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結城綾乃と瀬上初音

本日2話目です。

正直、最初の頃は初音ちゃんのことは持て余していた。


なんか軽い感じの話し方の子。


蘇生してくれた人の妹。

多分、私はそのおまけ。


そして……私が死ぬことになった遠因の人。


ダンジョンフラッド。

モンスターとか魔物とか呼ばれているものが外に出てくる現象で発生する理由で

一番有名なのが入り口を塞ぐことだった。

私が崖から落ちたのはドジだけれども彼女がダンジョンに入って遊ばなければ

フラッドは起きなかったのだ。


「蘇生者同士。何かあったら助け合おうか」

後にジェントルビーストという名で呼ばれるようになった人が発案したことで

私たち蘇生者は横の繋がりができた。

今ではかなりの信頼関係ができて割と深い相談などもしている。


「お母さんに会ってみたかった」

「友達に誘われた」

「何かあった時のために4人で行った」

「ちょっと覗くだけだった」

「すぐに帰ってお兄ちゃんとまた来るつもりだった」

「スライムはそばに寄らない限り何もしてこないので大丈夫だと思った」

「2階に入ったらゴブリンがいて怖くてみんなで逃げた」

「私だけ足が遅くて差が開いた」

「上から降ってくるなんて思わなかった」

「生き返った時はお友達を恨もうと思ったけど

 色々あったみたいで何も言えなくなった」


それなりに仲良くなったコミュニティでの話の流れで彼女が話していたことだ。



ダンジョンにおいてスライムは最弱と言われているらしい。

這いずり回ってそばにいるものにとびかかって襲う。

動きはすごく遅い。

倒すのにお手軽なのは事故防止のゴム手袋と

スコップとかシャベルとか言われてる物。大きい方。

傷むみたいで色々と意見がでていた。

事故防止のために2人以上推奨だがそれさえ守れば死ぬことはない。

添えられていた写真は私の知ってる青い可愛いのと違って

アメーバみたいな気持ち悪いものだった。



生き返ってから一年後。

彼女が配信を始めた当初のコメントは本当に酷い物だった。

スライムに殺されたことを揶揄するものが多かったが

八つ当たりに近い物もあった。


根気強く対応していて当初に抱いた印象とは違う強さをみせていた。


「アニキ死んだんじゃねーの? 」


この言葉で荒らされたときの彼女の反応がとても印象に残っている。


「ないない。絶対ない」

「ダンジョン女神ちゃんが不親切で最下層から歩いて帰らなきゃいけなかったとしても

 強くてニューゲームで死ぬような人じゃないよ」

「行きに10年かかったんだし帰りも時間はかかるでしょ」

「あの人ゲーム大好きで効率厨とか言われてたし

 最下層から最短で上がるためのレベル上げとかしてそう」

「上がる階段が分かんなくなって外国とか行ってそう。

 お兄ちゃん外国語出来ないから泣いちゃう」

帰ってくることを確信していた揺らがない返事だった。


彼女を見ていたことがきっかけで就職はダンジョン職員にすることにした。

死因になったフラッドが怖い?

最初はそうだったけど彼女を見ていて分かった。

恐怖は情報を集めて対策することで殺せる。


荒らしがいなくなったころにコラボに誘われたのは彼女がタイミングを図っていたのだろう。

もっと前に誘ってくれてよかったのに。荒らしはゴブリンより怖くない。


配信外で彼女とダンジョンに潜りながら聞いたことがある。

何階を最終目標にするのか。

答えは最下層だった。

続けて潜りながらぽつりぽつりと出てきた返答は以下のようなものだった。


「お母さんが帰ってきて、お兄ちゃんも帰ってくる。

 私もお兄ちゃんもいない時にお父さんしょぼくれてたらしいけど

 今となっては元気すぎるくらい元気になったし不満はないんだ」


「でも何かお願い事ができたときに今から強くなりますじゃダメだしね」


正直意味が分からなかった。

願い事を叶えてもらえるのは一番最初の人だけのはず。


「ダンジョン女神ちゃんは絶対またやるよ」


「ダンジョン作って願い事をかなえてあげるよ。

 クリア者が出たし攻略を共有できるようにしてあげるね」


「かまってかまって私を見て」


「小さい頃にお兄ちゃんに甘えてた私みたい」


「なんてね、同族嫌悪。お兄ちゃんを取られてちょっと嫉妬気味なのです」


この子は私が思っているより深く考えているのかもしれない。

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