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第42話 魔剣祭15

食事を終え、俺はトイレへ向かっている。

この城はかなり広くトイレに行くだけでも道に迷ってしまう。

そんなわけで、俺は現在迷子中だ。

周囲にいる使用人に聞くのが一番良いと思うが、仕事で忙しそうだ。

それに、これくらい一人で出来ないと世界最強の名が廃れてしまう。


謎のプライドを持ちつつ城の中を散策する。


適当に歩いていると訓練場のような場所に到着した。

そこでは、ガーディアンの人たちが素振りや魔法の訓練をしている。

俺はその光景を微笑ましく思いながら、続けてトイレを探す。


次の瞬間、殺意ではないが何かを感じ、防御魔法を発動する。


カーンと防御魔法と何かがぶつかる音がこの城の中に響き渡る。

後ろを振り返るとアルシナ・ドラリスがいる。

どうやら、国王が俺に攻撃してきた犯人らしい。

その証拠に、国王の手には折れた魔剣が握られている。


「やはりな」


俺はその言葉の意味を一瞬で理解してしまった。

国王は俺の実力に気づいている。

少なくとも学生の域をはるかに超えていることを見破られている。


原因はおそらく、勘だ。

実力がある程度の域に達したものは勘が良い。

それは俺も同じで、何の根拠もないが、目の前にいる人間の実力がある程度分かる。


それでもまだ、国王は俺が世界最強の魔術師であることには気づいていないだろう。

ただ少しだけ強い学生。

恐らくそれが今の国王の考えだ。


「急に何ですか?びっくりしましたよ」


「俺の攻撃を容易く防いでびっくりしただけか…」


純金を身にまとった男に向けたような覇気を俺に出しながら、高らかに笑っている。


「たまたま防げただけです」


「たまたまか。それでも、あの強度の防御魔法は目を見張るものがある。見てみろ、俺の魔剣を。高度で言えばミスリル以上。国宝の魔剣だったんだがな。」


国王は折れた魔剣を嬉しそうに俺に見せてきた。


「一応、俺に攻撃してきた理由を教えていただけますか?」


「そりゃあ、お前の実力を知りたかったからだ」


「で、どうでしたか?俺の実力は」


「想像以上だ。一度俺と手合わせをしてみないか?」


「お断りします」


俺は速攻で断った。

国王と手合わせなんて冗談じゃない。

どれだけ目立つと思っているんだ。


「分かった、お前が勝ったら何でも願いを聞いてやろう」


美味しい話だが、今の俺には特に叶えたい願いなんてない。

という事で・・・


「いや、遠慮しておきます」


そう言ってそそくさとその場から離れようとする。


「待て、国王である俺の頼みを断るのか?」


「それは脅しですか?」


「どうだろうな」


曖昧な返事をされ、俺はため息を付き、しぶしぶ承諾することにした。




国王は俺の事情を察しているのか、誰も居ない会場を設けてくれた。


「ルールは基本何でもありだ。この会場をぶっ壊しても構わない。何なら、俺を殺してもらっても構わない。勝利条件は相手が敗北を宣言することだ」


ルールはシンプルだが、勝利条件が厳しすぎる。

この国王から敗北と言わせるのは少し骨が折れるな。

よって俺がやるべきことは一つだけ。

良い感じのところで敗北を宣言すること。


「ちなみに、お前がわざと敗北宣言したと感じたら、お前の実力を友人に伝えるからな。」



心を読んだかの様に俺の作戦を潰された。


お互い距離を置き、準備を整える。

国王はスペアの魔剣を腰から抜き、構える。

対して俺は魔術師なので、準備は必要ない。


「では、開始」


国王の合図で模擬選が始まる。


さて、どこまで実力を出すか?

ある程度の実力がばれているから、そこまで手加減する必要もない。


とりあえずは様子を伺うか。


数秒の静寂。

国王は俺が攻めてこないと感じたのか、自分から攻めてきた。


地を強く踏み込み、一瞬にして俺との距離を詰める。

国王の力強い第一歩目。

その地面には靴の跡がくっきりと残っている。


どれだけ、強く踏み込めばそんな跡が出来るのやら。

それに、驚きなのが国王は身体強化を使っていない。

つまり、素のフィジカルでこの運動能力と言う事だ。


そう考えている時にも着実と国王の魔剣が俺の首を捉えている。

当たれば即死。

殺気は感じないが寸止めなんて事はこの国王はしないだろう。


俺は校内選でレナが使っていた無属性魔法を国王に発動する。

この魔法は相手の魔力を操り、魔力循環を鈍らせ、疑似的に魔力不足を起こす魔法だ。

デメリットとして自分の魔力の質が相手をかなり上回っていないと相手の魔力が操れないことが上げられるが、正直俺には関係ない。

俺よりも魔力の質が上の人間なんてこの世に存在しないからだ。

多分。おそらく。


思惑通り国王は魔力不足を感じたのか、俺の目の前でふらつき、やがて膝から崩れ落ちた。


だが、これで模擬選が終わったわけではない。

国王が敗北を宣言しなければ終われない。


「どうします?もう、実践なら死んでますよ」


普段こんなことを言ったら不敬罪で死刑になっているが、この勝負を挑んできたのは国王だ。

きっと許してくれる。


「実践ならな、だがこれは実践じゃない。敗北宣言をするまで俺は負けない」


意識を保つのもやっとなはずなのにそんな強がりを言った。







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