定義トンネル仮説と数学体系の重ね合わせによる特異点の解消(前編)
「博士、量子の重ね合わせって、数学ではどう表現するんですか?
日本語の“意味の重ね合わせ”を数式にしてみたいんですけど……全く思いつかなくて」
僕の質問に、博士は手元のマグカップを揺らしながら笑った。
「おや、野心的な取り組みだね。だが、高校の数学では荷が重いかな。
まあ、“どう表現されているか”を調べるのもいいが……少年、自分で定義してみたらどうだ?
どう表現するかを調べるのもいいが、自分で定義してみるのも勉強になるぞ。後で勉強する時も理解度が段違いだぞ。」
「え? 自分で定義していいんですか?」
「少年がどう認識しているかは知らんが、数学は不完全な学問なんだよ。
数学は“定義と公理”の組み合わせでしかない。自由に定義し、それが理屈に合って、公理を満足すればそれが認められる世界だ。
自分の言葉で自由に語れ!」
「ええー」
っと言いつつ、ふと、
(定義か。同じ数でも定義が違えば違う数……あれ? ここにも重ね合わせ? 等しくもあり、等しくない?)
その夜、僕は気づけば夢中でPCに向かっていた。
AIと問答を繰り返し、推敲し、レポートを書き上げた。
気づけば、夜が明けていた。
----- レポート -----
定義トンネル仮説と数学体系の重ね合わせによる特異点の解消
【概要】
本稿では、0.999... と 1 は等しくもあり等しくないという量子論的重ね合わせ的視点から出発し、現代の数学は単一でなく「多層的な数学体系」の重ね合わせとして解釈できることを示す。そしてこの視点を元に、現在の正規化された解釈では「無限大」が発生し、論理的に不完全とされる物理的特異点を、数学体系を跨えた「意味の遷移点」として再定義する。
【基本発想】
現代数学は「定義と公理」に基づく論理系であり、「等しい」かどうかも数学体系内の定義に従う
したがって「0.999... = 1」は定義によって真にも偽にもなりえる
言い換えれば、同じ数表現でも、「意味」が体系により「重ね合わされる」という考え方
これを量子論の重ね合わせ、トポス論、カテゴリ論などで形式化することで、「数の意味状態」を記述できる
【特異点の解釈モデル】
○ 対象: ブラックホールの中心 (r = 0)
現行の数学体系 (A): 連続時空, 微分可能構造
発散: r → 0 になると、密度や曲率が無限大になり、形式が破綻
○ 推定: 別の数学体系 (B) が r=0 付近に存在
例: 雲集空間(離散時空)や p進数域,非可分構造
A の形式が破綻する点で、B の意味構造 (情報密度、状態相同、など)が持続する
【数学的描路】
数学体系 A と B を、個別のトポス (topos) またはカテゴリとして描く
r = 0 を両者に参加する共通境界 (shared boundary)
A 体系内で r → 0 とすると無限大な重要量が生じる
それを、B 体系で定義された別の意味体系への射 (morphism) f: 機能の意味等価 として解釈
これをトンネル効果 (inter-theoretic tunneling) と呼び、「特異点 = 定義の遷移点」と再定義
【結論】
特異点とは、「一つの数学体系の定義では再覧できなくなる点」
しかし、別の数学体系への「定義のトンネル」を通じて、意味を続けることは可能
これは実際には、「数の重ね合わせ」や「意味状態」を記述する方法として、新たな数学の地底を描き出す
【拡張性】
論理学、量子論、文系の言語論や思想との連携
「数学の等式は、体系を持つ」という観点
結果的には、「結合的論理」や「意味の重ね合わせ数学」の基盤になる
天海アキラ