当に1,000年続いているのか?」


 「それは簡単だ、1,000年前にあった『失われた技術』たちは今でも解明が不可能なほどに難しいつくりをしている。まあ、その技術を使って今の今まで生活してきたんだけどな」


 「不安じゃないのか?仕組みがわからないものを使うなんて」


 「なんでさ?便利なものがあるんだ、使わない手はないだろ?」


 するとソウスケはふむ、と納得したようにした。


 「なるほど、技術そのものは知らなくともスマホは扱える…か」


 ソウスケがそう納得すると、スルマもそのたとえで同じく納得した。しかし、ルドラスだけは『スマホ』という聞きなれない言葉に納得できていなかった。


 そんなことを話していると、既にソウスケ達は法王国の聖堂街に入っていた。


 ディジアー法王国ヨムキッルー聖堂街。

 ディジアー法王国が持つ唯一の町で、その姿はさながら城下町の姿をとっている。しかし、この町は他の町と違い、多様な機械がある。例えば、町中に物を運ぶ為の自動機械(オートマジン)や、水流を利用した機械など様々だ。それはこの世界では異質とさえ思えてしまうほどに、ソウスケ達から見ても未来的に映った。

 また、この町に住む者たちはこのディジアー法王国の経典『デーフォルミス・ダハーツ経典』を持った立派な信徒たちで、信徒たちが守るこの町は法王国の掲げる和平永世(わへいえいせ)を体現するかの如く、どの国どんな人種であっても等しく接し神の民として日々を全うしているのだ。


 「ようこそ、ヨムキッルー聖堂街へ。この町では争い事の無い様に律してお過ごしくださいませ」

 町に入るとここの衛兵らしき者が、ソウスケ達に歓迎と注意を促した。


 「凄いな、なんていうかアラカンやリーエレと同じ世界にあるって考えられないくらいに大きくてきれいな街だ」

 ソウスケは目を輝かせ辺りを見ると、裕福そうな優しい顔つきの獣人とその獣人と仲よさげに話すものの姿があった。


 するとソウスケは


 「なんでだ?」


 と、ルドラスに問うた。


 「何のことだい?この町ではあれが日常だ、何も不思議がることじゃない」

 ルドラスは飄々と言うと、ソウスケは声を少しだけ荒げ


 「じゃあ、なんでルルを殺そうとした。獣人と共に過ごせるこの場所を作ったのはあんた達だろ?どうしてだ」


 「この国に入れば、それは全て法王ラゲル様の管轄内。俺達は何ともできない、そして俺は個人的に獣人が嫌いなだけだ」


 ソウスケは不貞腐れたようにルドラスにそっぽ向き、ルドラスが案内する大聖堂へと向かった。


 大聖堂内では法王ラゲルにその信徒が報告をしていた。


 「聖下、ルドラス司教と報告にあったソウスケ様方がお越しなられました」


 「そうか、では行かん」 


 「お手を貸しましょうか?」


 「いい、客人の前で不格好な真似はしたくない」


 法王ラゲルは信徒とそんな会話をしながら、ゆったりと長椅子に向かって歩いた。


 そして時を同じくして大聖堂の入り口にソウスケ達は入っていた。


 「壮観だな、ここまでとは思わなんだ」

 スルマの目に映ったのは、太陽光を映し出し輝くステンドグラス。そして目が合成映像かと錯覚を起こすほどのその光景は、ひとえに美しいとは言い表せないほどの光景だった。


 すると司祭の一人であろう者が、ソウスケ達を法王のいる大広間まで案内した。


 ステンドグラス越しの鮮やかな日の光が差し込むと、そこには様々な装飾品を着け白い礼服を着た法王ラゲルの姿があった。


 「よくぞここまで足を運んでくださりました。そして、アラカンの町と民を救ってくださったことに関しましては、人を生んだ神・リヒタ、文明を授けた神・ヒュンミーに変わり私から感謝を」

 ラゲルがそう言って頭を下げると、辺りにいた信徒・司祭・司教達も頭を下げた。


 「法王様、感謝の言葉は大変ありがたいのですが今はそれどころではありません。おそらく既におおよそお聞きになられているとは思いますが、アラカンのアイテラガ公爵が亡くなり現在アイテラガの特にアラカンは隣国の帝国に攻め入られる危険があります。なのでどうか、和平永世を掲げる法王様のお力を借りたく存じます」


 ルドラスがかしこまって片膝をつきながらそう述べると、ラゲルはにこやかな顔をして


 「ルドラス司教も今回の件では大変な目に合わせたが、よくぞ戻ってきた。それに関しては心配無用だ、昨日既に司祭らを向かわせている」


 ルドラスがほっと胸を撫でると、ラゲルが次に注目したのはソウスケだった。


 「ソウスケ君だね、君のことは聞いているよ。なんでも町の魔獣討伐に大きく貢献した。とても感謝している。」


 「え・・・ええ、そうでございます。俺・・・ワタクシが大変貢献させていただき申した...」

 ソウスケがそう慣れない堅苦しい言葉を何とか絞り出そうと奮闘していると、ラゲルは少し優しく笑い


 「くだけてもらっても構わない、わたしは法王などと呼ばれているが血筋で選ばれただけのただの老いぼれさ」


 「そう…ですか」

 ソウスケは少し肩の緊張をほぐし、改めてラゲルの方を向いた。


 「改めて、魔獣討伐に大きく貢献した君に感謝を。そして、そんな君たちに頼みごとをするようでしのびないのだが頼みがあるのだ」


 「何でしょう?」

 ソウスケがスルマの方を少し見て疑問に思うと


 「入ってきてくれ」

 ラゲルがそう言うと、その大広間に二人の影が入ってきた。


 「あんたは!?」

 ソウスケもスルマも心の底から驚いた。何故ならばそこには二人がよく見知った人物が一人、いたからだ。


 「ノーレン卿、そして傍付きの従者のアガイ殿、よく参られました。改めて頼みごとがあるのです。スーデリク王国との協力関係にこじつける為に協力してほしい」

 その言葉を聞いた瞬間、場が少しだけ固まった。

大聖堂の大広間とは中央塔やアプスの場所ら辺だと思ってください。

あと個人的に気に入らないところがまあまああったので、1話前のスルマ外伝のエピソードを少しいじっておりますので是非見に行ってください。

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