交戦、魔獣現る!
火が燃え盛る中、ある一点だけは火が燃え盛らず衝撃だけが響く。
「マッスルプレス!」
カゲトは二つの鎌をアビアに突き刺そうとするが、アビアはすんでのところで骨で作られ黄ばみがかった剣で片手で受け止めたが、カゲトは鎌越しに自身の体格を生かしアビアを押しつぶそうとした。
「重いなぁ」
アビアは骨の剣を両手に持ち替えると、人には聞こえないくらいの高音を出した。
おそらく仲間を呼んだのであろう、それもあの化け物を…
俺にとってあの化け物は、気味が悪くって仕方がなかった。醜くてそれでいて知性も感じて、そんなちぐはぐな生態が恐怖の域にまでたすっるほどだった。
化け物は自身の体を投げ出して、カゲトを突き飛ばした。
カゲトは受け身をとれず地面に顔から落ち、イラつきながらアビアの方を睨んだ
「ずいぶん舐めたマネするじゃねえか、ならば…」
カゲトの鎌が少しずつ白く光っていくと、
「ビルドアップ!!」
カゲトの体が一回り大きくなると、「お前も手伝えよ」と言わんばかりに俺の方を見た。
「へえ、技を君は使えるんだ~」
アビアは何かを知っているようで、技というものに大きい好奇心を露わにした。
「帝国の連中は使おうとしねえからな、だから廃れるんだぜ」
カゲトは帝国に対し恨みがあるのか、無表情で吐き捨てるようにそう言った。
するとアビアは面白くなさそうな顔をして、骨の剣を空に向けた。
「見世物小屋の道化!」
アビアは空に向かってそう叫ぶと、辺りの化け物が全て俺やカゲトを狙うようにここに集まってきた。
「どう?新兵器〈魔獣〉は」
「てめえら帝国はいつも、こんな碌でもないもんしか生み出さねえな」
カゲトは指先で小さく合図をしながらアビアと言い合った。
この時俺は魔獣ではなく、最初にアビアに対して一本のクナイを投げた
クナイは勢いよく飛び、アビアの剣を持っている手の甲に突き刺さった。アビアは痛みに狼狽え、剣をその場に落とすと、うるんだ目で俺を睨む。
「てんめぇ、ぼくの手に僕の綺麗な手によくも…よくもぉぉおおお!」
アビアはクナイが刺さって血が出ている手を、泣きながら舐めて、なめて舐めて舐めた。それはさながら、切り傷がができたときにさっと舐め傷口に唾液を残すように。
俺は後ろから迫ってくる魔獣に薙刀で相対すると、カゲトは跳んで魔獣の脳天から鎌で突き刺しねじ切った。
「馬鹿野郎、こいつらは脳をやんなきゃ死なねえ。そんなちんけな武器で倒せるかよ」
いや、薙刀でいいんだ。俺の考えがうまくいけば…
そう思ったが吉日、魔獣が現れると俺は薙刀を回しながら走った。相対する魔獣の足元をぶった切ろうと、力いっぱいに薙刀を振るって走り抜けた。
しかし、振り返ってみてみると魔獣の足は切れてはいなく、逆にこちらの薙刀はボロボロになっていた。
「小僧!技を使え!」
カゲトがそう言うと、ソウスケはぎょっとしその場で一瞬固まった。
アルス…きっとオーリやセツが使ってたあれだ、でも俺に使えるのだろうか?俺がそう疑問に思っているうちにも、魔獣は迫ってきている。
俺はやけくそ交じりに、刀を手に持ち迫ってくる魔獣たちを斬ろうとした。その時、頭に一つの技名のようなものが浮かんだ。
「スカッシュスラッシュ」
空間が少し歪み、その空間を押しつぶすようにぶった切ると魔獣たちの足はたちまちねじ切られた。
「カゲトぉ、こいつらの頭を!」
「分かってらぁ!」
カゲトと俺は10匹はいた魔獣の頭を砕いた。
俺とカゲトは息を切らして、周りを警戒すると
「うぇ?うは?ひゃははははははは」
俺とカゲトは思わず魔獣の死骸の方を見ると、そこには魔獣の血肉を食らうアビアの姿があった。
アビアはこちらに気づくと、歯を見せながら笑いながら剣を持ちこちらに向かってくる。
「ぶっ殺そう!」
「イカれてらぁ、さっさと止めるぞ小僧」
カゲトはまるで自身の子を見るようにアビアを見ると、決心したようにソウスケにそういった。
「おう」
一方その頃
アイテラガ邸宅前では、大量の獣人を止めているラスレとアイムの姿があった・・・
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キリがないな、
大量の獣人たちが、僕達をめがけて走ってくる。
「アイム、協力と行こう」
アイムは少し気まずそうにうなずくと、お互いに武器を持って屋敷の前を守っていた。
今僕達は、この屋敷を守っている。正確には、この屋敷に逃げてきた人たちを守っている。
モレウベの民が攻めて来たすぐ後、いくらかの市民はこの屋敷へと逃げ込んだ。幸いにも獣人はまだ入っていなかったし、火もまだ来ていない。
そして今、僕ことラスレとアイムでこの屋敷を守っているのだ。
「アイム少し後ろに下がっていろ、僕がやる」
アイムとは古い知り合いで、昔は家の付き合いで何度か遊んだりもした。また、学院も一時期同じだったからそれなりに友とまで呼べるかもしれない。
「ラクレス受け取れ!イルミネイトチャージ!」
アイムの周りに青いエネルギーが溜まり、ラスレに力がどんどん与えられていく。
帝国人は技を使わない、皆モロクショをつかう。というより、国の法律で帝国の血が通っているのなら技を捨て、神からの贈り物であるモロクショを使うことと、300年前に当時の帝王ブルガノン・フォン・アルダーその人の言葉で帝国の人々は技を捨てたのだ。
だけど、僕は違う。
力が溜まったころ、剣の柄に指を乗せ獣人が僕に飛び掛かろうとすると
「一ッ閃」
僕の剣が獣人の首と心臓を綺麗に切ると、体だけ先に落ちて首と心臓は切られたことが気付かなかったようにそのあとゆっくりと剣から滴り落ちた。
「ラクレス!今度はでかいのが来る!」
そこに現れたのは、ソウスケの方にも現れた魔獣だった。
「炎の矢!」
アイムはモロクショを使ったが、魔獣はびくともせずアイムやラスレたちの方へ迫っていた。
「なら、スプリームエッジ!」
アイムはラスレの剣を使って魔獣の首に剣を刺したが、それでも魔獣は止まらなかった。
なるほど、さっきから攻撃が効いていない。でもどこかに弱点はあるはずだ、
僕は少し跳び、首に突き刺さったままの剣を使おうと考えた。
呼吸は安定させ、体は緊張させ、目は相手を見る!
「叢時雨」
静かなすぎるほどあっさりと魔獣の首がはねられ、ラスレはそのまま頭と体をこまごまに刻んでしまった。
今刻んだ感覚で分かった、この化け物の核は頭…いや脳だな、帝国の作るものはいつも詰めが甘い。きっと帝国が使った技術はおそらく・・・、これはアイムにもソウスケ達にも言えないな
「凄いなラクレスは」
「アイム、多少体を休めたいんだけど…できる?」
「ああ、これくらいしかできないからな」
アイムはそう言うと、目をつむり優しく
「レゾナンスハーツ」
ラスレはたちまち疲れが抜けたようで、穏やかな表情をした。
「なあ、ラクレス。この世界ってなんなんだ?」
アイムが不意にそう言うと、ラスレはその場で固まった。
「え?」
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そして戦いの火蓋はここ、宿前でも切られていた。
そこにはスルマとスクヨ、そして彼らに牙を向けるサリの姿があった。
「下がっていろ救代、こいつとは因縁がある。」
スルマは剣を出すと、剣をサリに向け
「いつぞやの戦いの決着でもつけようじゃないか、サリ」




