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第48話 魔剣祭21

俺の紹介の後に会場に出てきた対戦相手の事を俺は良く知っている。


「対するは剣士学院No2の実力者、ジュナ・アリエル選手。1試合目は実力の差を見せつける形で勝利を収めました。この勝敗が分からないカード、とても興味深い1戦になるはずです!」


ジュナ・アリエル。剣士学院3年Sクラス2位。

魔物討伐の時に共闘した俺の数少ない友人の一人だ。

俺が魔剣祭に出場しようと思った理由の一つはマルクとジュナに再開することだった。

まあ、理由の7割は学園長に脅されたからだけどな。


俺は現在正体を隠すために仮面を付け、偽名まで使っているのでジュナは俺がノア・ルクレアだという事に気づいていない。

試合開始前に握手をするためかなり接近したが、それでも気づかれた様子はない。

もしかしたら俺の事を忘れているのかもしれないという最悪の考えが脳裏をよぎったが、そんなことはないと自分に言い聞かせ納得させる。


握手を交わした後は互いに距離を取り試合開始の合図を待つ。


「開始!」


審判の開始の合図と同時にジュナは俺の視界から姿を消した。

実際には高速で移動し俺の背後を取っている。

常人には気づかないほどの速度だが、今回は相手が悪かった。


俺は即座に背後に防御魔法を展開する。


1秒も経過しないうちにジュナの剣と俺の防御魔法が衝突した音がこの会場に響き渡る。

幸いにも剣は折れていないようだ。

ジュナは状況を即座に理解し、再び高速で移動し俺と距離を取る。

俺はジュナの移動先を予測し、通過地点にファイヤーボールを放つ。


ジュナは態勢が悪いながらもファイヤーボールを2つに切った。

だが、それも織り込み積みだ。

俺はファイヤーボールに細工をしていた。

ジュナによって2つに切られたファイヤーボールはそれぞれ軌道を変えジュナへ前後同時に襲い掛かる。



これで終わりだ。


俺を含めた会場にいる人間がそう思っているが、ジュナは諦めていないようだ。


腰を沈め剣先を静かに移動させる。

前後から同時に襲い掛かるファイヤーボールをジュナの鋭い一閃が引き裂き、炎の断片が四方に弾け飛んだ。



まさかこの攻撃を止められるとは思ってもなく俺は驚きのあまり声を出せなかった。

それはこの戦いを観戦している観客も同じで声援が飛び交っていたにもかかわらずそれが嘘だったかのように静まり返っている。



当の本人は落ち着いた様子で呼吸をゆっくりと行い集中している。



「「「おーー!!」」」


数秒の静けさをなかったことにするかのように観客は大盛り上がりを見せた。


「見ましたか皆さん!これが剣士学院No2の実力者、ジュナ・アリエル選手です」



数か月前のジュナはこのような芸当は出来なかっただろう。

才能と努力、その両方を持っている者は時に大きな進化をする。

正に今俺が目の前に対峙している少女がその進化を成し遂げた。

いや、まだ成長段階だ。ここからさらに進化し、いづれ俺をも超える可能性だってある。


新たな可能性に俺も興奮が収まらない。


ただ、学園長とセリアとの約束もあ勝利を譲ることは出来ない。


俺は無属性魔法を使いジュナの体内にある魔力循環を調整し、疑似的な魔力不足を起こす。

これはレナが使っていた魔法だが使い勝手が良いので俺も真似して使っている。

ジュナは剣士だから魔力不足など関係ないと思うかもしれないが、どんな人間・生物でも魔力不足と言うのは致命的だ。

めまい・頭痛・倦怠感などいろいろな症状が同時に発症する。

気合で乗り切ることは出来なくもないが相当な忍耐力が必要だ。



という事でジュナはその場に膝から崩れ落ちた。


この魔法を使えば必勝と思う人もいるだろう。

だが、そう簡単な話ではない。

相手の魔力を操るという事は自分の魔力の質が相手の魔力質を大きく上回らなければならない。

この大きく上回るとは想像よりも大きいと解釈してくれてよい。


ただ、確かに俺がこの魔法を使うと必勝であるというのはあながち間違っていないのかもしれない。


ジュナは敗北を宣言する気がなさそうで、魔力不足を感じながも剣を握っている。


俺はとどめを刺すためにファイヤーボールを放つ。


ジュナはそのファイヤーボールを先ほどの様に切断しようと試みたが、剣を振る事すら叶わなくそのまま直撃した。


爆炎が収まるとそこには気絶したジュナの姿がある。

見た目は派手だったが、ファイヤーボールの中に治癒魔術も加えたこともありジュナは軽症で済んでいる。


運営の人がジュナをタンカーに乗せて救護室に運ぶのを見届け俺もその場を後にする。



数分時間を潰し俺は仮面を外して救護室へ向かう。

理由はもちろんジュナの容態の確認だ。




救護室へ向かうとジュナはすでに目を覚ましていた。


俺はジュナに近づき声を掛ける。

今は仮面を付けていないのでカリス・エリックではなくノア・ルクレアとしてだ。


「久しぶりだな、ジュナ」





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