ソウスケは明日を思う。
「はあ、倒した後始末までが依頼か」
ソウスケ達は昨日の町はずれまで戻ってきて、後片付けをしていた。
「はは、まあさっさとやっちゃおう?」
スクヨやスルマは、自分の中でいろいろと踏ん切りがついているのか、死体を見てもあまり深くは考えていないようだった。
しかしソウスケはそうもいかず、複雑な顔をしながら死体を運ぶ。
「角居、その死体は俺が埋める。これで最後だ」
ソウスケは、一歩引きスルマに任せることにした。
「何でやってくれるんだ?」
「お前には関係ない、約束したからな」
ソウスケはわからない顔をして、ラスレやクルメの居る元へ集まった。
しかしラスレとクルメの間に微妙な空気が漂っていることに気づき、なんと声をかけようかと戸惑っていると
「ソウスケ!こっちは終わったよ。そっちはどう?」
ラスレは明るくそう言う
「こっちももう終わったよ、後は須流真のやつが終われば...」
しばらくしてスルマは土まみれになってソウスケ達に合流した。
「じゃあギルドへ報告して報酬入手と行こうか!」
ソウスケ達は舞い上がって、少し心をステップさせながらギルドに向かうのだった。
町は繁忙期なのかどこも活気があり、それはギルドも例外ではなかった。
ギルドの中は人があっちへこっちへ移動し、落ち着きのない様子だった。ソウスケは何とかギルドの組員を一人呼び止め、報酬を受け取ることができたのだった。
「8500ラトか、まあまあかな?」
ソウスケ達は手に入れたお金で、腹ごなしをすることにした。
「それで、これからどうするつもりなんだい?獣人一体探すのは簡単じゃないよ~」
クルメは、フォークをかじりながらそう言った。
「ああ、サリを探すのが簡単じゃないことはわかっているんだ。だから俺なりに考えたことがあって」
ソウスケはそう言うとポケットからくしゃくしゃにした紙を出して、汚い絵を見せた。
「ナニコレ?」
スクヨはその絵を笑うでもなく、単純に理解できなかったようだ。
「ここがアラカンの町で、ここを南下していくとアフィニティー帝国ってのがあるらしいんだ。んで、そのアフィニティーには獣人への差別をなくそうっていってる連中がいるらしいんだ。もし帝国にサリが行っているならその人たちに保護されてるかもしれない、だから帝国に向かわないか?」
「無理だと思う。帝国は今、戦争の準備で外からくる人達を厳しく検問してるって聞きいたんだ。だから今は帝国に行くのは得策じゃないと思う」
ラスレは少し焦っていた、そしてその表情を見たクルメは口元を手で隠した。
「俺たち何もやましいことはない、だから帝国の検問だってどうにか---」
するとラスレは急に立ち上がりソウスケの声を遮った。
「よく考えてください、戦争をしようとする国の検問がまともなわけない。最悪僕たちが殺されます。もしサリさんが、帝国にいるならもうとっくに死んでる」
ラスレは勢いでそう言い放った。
「そこまでだよ、君たちが何も言いあう必要はない。私としてはここでまだやりたいことがあるからね、勝手に帝国に行かれては困る。それにラスレ君は帝国が嫌いみたいだからね、今はやめた方がいいと私は思うよ」
クルメはラスレの方をふと見ると、ラスレは既にクルメを睨んでいた。
「じゃあ、午後はもう一度ギルドに行ってまた別の依頼を探そう」
ソウスケは固くそう言った。
しばらくの沈黙が続いた後
「角居、この紙に書いているスーデリクってのはなんだ?」
スルマは、ソウスケの書いた地図のようなものに書かれた場所を指さした。
「ここから北に行くとスーデリク王国ってのがあって、そこには王様がいるみたいだ」
ソウスケの声は少し元気を落としていた。
その後全員に微妙な空気が流れた。
しばらくして、ソウスケ一行は再びギルドへ向かった。
「それではこの依頼などいかかでしょうか?」
受付の男はたくさんの荷物も持ちながら、一枚の依頼書を出した。その依頼書には建国記念日に向けたパレードの準備、その手伝いと書かれていた。
ソウスケは快く了承し、手伝いをこれからひと月することにしたのだった。ソウスケとスクヨは嬉しそうに、スルマは不機嫌そうにしていた。一方ラスレは、ほっとしたような顔をしていた。
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あれから数日経って、今は緧の節3日目。ソウスケ達の朝は今日も早く、朝の5時半から街に出て各々あらゆる仕事をしていた。
ソウスケとラスレそれからスクヨはパレードで使うオブジェの設置、スルマとクルメは、町の周りの警護に当たっていた。
「おい、何をそこでさぼっている?」
「いいじゃないか須流真君、私はこれでも警護できるからいいんだよ」
クルメがそう喋っていると、スルマはクルメを蹴って「真面目に働け!」町の周りを右往左往するのだった。
ソウスケとラスレは、あの日からお互いに少し微妙な距離感を保っていた。
「ラスレ君も、角居君もいい加減仲直りしたら?作業も私越しじゃないと話せないから効率も絶対悪いって」
この距離感に耐えれなかったのはスクヨの方だったようだ。
しかしお互いになんと声を掛けたらいいものか黙っていると、先に口を開いたのはラスレの方だった。
「ソウスケ、ごめん。冗談でも言っちゃいけないこと言った。僕は帝国の生まれなんだ、戦争が嫌で逃げてきたんだ。だから帝国に戻りたくなかった」
「ラスレ...俺の方こそごめん。戦争とかよくわからなくて、ラスレのこと何も知らなかった」
お互いに誤りようやく二人で話をした。
スクヨはそばでニコニコしながら、仕事場へ戻るのだった。
「ソウスケ、スクヨはずっと笑顔で綺麗だね」
ラスレはスクヨのかを見ながら言うと、ソウスケは少し笑って
「それはな、楽しいからだよ。知らない場所にいてもそれすら楽しいんだ。俺だってそうだ、つらいこともあるけど明日が楽しみなんだ。だから笑顔なんだ」
「ラスレ、お前は明日が楽しみか?昨日や過去を思うより、明日を思う方がきっと楽しいさ」
ソウスケは満点の笑顔を見せた。
ラスレは何かに気づいたのか、自身も元気にあふれた笑顔をした。明日を思うことがきっと大事なんだと心に刻み、ラスレは歩む。




