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第5話 実技試験

食堂で昼食をとろうと思い廊下を歩いているとシエラと鉢合わせした。


「また会ったわねノア。筆記試験の調子はどうだったの?」


「まあまあかな」


俺は無難な回答をした。

君の回答を写させてもらったなんて言えないしな。


「そう。私は多分全科目満点でしょうね。」


シエラが自慢げに話してきた。

その言葉を聞いて俺は安心した。


「すごいな、シエラ。実技試験がうまくいったらSクラスに行けるんじゃないか」


「当然よ。私はこの学院をSクラスで卒業するために子供のころから毎日勉強と魔法の訓練をしてきたのだから。」


シエラは俺の目をまっすぐ見ながらそう言ってきた。

シエラと別れて俺は食堂に向かった。

食堂に着いた俺は少し困っていた。


「席がない」


そう、満席だったのだ。

食堂はこんなに広いのに受験生が多いせいで席がすべて埋まってしまっている。

俺は席が空くのを待つことにした。

30分ほど経過したころ食堂に試験官らしき人が入ってきた。


「もうすぐ実技試験が始まるので訓練場に集合してください」


俺は昼食が食べられないのが確定した。

最悪だ。俺はそんなことを思いつつ訓練場に向かった。

訓練場について10分ほど経過した時、強面の試験官が受験生の前に立った。


「これより実技試験を始める。実技試験の内容は最初に魔力量をこの水晶玉で測る。そのあとに自分が得意な攻撃魔法を俺たちの前で実演してもらう。」


なるほど、魔力量の測定と攻撃魔法の実演か。

攻撃魔法の実演はともかく魔力量測定はやばいな。

俺の魔力量はほぼ無限にある。

そのことが知られたら、国にスカウトされてしまう。

それだけは避けなければならない。


俺は解決策を考えつつ試験官の指示に従い受験番号順に並んだ。

魔力量の測定は一人ずつ行うようだ。

何時間かかるんだよ。


一番最初の受験生の魔力量は300だった。

二番目の受験生は260、三番目の受験生は340、そのあとも魔力測定は続いていき大体平均は300前後だということが分かった。

魔力測定が進んでいくとシエラの番になった。


「2000!!!」


試験官が叫んだ。

どうやら異常な数値らしい。

まあ、平均が300前後なら驚くのも無理ないか。

そのあとも魔力測定は進んでいき、とうとう俺の番が回ってきた。


俺はこの学院では強くも弱くもなく普通でありたい。

普通の強さで普通に友達を作り普通に卒業するのが目標だ。

だから俺が目指すのはCクラスだ。


しかし普通に魔力量を測定したら確実にSクラスになるだろう。

最悪、国の軍隊に強制入隊させられるかもしれない。

リリアに出会うまでの俺はその軍隊に所属していた。

だから俺は魔法で試験官の脳を操作した。


「魔力量160」


試験官は隣にいる記録係の人にそう伝えた。

この他人の脳を操る魔法はかなり危険な魔法だ。

失敗すると相手が廃人になってしまう。

もちろん膨大な魔力と緻密な魔力操作が必要だから俺以外にはできないだろうけど。

魔力量160は少なかったかもしれないが筆記テストでかなりいい点数と取っているだろうからこのくらいがちょうどいいだろう。


「魔力量測定試験は終了だ。次は自分の得意な攻撃魔法を実演してもらう。」


試験官がそう言ったとたん目の前の壁に数字が浮かび上がってきた。


「自分の魔力量に一番近い数字の場所に集まれ」


俺は試験官の言う通り一番近い200と書いてある場所に行った。

これはおそらく効率化のためだろう。

魔力測定も何人かに分けてやればよかったのに。

ちなみに魔力測定で数値が異常だったのはシエラのほかにも10人ほど他と比べて高かった奴がいた。

これは今までの入学試験で初めてのことらしく試験官が動揺していた。

とりあえず今は次の試験に集中だ。


魔力量200前後の受験生が集められ、別の訓練場に誘導された。

まあ、この試験は簡単だ。

前の受験生と同じくらいの威力の攻撃魔法をやればいいだけだろう。


「今から一人ずつこの的に攻撃魔法を打ってもらう。」


試験官の指示に従い一人ずつ攻撃魔法を打っていく。

全員魔法を打つ前、詠唱していた。

俺は生まれた時から無詠唱で魔法がつかえていたから忘れていたが普通は詠唱しないと魔法が発動しないんだったな。

俺はそんなことを思いながらほかの受験生の魔法の威力を観察していた。

正直弱い。

まあ、魔力量200前後のグループだからしょうがないと思うけど。

大体のレベルは分かった。


「さて次は俺の番か。」


俺は指定の場所に行き魔法を放つ。


「ウォーターボール」


俺は詠唱して魔法を打った。

俺の手の平から出てきた水の球は的に命中して弾けた。


「完璧だ」


俺は自分で自分をほめた。

俺の前にいたやつと全く同じ威力の魔法を出せたのだ。

これは精密な魔力コントロールをしないと出来ないことだ。

俺が魔力をコントロールせずウォーターボールを打った場合ここにいる人が全員死んでしまう。

これは人の命を救ったといっても過言ではない。

俺の番が終わってから数分待ったら試験官が前に立った。


「これで魔法学院の入学試験のすべてを終了する。合格発表は明日、魔法学院の体育館前に合格者の受験番号が書いた紙が掲示される。それでは解散」


試験官がそう言うと周りの受験生は一斉に帰宅し始めた。

俺も今夜泊まる宿を探すべく魔法学院を出た。



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