第53話 魔剣祭27
[魔力で見る]を会得したシエラは他の参加者よりも一段上のステージにいる。
本来の魔剣祭であれば優勝を勝ち取ることが出来ただろうが今回は状況が違う。
学園長とセリアその両方との約束を果たすためには俺が優勝しなければならない。
その後も魔剣祭は続き、Bグループの優勝はシエラが勝ち取った。
今日の試合は終了し明日はC,Dグループの試合が始まる。
Cグループでは確かレナが出場する予定だ。
レナのやる気は分からないが多分頃合いをみてバレないようにわざと負けるだろう。
Dグループはマルクが出場すると言っていた。
ジュナのあの成長を見ればマルクも恐らくかなり成長しているはずだ。
魔物討伐の時からマルクはそこそこの実力を持っていたからかなり期待できる。
そして、セリアからの情報によると2代目世界最強の剣士もDグループに入っているそうだ。
明日、一応実力を把握しておくか。
そんなことを考えながら一人帰路をたどる。
宿に到着するとロイドとレインが話していた。
「ノア、どこ行ってたんだ?てか、風邪じゃなかったのかよ」
そういえば風邪を引いたという設定だったな。
完全に忘れていた。
「かなり楽になったから外の風に当たっていた」
「明日は一緒に観戦できそう?」
「勿論!」
明日は俺の試合がないため観戦できるが明後日の言い訳を考えておかなければならない。
流石に風邪を引いたは通用しないだろう。
まあ、明後日の事は明後日考えるとしよう。
「てか、夜飯何食べる?」
「そうだね、普通にその辺の食堂とかで済まそうか?」
夜飯の話になり俺はふと思い出した。
魔剣祭出場者はかなり豪華な飯がバイキング形式で出ているらしい。
費用はもちろん魔剣祭主催者側で。
そう考えると他の出場者が豪華なものを食べる中、同じく出場者である俺は庶民的なものを食べるのは何か腹立つ。
勿論、その辺の食堂の庶民的な味も素晴らしいと思うがやはり、一流のシェフが一流の食材で作った料理を食べてみたいと思うのは当然の事だろう。
ただ、魔剣祭出場者である俺はもちろんその料理を食べる権利はあるが、ロンドとレインはその権利がない。
俺だけ豪華な料理を食べるのはおかしい。
けど、やっぱり他の出場者が豪華な料理を食べる中俺だけ食べれないのは我慢ならない。
そこで俺は何の不正もせずにこの2人をバイキングに連れて行く方法を考え付いた。
「なあ、セリア少し時間良いか?」
「わあぁ!」
俺の脳内にセリアの悲鳴と何かが落ちて割れた音が響き渡る。
「え、え、、」
「落ち着け、俺の通信魔法だ」
「その声は、ノアさんですか?てか、通信魔法って使えるのはごく少数・・・」
「落ち着いたか?」
「ま、まあ。状況は理解しました。で、わざわざ通信魔法まで使用して私に何か用事ですか?まさか、2代目世界最強の剣士の事について何か重要な情報でも!」
「いや、1つ頼みたいことがあるんだが」
「一応聞きますが、話によっては拒否しますよ」
「かなり慎重だな、父親とは大違いだ。」
「そうですね、父の脳は筋肉で出来ていますから。」
「で、頼みっていうのは・・・・・」
「頼みとはそれだけですか?」
俺が夜飯の事を頼むとセリアは拍子抜けしたような声を出した。
「そうだが?」
「わざわざ通信魔法を使用してまでそんなことを私に伝えたのですか?」
「俺にとっては大事なことだ。それに、俺の魔力総量的に通信魔法くらい大したことない。」
通信魔法は無属性魔法であることからかなりの技術が必要なのに加え魔力消費量も尋常ではない。
仮に通信魔法の使用者が居たとしてもせいぜい1分程度が限界だ。
それ以上使うと魔力不足でぶっ倒れる。
「あなたが言った私があなたを侮っているという言葉を今実感しました。確かにあなたなら2代目世界最強の剣士に勝てるかもしれないですね。」
「半信半疑だったのかよ」
「いえ、正直な話、アルディア学園の様に不正でもしないと勝てないと思っていました」
「ひどいな」
「申し訳ありません。お詫びにあなたの頼みを聞き入れます。ご友人とバイキング楽しんでくださいね。」
大会の主催者であるセリアからの承諾も得たことで俺たちは魔剣祭出場者限定のバイキングに入場する権利を手に入れた。
「夜飯の事なんだが、魔剣祭出場者が泊まっているホテルのバイキング、俺たちも行けるらしいぞ。」
「え、何で?」
「なんか、シエラが大会運営に話を通してくれたらしい」
「何だよ、早く言えよ」
そう言いながらロンドは嬉しさのあまり俺の肩に腕を乗せてきた。
「すごいねシエラは。」
「そうだな」
理由づくりが面倒だったためいつも通りシエラの名前を出しておいた。
近い未来にシエラはよく分からないことで2人から礼を言われるだろう。
まあ、それもいつもの事だ。
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