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第6話 合格発表

俺は今夜泊まる宿を見つけさっそくチェックインをする。

自分の部屋に行き荷物を置いてすぐにベッドに飛び乗った。


「疲れたーーー」


今日の疲れを吐き出すように叫んだ。

もちろん枕を口元に当てているから周りには聞こえないだろう。

俺は今日あったことを思い出していたら気が付けば寝ていた。

いつも魔物との戦闘で疲労が溜まっているが今日のはまた別の疲れだ。

なんか体力的に疲れたのではなく精神的に疲れた気がする。





目が覚めると空は晴天だった。


「今日が合格発表日か」


俺はそう呟いて合否を確認すべく魔法学院へ向かった。

魔法学院へ行く途中前方にシエラがいるのを確認した。

俺はシエラに声を掛けてみることにする。


「おはようシエラ」


「お、おはよう」


シエラに挨拶すると昨日とは違う様子で挨拶を返してきた。

何か悩み事があるのだろうか。


「………」

「………」


あれ、昨日はシエラから色々話題を振ってくれたのに今日は全く話題を振ってくれない。

気まずい。

この気まずさを打開すべく最強の会話デッキを使うことにした。


「今日天気いいですね」


「そうね。てか、何で敬語?」


会話が終わった。

仕方ない、シエラがずっとこの調子でいるのも嫌だし悩み事を聞いてやるか。


「昨日よりも元気ないけど何か悩み事があるのか?」


俺がそう言うとシエラは淡々と悩み事を話し始めた。


「実は昨日の実技試験で予想以上に周りの子の魔法がすごかったの。それで、私がSクラスに入れるか不安で昨日から寝てないのよ」


なるほど元気がない原因は試験結果の不安だったのか。


「シエラなら大丈夫だと思うけどな」


俺は全く根拠のないことを言う。

仕方がないだろう。

この悩み事は魔法ではどうやっても解決できない。

試験当日なら何とか出来たかも知れないが、今となっては過去のことだ。


「そうね。」


シエラは少し微笑みながら俺に返事をした。

俺とシエラは雑談をしながら一緒に魔法学院に向かった。

魔法学院に到着し2人で合格者の受験番号が書いてある掲示板の場所を目指した。


「確か体育館前だったよな?」


確認のためにシエラに聞いてみる。


「そ、そうよ。」


シエラの緊張が伝わってくる。


なんたってさっきから泣きながら魔法学院から出ていく人がたくさんいるからな。

きっと合格しなかった人達なのだろう。


俺とシエラは掲示板の前に立った。

やばい、俺も緊張してきた。

俺は狙っていたCクラス合格者一覧を見る。


「無い」


そう、そこには俺の受験番号は書かれていなかったのだ。

俺の足は少しずつ震えてきた。


「まさか実技が意外と評価されたのか?」


俺は唐突に自分が世界最強の魔術師だということを思い出した。

やはり洗礼された魔法は隠せないということなのか。

心の中で自己暗示をかけS、A、Bクラスの合格者一覧を見る。


「無い」


額から冷汗が噴き出してきた。

もちろん現在進行形で足も震えている。

せっかくリリアが容姿を変えてくれたというのにチャンスを掴むことが出来なかったのだ。


あ、そういえばD,Eクラス見てなかった。

俺は唐突にそのことを思い出した。

筆記試験はシエラの回答を写したからおそらく満点(魔法基礎以外)、実技も周りの受験生に実力を合わせたから普通くらいだったはずだ。

だが、何かの間違いってことも、、、

そう思い俺はD,Eクラスの合格者一覧を見た。


「あった。」


俺はEクラスで合格していたのだ。


でもなぜEクラスなのだろうか。

まあ、そんなことはどうだっていい。

合格は合格だ。

欲を言えばCクラスで合格したかったけど、この際、受かっていれば100点だ。

俺は自分の合格を確認したのちにシエラの方を見た。


俺がシエラを見た途端「あった」とつぶやいたのが聞こえた。

シエラも合格したのだろう。

それもSクラスで。


「おめでとうシエラ」


「ありがとう」


シエラは元気よくお礼を言ってきた。

不安でいっぱいだったシエラの顔はそれを忘れさせるくらいの笑顔になっていた。


「見てノア私3位でSクラスに合格したの」


「3位?」


よく見るとSクラスにだけ順位が記載されていた。


「知らなかったの?Sクラスだけは順位付けがされるのよ。で、この学院を1位で卒業したら学院の権力を使ってどんな願いでも叶えてくれるらしいわ。」


ほう、そんなシステムまであるのか。


「Sクラスには10人しか入れないんだな。」


俺は独り言のつもりで思ったことを言った。


「いや、毎年3人くらいしか入れないらしいけど今年は異例ね。」


シエラは俺の独り言にも反応してくれた。


「合格者の皆さんは指定の教室に集まって下さい。」


魔法学院の先生と思わしき人物が大声でアナウンスをしていた。


「それじゃあ、また会いましょう。」


「ああ、また。」


俺とシエラは手を振って別れ各々指定された教室に向かった。

ちなみ後で分かったことだが俺がEクラスだったのは魔術基礎が0点だったのが原因らしい。


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