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異世界乱世  作者: Asuga
暗雲の章、緧の節。失った者達、失う者達
28/39

Awaking!新たなる力

 白いこの世界と反発するようなエネルギーが、スルマの体から(ほとばし)る。


 何かを感じる、空を見ると突如としてエネルギーが飛んで来た。俺はそれを腕で受け止めると、そこにあったのは見るからに機械で出来た武器であった。


 すると頭の中で聞き覚えのある声が響いた。


 『その武器をあなたが開きなさい!、そしてその武器を開いて開閉なさい。』


 一瞬何を言ったのかわからなかったが、キナの声を聴いたスルマは、機械で出来た武器に力を込めるとたちまちその武器はエネルギーが集約し白いエネルギーラインが通った大型の剣となった。


 サリと魔獣はたちまち顔を強張らせ、その異質なスルマの雰囲気を警戒した。


 『その武器の使い方は簡単、(アルス)を使いそれを込めればその剣〈メカニックブレイブ改〉は力を思う存分使えるはずです!』


 「悪いがそのアルスとやらは知らん、だから」


 スルマは〈光〉で盾を作りつつ、火の玉のモロクショを〈メカニックブレイブ改〉に力を込めて使うと、〈メカニックブレイブ改〉は赤く光り若干の火を込めた。


 「この周りに浮かんでる奇妙な文字は一体なんだ?」


 『それは私の先生が作ったものですので、よくは知りません。ただ先生は、文字が浮かんでるのがかっこいいからそれでいいと言ってました!』


 馬鹿なのか?この武器の名も。正直こいつと協力関係をやめたいとさえ頭に過ったが、この剣からは確かなエネルギーが感じられる。間違いなく性能は本物だろう、多分おそらく。


 スルマの剣で魔獣の左前足を斬ると、たちまちに魔獣は体を直した。


 有効打かは知らんが、とにかく畳みかけるそれしかない。


 サリを後回しにスルマは真っ先に魔獣を狙った。


 しかし、魔獣の弱点を知らないのと、この個体が通常よりはるかに強いことが加味して、スルマはなかなか魔獣を倒せないでいる。それどころかむしろ逆に、反撃されているまでもあった。


 「おい、攻撃が効いてないぞ!」


 『おそらく、弱点がどこかにあるはずですが…すみません一旦消えます』

 プツンとテレビ電話のようにあっさりとキナとの繋がりを断たれると、体に急に負荷がかかり動けなくなってしまった。


 魔獣に吹き飛ばされると、今度は反対側の壁にたたきつけられた。それでも気だけは失うことはなく、何度も起き上がろうと藻掻いた。


 だが、


 スルマの体はもう限界に達しており、スルマの思いなどではピクリとも動こうとしなかった。


 「クソ、今度こそここまでなのか?」

 悔しいほどの現実に押しつぶされそうになると、その現実を吹き飛ばすかのように飛ばされる人影があった。


 「くそぉお、そもそも二対一が卑怯なんだ。僕は強いんだ、負けないんだ!」

 吹き飛ばされてやってきたのは、なんと帝国先兵アビアであった。


 「あぁ?さんざん魔獣使っといてよく言えたなぁ?でも残念、俺は元から卑怯者なんだよ」

 カゲトは、鎌と鎌を鳴らしながらゆっくりと近づいてくる。


 そしてスルマのもとには、


 「立てるか?須流真。あいつは俺に任せてお・・・え?」

 ソウスケは見た、今にも逃げ出しそうなサリの姿を…だがこの状況をすべて理解した上でもう一度こういった。


 「あいつ等は・・・俺に任せておけ。」

 サリはソウスケの顔を見てもなんとも思わないのか、あっさりと戦線を離れてしまった。


 「何なんだ、お前らは何なんだ!」

 アビアは震えながら、何とか声を絞り出した。


 「俺達は、誰でもない。強いて言うのなら、お前を倒すために集まったやつらだ。お前が笑いながら奪った命に、魔獣や獣人によって殺された人たちにお前が詫びるまで、俺は戦う!」


 「詫びる…?どうしてだ、帝国はすべての支配者、奪って何が悪い?奪われるものの準備がないだけで勝手なこと言いやがって、何様だ?命は平等じゃない、それは帝国じゃないこの世界が既に表している。ならば奪う側に回る、それが此処の正義だ」


 「平等がどうだのなんて知ったこっちゃない!奪われる側より奪う側が正義だって?冗談じゃない。正義なんて大層なものはこの世に存在しない!でも、確かにあるものはある、それはお前みたいな悪だ!」

 ソウスケは張った声でアビアを指さした。


 「なら、その悪ってのがどこまでいけるのか見ておけよ。僕はアビア、僕なりの正義を掲げる者!こい、僕の魔獣…ニマ!」


 先ほどの一回り大きい魔獣は町全体に響き渡るほどの咆哮を上げ、アビアを守るよう前に出てきた。


 すると、タイミングを見計らったように路地から走ってきた白衣の男、クルメがいた。


 「やっほ!魔獣討伐にでも一緒にどうだい?」

 クルメはポケットからスマホくらいの機械を取り出し、魔獣に向けた


 「キルサンダー」

 炎のようにすら見える雷を魔獣の喉元に浴びせると、三秒にも満たずに治してクルメの方をじっと見た。


 「なるほど、ここまでのスピードで再生するのか…これは脳を潰せばハイ終わりとはいかないんじゃないかな?」

 クルメは冷静に分析すると、


 「そこの眼鏡、いい判断だ。俺もそう思う」

 カゲトとソウスケ、それからクルメは並び、魔獣討伐へ今にも乗り込もうとしていた


 だが、


 「まて、俺も行くぞ。俺はまだ諦めきっちゃいないッ!」

 スルマの思いだけでは無い、ソウスケとの思いとさらなる敵を目の前にしてスルマは再び立ち上がる。

 「俺は…源須流真。俺は屈しない!」


 「そうだぜ、須流真。俺達は負けない、出陣だぁー!」

 ソウスケ、スルマ、クルメ、そしてカゲトの四人は束になって魔獣を狙った。


 カゲトは真っ先に首から頭に回り込み、にやついた顔で鎌を振り落とて脳に直接攻撃を与えた。


 しかし魔獣はそれでは止まらなかった、


 クルメは手に持った端末を操作すると、体は宙に浮き魔獣が攻撃をしても一切ダメージが入らなかった。と、いうより当たらなかった。


 「私の発明はいかがかな?私は遂に完成させたんだ。物語やゲームでたびたび見かけたあの『バリア』を、付随して跳べるようにもなったのは上々だね」

 

 クルメは頭の方に跳び、魔獣の頭のふさがりかけた傷を見た。


 「みんな聞いてくれ、おそらく核が複数あるタイプだ。それを証明するように、私のデバイスはあの魔獣の中に眠るエネルギーの核を2つ確認した」


 するとスルマは、〈メカニックブレイブ改〉にモロクショを溜め炎の剣を造りながらクルメに聞いた。

 「どこにある?全員で同時に潰せばいいのだろう?」

 

 「脳の奥と、それから背中だ!」


 しかしアビアはそんな状況で、黙っているわけはなかった。


 「3つだ…ニマ、僕と一つになろう」

 アビアは魔獣の腹のあたりに接吻をすると、少しずつ魔獣の皮膚が熱くなりアビアは溶けだした魔獣の体に取り込まれた。


 すると魔獣はまるで人間のように二本足で立つと、先ほどよりもさらに大きく次は雄叫びのようなものを上げた。


 「馬鹿野郎!!待ってろ、今助ける。」

 ソウスケは見切り発車で魔獣の腹に近ずくと、簡単に魔獣の尾で掃われてしまった。


 「馬鹿か角居。あいつはそういう選択をしたんだ、だったら終わらせてやる方が奴の為だ」

 

 「いや助ける。死んでもいいなんてあるわけがない、って俺学んだんだ。だから絶対助けたい、協力してくれ須流真。」


 スルマは嫌そうな顔をするでもなく、ただ


 「好きにしろ、お前がそうしたいのならな」

 

 とだけ言ってソウスケに手を貸し、肩を並べた。


 ソウスケとスルマは一呼吸を入れると、走り出し魔獣の足に狙いを定めそれぞれの武器で刺していく。


 魔獣はソウスケやカゲトを振るい落そうと暴れだすと、クルメはにやりと屋根のあたりで〈バリア〉を解き、深呼吸すると


 「キャプチャー&キルサンダー2nd(second)


 雷で魔獣の頭を何度も燃やし尽くし、それと同時に足を二本を拘束すると、たちまちその大きい図体は倒れこんだ。


 そして魔獣が倒れ込むその先にいる二本の鎌を携えたカゲトは、大きく息を吸い武器を構えた。


 魔獣が倒れこむと、カゲトは一瞬魔獣によって潰されたかのように見えたが、たちまち魔獣の背中を切り裂く音が聞こえた。


 「ほぅら!簡単に出てこれたぞ。さて、」


 クルメとカゲトは攻撃のタイミングを合わせ、肉体の中に眠る核をしっかりと破壊した。


 パリン!とどこか儚い音が鳴ると、魔獣は最後の力を振り絞るように立ち上がり口にエネルギーを溜めた。


 スルマとソウスケは共に走り出し、魔獣の胸にまで跳んで攻撃したが魔獣の胸はまるで鋼で出来ているかの如くカキン!と二人の攻撃を弾いた。


 「硬ってぇ、こんなんじゃ止められない…」

 辺りが少しずつ魔獣の溜めたエネルギーによって風ができていくのを、ソウスケは眺めていることしかできずにいた。


 クルメやカゲトも魔獣の胸に攻撃を与えたが、一切の傷を負わないのを見て驚愕した。


 「そんなバカな!?」


 「冗談じゃねえぜ」


 そんな中スルマはこの〈メカニックブレイブ改〉の異質さに何か気づいたのか、ソウスケにこの剣の柄を握らせ自身も剣の柄を持った。


 すると、


 剣の中の白いエネルギーが活発になっていくと、〈メカニックブレイブ改〉から排熱されたのか、プシューと半透明な湯気が上がり、剣はより鋭いものへと変化していた。


 しかしこの剣は、ソウスケとスルマの左腕と右腕を飲み込み、ソウスケとスルマの片腕は機械に覆われた。


 するとスルマにとって、聞き覚えのある声が再び聞こえてきた。


 『その剣は!これが〈メカニックブレイブ改〉の真の姿…』


 「おい!なんなんだこの状況は、気味が悪くて仕方がない」

 今この時、この声が聞こえているのはソウスケとスルマだけ。ソウスケも何が起こったか分からなかったが、ここは自分が何か問う番ではないとこの頭に響く声をしっかりと聞いた。


 『先生が言っていました。その剣は、強き力が一つになったとき現れる。と、そしてその剣は〈ヴェルスグラディウス〉二人の力が一つになったとき、それはこの世界をも切り裂く力を持つでしょう。』


 「はぁ、ならば角居。共に跳ぶぞ、合図はいらないな?」


 ソウスケは少し鼻で笑うと、

 「おう!」


 ソウスケとスルマの二人三脚、二人は息ぴったりに跳んだ。そして空中で剣を空に掲げると、剣のエネルギーが飲み込んだ二人の腕にまで周り、白くそして強く輝いた。


 二人は呼吸を、力を一つにし、二人だけの新たなる力を目覚めさせた。


 「「イグニスネクサス!!」」


 炎を少しまとった鋭い剣は、あんなにも硬かった魔獣の胸を水を斬るがの如く、軽く、そして鮮やかに切り裂いた。

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