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異世界乱世  作者: Asuga
始まりの章、呻の節。始まった物語
11/39

後悔の夜明け。~旅立ちの刻~ 

 朦朧とする意識の中で何人かの声が聞こえる...


 「止血をしろ、救代君ではもうだめだ。」

 「使えそうなものがあったら、俺が使いたいくらいだ」

 「とにかく二人とも落ち着いて、一か八か回復のモロクショを使ってみる」

 「ラクレス君、危険は承知の上かい?」


 そこで再び俺は意識を失った。



 「んん、はっ!ここは?」

 目を覚ますとそこは、前にみんなで魔物を倒したあの森の中だった。

 自分の周りにはスルマや、スクヨ、ラスレやクルメが眠っていた。きっと看病していてくれたのだろう。

  

 総助は周りを少し歩き、東側の崖で立ち止まった。まだ朝というには暗く、また夜というには太陽の気配がある空を見て、このまま崖から落ち重力に身を任せ、そんなことを考えていた。


 「にげちまうのか?」

 総助をまるで止めるかのように現れたのは、やけに現代風のスウェットを着た40くらいの男だった。

 総助は声を聴いた瞬間に気づいた。それが自分がこの世界に来た理由である、蛇の声だと。


 「蛇なのか...何しに来たんだ」

 総助はもう蛇の顔さえ見なかった。


 「逃げちまうのかと思ってさ」

 蛇はますっぐ総助を見たが、総助は崖の方を向き言った。


 「逃げる?そうだな逃げたいのかもな俺は...この罪から。人を殺したという罪から」

 あと一歩踏み出せば崖から落ちる、というところで総助は立ち止った。

 「つくづく俺は最低だな。死のうとしても怖いんだ、あと一歩を踏み出すのが...」


 「三度言うぞ、逃げるのか?」


 「俺は、目の前の笑顔を守るってそう決めたんだ。でもサリから笑顔を奪ったのは俺だったんだッ」

 総助はあふれんばかりの涙と後悔を地面に向かって言った。

 「そんな俺に、戦う場所を探すとか、誰かを守るなんてできない。資格が無い」


 蛇は大きなため息をついて、総助の目線に合わせるようにしゃがんで話しかけた。


 「お前が、彼女の弟を手にかけたのは事実だ、それは歪ましようがない。でもな、お前はあのとき人を救ったんだぞ不可抗力ともいえる。」

 蛇は総助の目を見ていた。


 「俺は、生きていてもしょうがないんだ、死ぬことが俺の罰なんだ、だって俺は人を殺したそうだろ?」

 総助は蛇の胸ぐらをつかんで押し倒した。


 「たとえお前がここで死んでも誰も幸せにならないし、死んでもその罪は消えないんだな~これが」

 押し倒されても余裕の表情をしている蛇に、総助は苛立ちを感じていた。

 「死ねば罪から解放されるとでも思っていたのか?甘いな~殺したという事実は、死んでもお前を蝕むぞ」


 「俺は...どうすれば救われるんだ...」

 総助はその場でしりもちをつきながら大粒の涙をこぼした。


 「一生救われないだろうさお前は、罪を償いたいんだったら生き続けなくちゃな」

 少しづつ日の光が差し、ぐちょぐちょな総助の顔が照らされていく。


 「生き続ける?」 

 総助は蛇の言葉に疑問を持った。


 「そうさ、罪を背負って生きていく。これこそが人間賛歌の一つだと俺は思うぜ」

 そう言って日の光が差していくと、蛇の体が透明になっていく。


 「じゃあな総助。お前は生きて、そして掴むのさ、人の業ってやつを」



~~~

 


  総助が戻ると、須流真以外の全員が目を覚ましていた。


 「おはよう、怪我はもう大丈夫?」

 救代は総助に寄り添い、体中を確認した。


 「大丈夫だよ、少し寝て色々整理できたと思う...」

 そんな分かりきった嘘を総助は言った。


 「さて、これからどうするか...とりあえず一度町には戻った方がいいと私は思うけど」

 クルメはそう言い立ち上がった。


 「ラスレ君には、源須流真君の看病をお願いしたい。いいかね?」

 ラスレはこくりとうなずくと、クルメ、救代、総助の三人は町へと向かった。


 総助達は町の門を見て驚愕した。、正面門がくりぬかれた様に空いているさまを見て、その奥に見える壊された街を見て。


 「何が起こっているの?」

 救代はこの光景に恐怖さえ覚えた。


 「おそらく、あの獣人が暴れまわたんだろう」

 クルメはそう言い、町へと入っていった。総助達は唾を飲みクルメの後に続いた。

 

 町の中へ入るとそこが、平穏だったあの町とは思えないようなありさまとなっていた。

 町の人々が、じっと総助達を見る。どこか軽蔑するようなまなざしで。

 噴水のある広場に行くと、何かいい争っているのか騒がしかった。


 「邪魔するよ~どいてどいて~」

 非常識にもクルメは人々を押しのけて、中心で言い争っているを連中を探した。


 言い争っていたのはリーエレ町の町長と、綺麗な服装をした男性だった。


 「一晩のうちに町が壊滅とはエルマベ、やはり末恐ろしい種族だ。だがしかし、このノーレン領の町だとしても復興に金は出せん。こちらにも事情があるのだよ町長」

 男は白いシャツにウエストコートを着用し、何より帽子をかぶっていた。この世界の貴族のノーレン辺境伯だ。


 「困ります。これだけの被害、このままではこれからの冬に備えられません。死者だって出てるんです、

 どうかお恵みいただけないでしょうか、辺境伯。」


 「今動いている事業がある、金はもうないのだ」

 辺境伯がそう突き放すと、やけに目立った三人組を見つけた。総助達だ。


 「辺境伯奴らです。この町に魔物を持ち込んだ連中は」

 町長は総助達を見つけるや否や祖助たちのことを辺境伯に話す。

 総助は反論する元気さえなかった。


 「君たちが...帝国ともつながっているという者たちかね」

 ノーレン辺境伯は疑いのまなざしを向けた。


 「お待ちください、ノーレン卿。この者達は無実でございます」

 そう出てきたのは食堂のアガイだった。アガイは片膝をつき総助達が無実だと擁護した。


 「貴殿はアガイか、しばらく見ないうちに貴殿も老けたな。貴殿が言うことなら信じたいが... 」

 

 その後に十分による説得の末...

 

 「そこまで言うのなら不問とするが...条件がある」 


 「なんだい?」

 クルメは軽く言った。


 「貴様らは二度とリーエレの町を、そしてノーレンの敷居をまたぐな。よいな?」


 周りからは罵声と激昂の声が広がった。

 そんな人々の中から出てきたのは、ケイヤだった。彼の顔ひどくボロボロで泣いた後がかすかに残っていた。


 「ソウスケ...なんでだ?」

 総助が何か分からなそうにしていると、ケイヤが総助に殴りかかる。


 「お前があの魔物を解き放ったからあいつは...お前のせいでもうめちゃくちゃだ。老人どもは外が怖くなって出てこない、町の人もたくさん死んだ、スクヨさんがいれば助かったかもしれない人だっていたんだ。それを全部お前があ」

 徐々に声をあげるとケイヤは、再び総助を殴ろうとこぶしを振りかぶった。しかしそのこぶしは突然止まった。


 「もうやめなケイヤ、この子たちが直接やったわけじゃない。もし奥さんが見ていたら、悲しむよ」

 アガイは総助を起こし、門の前まで連れて行った。


 「アガイさん本当にごめんなさ---」

 総助の謝罪を遮るがごとくアガイは言った。


 「あんたたちのせいじゃない。あたしのせいでもあるから」


 アガイさんはやっぱり話を分かってくれた。そう総助がほっとすると。


 「私が初めに殺しておけばよかった。」

 アガイは悔しそうにそう言った。


 「え?」

  そうか。俺はサリが悪いとは思えない、怒りで我を忘れて町を破壊するはずなんてない。何かがきっと起きたんだ。

 

 総助は何かを決心したかのように、街に背を向け歩いていく。


 俺は必ずサリに会う、そして...


 こうして総助達の戦いは、新たな幕を開けるのであった。

 この先の道は既に...



~~~



 ディジアー法王国の大聖堂で話す、ノーレン辺境伯の姿があった。


 「ですから法王様、私の領地で獣人からの被害にあっているのです。どうにか法王様の指示で、獣人に対する制裁を加えてはいただけないでしょうか?」


 そこには年老い白い礼服を着た法王、ラゲルの姿があった。ラゲルの礼服には様々な装飾がついている

 

 「ならん。獣人の現在の地位はかなり低い、これにさらに制裁を加えるなど、そなたは獣人の虐殺を法王国に依頼するつもりかね?」

 ラゲルは、優しい顔しながら低い声でそう言った。


 「いえ、そういうわけでは...」

 ノーレンは法王を畏怖し縮こまった、しかし大聖堂の入り口から入ってくる影があった。


 「法王様、最近になって増えましたよね~獣人からの被害が。そろそろそんなことも言ってられないと俺は思いますけどね。」

 そう言って現れたのは、白の礼服に真っ白な帽子をかぶった男が現れた。


 「ルドラス司教、貴方までそんなことを...」

 ラゲルは少し悲しそうな顔をして続けた。

 「かつてロスキプを造った、英雄エルマベに顔向けできんではないか」


 「勘違いしないでくれよ法王様、罪を犯したやつを消す。ただそれだけのことだ、現に法王国には俺みたいな戦える司教も多いことだしな」

 男はどこかつかみどころのない、そんな雰囲気だった。


 「ならば、そのものを始末し、直ちに帰ること良いな?」

 ルドラスは「はいはい」と言いその場を後にした。ノーランも後に続いた。


 「なぜ協力してくれるのだ、司教?」

 ノーランの疑問も当然だ、ここディジアー法王国は数多の神を信仰し、その中から選ばれたものを法王とするという王政上獣人の神も信仰してるため、本来ならばこのようなことはしないはずだった。


 「そもそもお前を呼んだのは俺だ、ラゲル様じゃない。俺はな罪を犯す奴が嫌いなんだよ、例えば生きてるだけで罪なやつとかは、本当に嫌いなんだよ」


 「いったい何を?」

 ノーランは理解しきれなかった、これから起こることもこれから始まる乱世さえも。


 「そろそろ、アフィニティの連中も出てくる。そうなりゃ、自ずと目的は果たされる」

 怪しい顔つきでルドラスは言う


 「帝国が?」

 ノーランの顔は徐々に曇り、懐疑のまなざしを向けた。


 「帝国だけじゃない、例の王国や共和国、諸侯同盟まで出てくるかもな。お前さんとこの公国も、な」

 ここでもまた新たに物語が動き出す。

 彼らもまた、この先へと向かうのだった...

この物語の舞台は6つの国と+αです。法王って聖下って周りに言われるらしい

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