二度目の邂逅、龍虎の思い
「あの日ぶりだな、角居総助」
「ああ、ここはどこだ?」
ソウスケは周りを見ても、自分には見当がつかない場所であった。
「前にも言ったろう、ここはお前と私が作り出す空間だと、今日はたまたま私の色が濃かったようだがな」
その場所は綺麗な一軒の家の中だった。
「ずいぶんいい家だな、ここは何か思い入れのある場所なのか?」
総助は優しい声でそう言った。
「ここはかつて私と妹と、それから母と暮らしていた家だ」
龍虎は、遠い過去を思い出すように食卓を眺めていた。
「あんたは、なぜここに?」
少し間を置き龍虎がぽつりぽつりと話す
「お前と私は繋がっている、いや正確には我々5人は元は一つだったのだ」
「だがプロジェクトによって、君たちは5等分の一を埋め込まれた。私はそれを口にしたそれだけのことだ」
総助は龍虎が何を言っているのか理解ができなかった。
「それから、救代ことをどうか守ってやってくれ。あいつは昔から賢い、きっとお前の役に立てる」
総助は少し納得した
「やっぱり兄妹ってどこか雰囲気似るのかな?何となく救代と話してるみたいだ」
「そんなことを言われたのは初めてだ。なあ角居総助、少し昔話に付き合ってくれないか?」
総助はこくりと頷き近くにあった椅子に座った。
「私の両親は正直、心から尊敬できるような人じゃなかった。父は周りの人間を蹴落とし自身が一番になれればよいと考え、母は周りと我々は生きてる世界が違うのだとそう子供に言い聞かせるような人だった。」
「私たち兄妹はお互いに考えも違った、あいつはいつも自分と周りの平和を守るため戦っていた。私はと言うと、子供の時は我ながら傲慢なやつだった。父の考えや母の考えを鵜吞みにし、周りと自分は違うと自信満々に息巻いていた。そんな家族だった。」
「家族を恨んでるのか?そんな考えに教えた両親に」
総助は何とも言えない顔をしていた。
「恨んでなどいないさ、それもまた違う強さであろう。だが私は強くなどなかった、私は父の建てた会社であるプロジェクトのリーダーを務めていた。若いうちにプロジェクトのリーダーという立場に私は浮かれ横柄な態度をとり、一瞬にして周りの人間はいなくなった。私のせいで死なせてしまった研究員だっている。私はそこで悟った、父や母のように強くはないし、妹の様に守る意思さえない、私はそんな弱い人間なんだと」
「龍虎...」
「そして私は打ちのめされた、そんな中救ってくれたのが角居祐大。君の父親だ」
「父さんが?」
「君の両親は父の会社の研究員だった。彼らは私にたくさんの激励や過ちを正してくれた、私にとっての救いだった。それが後の私を形作った」
「話を聞いてくれてありがとう、少し楽になった」
龍虎は満足そうな顔をした。
「一つ聞いてもいいか?」
総助は自身のなさそうな顔で質問する
「大人ってなんだ?大人になるってなんなんだ」
「難しい質問だな、だが一つだけ言えるのは大人というのは知恵と力をそして勇気を持つこと、そう私は考える。だから私は30を過ぎているがまだ子供なままだ」
龍虎は少し笑い、自分の掌を見た。
「まだわからないことだらけだけど、一つだけ言えることがある。俺は力を手に入れる、誰かを守るために」
総助の体が少しずつ消えていく、
「じゃあな龍虎、また此処で」
「お前がいつかきっとアレを掴むことを信じている、また会おう」
二人はすっと消えるのであった。
~~~
呻の節16の夜・・・
ここはアラカンの中心から少し外れた宿、その一室からまぶしい光が何度も点滅していた。
「アッソーレ、これが警察官の服装だ」
ソウスケは自分の〈光〉の力で見た目をいじって遊んでいた。
「さっきからうっとうしぞ角居、遊んでる暇があるならさっさと寝ろ」
スルマはそんなテンションの高いソウスケを見てイライラしていた。
「そんな力もあるんだね~」
「凄いな、これがソウスケのいた世界の衛兵のようなものなんだね!
クルメは興味深そうに、そしてラスレは目を輝かせながらソウスケのファッションショーを見ていた。
それからソウスケは侍の格好になって見たり、消防官の服装になって見たり、とにかく自分たちのいた世界の服装に何度も着替えた。
「そしてこれがラッパー、なんか韻を踏むなんかだ」
ソウスケはそれはもう自分の無知さを披露し、クルメもスルマも呆れていた。だがラスレだけは最後まで興味深そうにしていた。
その時、扉がダンと勢い良く開いた。
「男、うるさいよ!」
スクヨは今まで見せたことのない表情をしていた。
それから一瞬にしてソウスケは大人しくなったとさ…
なんかいろいろ力を手に入れたけど俺はどうすればいいんだ?
よく考えてみると、自分は元の世界に帰りたいが帰り方なんてわからない。サリに会うって言ったって、獣人が好ましく思われてないのに聞き込みなんてできるのか?
これって何のために俺に備わった力なんだ?
そんなたくさんの疑問を抱きながらベッドで寝て、今日も終わるのだった。




