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第52話 魔剣祭25

シエラ視点



秘策であった火と風の混合魔術を容易に防がれてしまった。

絶望が押し寄せてくるのが分かる。

だけど、こんなところで負けていたらSクラス1位になんてなれない。


どうすれば勝てる?


上級魔法?


いや、ダメだ。

上級魔法なんて詠唱に3分以上かかる。

そんな隙を彼女が見逃してくれるはずがない。


打開策を考えている間にも対戦相手の彼女は私に接近し、刀を振るってくる。

避けるので手いっぱいだ。

正直、いつ攻撃が命中してもおかしくない。




そういえば、何で私は彼女の攻撃を避けられているのだろうか?

かれこれ彼女が私に攻撃してきた回数は10回近く。

そのどれも私は間一髪で回避している。


正直刀の軌道は見えていないけど、なぜか避けれている。

彼女がわざと外しているという事はないだろう。

つまり、この私の勘に勝機があるという事。


ノアならきっと答えを知っているはず。

けど、今ここにはノアは居ない。

じゃあ、ノアと過ごした日々を思い出せばいい。


ノアと出会ってもうすぐ半年。

この半年の間にノアは私に魔法とは何なのかを根本から教えてくれた。

さっき発動した火と風の混合魔術もそうだ。

かなり詠唱を省略できたのはノアのおかげ。

私には詠唱を省略するという発想がなかった。

何故なら、無詠唱魔術や詠唱の省略は才能だとこの世界共通の認識だったから。

私含め魔術師は幼いころにそう教えられた。


けど、そういう考えをノアは正してくれた。


そんなノアなら彼女を倒す術を既に教えてくれているはず。

この私の勘の仕組みも。



そういえば、少し前に似たようなことがあったような?

早すぎて見えない相手の攻撃を視認できた記憶。

・・・

そうだ!


[魔力で見る]


対魔人戦でノアが教えてくれたこと。

魔人の攻撃の速度が速すぎて視認できなかった時にノアが言っていた。


この世界にある物は全て魔力を含んでいる。

魔法を使わない剣士だって微量の魔力を持っている。

動体視力で攻撃が見えないのなら、魔力を感知すればいい。


きっと私はそれをあの時以降、無意識にやっていた。

だから、彼女の攻撃を回避することが出来ていた。



結論は出た。

つまり私が彼女に勝つためにはこの[魔力で見る]を出来る限り研ぎ澄ませばいい。

ただ、この[魔力でみる]と言う行為はノアも言っていたように意外と難しい。

ノアに魔力制御をほめられた私ですら難しく感じる。

きっと、常人だと習得までに数年かかる技術なのだろう。

けど、この技術をさらに研ぎ澄ませれば私はさらに高みを目指せる。



この技術を研ぎ澄ませるには極限まで集中すること。

観客の歓声がうるさい。


土魔術で簡易的な耳栓を作った。


聴覚を遮断したら今度は視覚が邪魔に感じてしまった。


私はそっと目を瞑る。


これで、周囲の情報を完全に閉ざした。

極限まで集中できる。



目を瞑ったはずなのになぜか周りが見える。

これが魔力で見るを自分のものにした感覚。

これがノアの普段見ていた世界。


そう思うと少しうれしく感じる。

果てしなく遠くにいるはずのノアに一歩近づいただけなのに。



周囲の魔力を観察すると、一か所だけ膨大な魔力がある。

きっとノアの魔力だろう。

直感で分かった。

普段あまり感じることのできないノアの魔力があれほど膨大だったと今更ながら実感した。


それに比べたら今私が戦っている彼女の魔力は無いに等しい。

まあ、剣士は魔力を使わないから当然と言えるが。


余談だけど、この[魔力で見る]を実践している時、周囲がスローモーションに見える。

原理は分からないけど、この状態なら余裕で彼女の攻撃を避けられている。

目を瞑っているのに。


これなら彼女の攻撃を避けつつ上級魔法を打てる。

他にも初級魔法を直撃させることもできる。


正直もう、負ける未来が見えない。




———————ノア視点————————


シエラが目を瞑ったあたりから確実に動きが変わった。

今まではかろうじて栗花落雪の攻撃を避けていたが、今は危なげなく避けている。


「思い出したか」


「これはノアの入れ知恵かい?」


俺の独り言が聞こえたのか隣にいる学園長がそんなことを聞いてきた。


「まさか。自分で気づいたんじゃないですか?」


「でもさっき、思い出したかって・・・」


「いってないです」


意味のない弁明をするが、認めたら面倒なことになりそうなので一応否定しておく。


そんなことよりも、シエラはまた次のステージに進んだようだ。

魔力で見る、この技術は魔術師が剣士に勝つために必要なものだ。

学生同士の試合ならそんなことはないだろうが、相手が剣士を生業としている物ならその剣筋は基本的に視認することは出来ない。

じゃあ、魔術師はどうすれば良いか?

それは、相手の内に秘められている魔力を見る。

具体的な原理は、自分の魔力を利用し、相手の魔力と共鳴させる。

たったそれだけの事。

まあ、それが難しんだけどな。


この技術を使えば、相手がスローモーションとなって見える。

剣士の光速に近い剣筋を視認し、回避くらいなら出来る。

魔術師にとっては回避出来れば十分だ。

回避し続け、詠唱し上級魔法を打ち込む。


今まさにシエラがやっているように。


「勝者シエラ・ルミナ選手!!」




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