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助けた覚えのない人と覗き

「助けていただきありがとうございました」

丁寧に頭を下げられる。

相手の恰好はダンジョン組合の職員さんが着る制服。

髪の毛を後ろでまとめて動きやすそう。

でもどなた? 知らないよ? 


訝し気な僕を見て職員さんが笑う。

「やっぱり偶然ですよね、分かっていました。

それでも貴方のお陰でこうして生き返れたんです、感謝しています」

再び、頭を下げられた。


なんだか申し訳ない。

口を開こうとした僕の頭の中に声が響く。


(彼女はお前が閉鎖された高千穂ダンジョンの前で立ち尽くしていたときに

 世間話をした人だ。)


あの時のジョギングお姉さん?

メイちゃんナイスフォロー!

アルファターナさん、そんな細かい縁の人までフォローしてくれてたの?


(細かいですか? そのおかげであなたは黒神から入って

私のところにきたのですから彼女は控えめに言って縁結びの神では? )


アルファターナさん、本物がそれを言ってはダメですよね。


(あなたの国の神は同じことを司る者がいっぱいいる上に

おトイレを司る者までいるほどに多種多様で多数だとメイから聞きました。

問題ないのでは? )


…そうなのかな? どうなんだ?


悩んでいると目の前の女性が口を開く。


「あの、困らせてしまったようで……」


慌てて返答する。


「あ、すみません。ぼーっとしてました。

 あの時のジョギングお姉さんですよね、高千穂で会った! 」


そういうと目の前の女性が嬉しそうに微笑んで口の前に手を合わせる。


「そうです! 思い出していただけたんですね。

 一度話しただけだったので覚えてないと思っていました。

 本当にあの時のお兄さんなんですね。随分可愛らしくなって。」


「あー、えー、あー……、そうですね、本当に色々ありまして

 あの本当に亡くなられたんですか? 僕がダンジョンに入った後に? 」


「そうですね。ジョギングしていたらフラッドしていたゴブリンがいまして……」


「襲われた!? 」


「いえ、びっくりして逃げたら、足を滑らせて、その、崖からですね……」

お姉さんの顔が引きつって青ざめる


「あ、ごめんなさい。無神経でした。ノンデリでした!」

慌てて頭を下げる。


「ちなみに私はスライムに負けました」

僕の横でポーズを取りながら言っている妹よ。

なぜ決め顔なんだ?

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