第44話 魔剣祭17
俺個人の感想としては非常にどうでもいい。この一言に尽きる。
別にアルシナ帝国がアルディア学園に取り込まれようが、逆にアルディア学園のアーティファクトがアルシナ帝国の物になろうが俺には関係ない。
だが、この話は俺にとってデメリットがない。
なんたって俺は魔剣祭に出場することが決定しているのだから。
ここで俺は学園長との会話を思い返し、一つの疑問を持った。
「なあ、俺が持ってる情報だと、魔剣祭の優勝校は毎年魔法学院か剣士学院の2校だと聞いている。だから、別にアルディア学園の生徒が優勝するなんてことはないんじゃないか?」
「確かに魔剣祭の優勝校は毎年魔法学院か剣士学院でした。しかし、今年のアルディア学園には2代目世界最強の剣士と呼ばれている方が入学したという噂があります。」
「なるほどな、つまり魔法学院の生徒と剣士学院の生徒ではその2代目世界最強の剣士に勝てないと、そう言いたいんだな」
無言で頷くセレア。
セレアの表情、焦りから察するに2代目世界最強の剣士は魔剣祭に出場する生徒の誰よりも強いことが分かる。
「俺なら勝てると思ったのか?その2代目世界最強の剣士に」
「分かりません。でも、お父様を弄ぶほどの実力を持っているノアさんならもしかしたら・・・」
それは、セレアにとっては砂漠で針を見つけるような絶望的な確率だが、1%でも可能性があるならと、しがみついてきたようなものだ。
「まあ、報酬次第だな」
俺は無償で誰でも助けるようなお人よしではない。
「それは、今この場では提示できません。お父様と話し合い、魔剣祭終了後にお渡ししたいと思います。もちろん、この国を代表してそれ相応の対価だと考えてもらって結構です。これではダメですか?」
気丈に振舞いつつも表情には不安を隠せていないセレアを見て少しだけ情が湧いた気がする。
「分かった。その条件で魔剣祭に出場しよう。それと、本当は俺も魔剣祭に出場する予定だったから出場枠を無理して増やさなくてもいいぞ」
その事実を言ったら、セリアはあっけにとられたような表情になった。
「え、あなたの名前は出場者名簿に載っていなかったが・・・」
「あー、それはだな」
そして俺は自分が別人の名義で魔剣祭に出場することを話した。
勿論、詳しい理由は話していないが。
「つまり、私がこのような提案をしなくとも、あなたは魔剣祭に出場していたという事ですか」
俺は無言で頷く。
すると、セリアは怒ったように頬を膨らませる。
まるで小動物を見ているようだ。
かくして俺は何のデメリットもなく、報酬を得る可能性を入手できた。
色々あったが、俺はようやくレイン、ロイドと合流することが出来た。
結局トイレに行くことは叶わなかった。
まあ、それはどうでも良いだろう。
「ノア、トイレ長かったな」
ロイドはそんなマナーに反したことを言う。
レインは呆れているがいつもの事なので特に注意はしない。
「それにしても、国王様はどこに行ったんだろ。ノアがトイレに行くって言ってから国王様もどこかに行ったんだよね。」
国王が俺に剣を振るってきたと言えるはずもなく俺は知らないふりをする。
数分後、国王は何事もなかったかのように俺たちの前に現れた。
それからまた他愛のない話をして、俺たちは城を後にする。
————————————————————————————————————
とうとう今日が魔剣祭当日。
会場は賑わっており、朝から屋台などが大量に出展されてある。
俺たちが少し前に行った祭りよりもさらに規模が大きい。
それほどまでにこの魔剣祭と言うイベントがこの国の一大イベントだという事を示している。
俺は現在、学園長と二人で内密な話をしている。
「ノア、君の魔剣祭での名前はカリス・エリックだ。そして、正体を隠すためにこの仮面を付けておくんだ」
学園長に渡された仮面はこれと言って特徴のない仮面だが、正体を隠すにはぴったりだろう。
「分かりました。」
「まあ、君なら魔剣祭で優勝することくらい造作もないことかもしれないが、一応忠告までにアルディア学園には注意しておいてくれ」
学園長の忠告はおそらく2代目世界最強の剣士の事だろう。
俺は頷き、控室へ足を進める。
ちなみにレインとロイドには体調不良という事を伝え、部屋で休んでることになっている。
2人とも看病するために部屋に残ると言ってくれたが、シエラの応援を優先してくれと軽く断った。
控室には複数の生徒がいる。
勿論その中にはシエラもいる。
まだ、シエラには俺が出場することを伝えていない。
理由としては単純明快。俺が出場することを知れば、優勝を諦めてしまうからだ。
シエラには優勝を目指して全力で戦って、負けて欲しい。
俺の正体を明かすタイミングはシエラが敗北した時だ。
面白ければ評価、ブックマークをお願いします。




