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第22話 魔物討伐11

「ありえない・・・」


ガビルは自分の部下10人がたった4人の学生に完敗した現実を受け止められず膝から崩れ落ちた。


「これで、この学生らがゴーレムを倒したというのも信じられますね。」


「そうだな。」


少し遠いが副隊長の爽やかな声と軍隊長のいかつい声が聞こえた。

どうやら俺たちの無罪は証明されたらしい。

やっと学院に帰れる。

ふと、マルクとジュナを見るとかなり疲れているように見える。

まあ、あれだけ動き回れば剣士とはいえ体力面でかなり無理をしたのだろう。

仕方ない。

俺はマルクとジュナに近づき、さり気なく回復魔法を掛けた。

これで少し楽になるだろう。


「面白い試合だったぞ。これでお前らが本当にゴーレムを討伐したと証明された。」


副隊長との話し合いが終わったのか軍隊長が俺たちのもとにやってきた。

その場に座っていたマルクとジュナは疲れが残っているだろうに軍隊長が来た途端立ち上がった。


「ありがとうございます。自分たちも良い経験になりました。」


無理やりやらされた模擬戦に対しても不満の声を漏らすことなくやりきったマルクはなんと感謝の言葉まで言い始めた。

これが本心なのかそれとも軍隊長に対する評価のためなのかは定かではないが、とりあえずは今も不満の顔をしている俺よりかはましだろう。


俺の不満の顔が伝わったのか軍隊長は俺を少しだけ睨んだ気がする。


「ああ、これからも精進してくれ。あと副隊長からの話がある。」


「皆さん、お疲れさまでした。あなた達が学生とは思えないほどの実力で少し鳥肌が立っています。マルクとジュナさんはもちろんすごかったのですが特に終盤シエラさんが見せた防御魔法には驚かされました。まさか、学生があの速度の魔法を認識できるなんて・・・。話が少し変わりますが、私と軍隊長は皆さんが卒業後に我らザトム軍に入隊してほしいと考えています。皆さんなら普通に入隊試験を突破できると思いますが、今回の推薦は入隊して数日研修したら即座に中隊長に昇格というものです。このことは両学院の学院長に伝えるので前向きな検討をよろしくお願いします。私からは以上です。」


副隊長の言葉を聞いて3人は素直に喜んでいる。

まあ、ほとんどの学生の憧れのザトム軍の推薦がもらえたんだ、喜ぶのも当然か。


「「「ありがとうございます」」」


3人は一斉にお礼を言った。

俺にとってはザトム軍の推薦なんてどうでも良いのだが。


「それじゃあ、皆さんをそれぞれの学院に送り届ける馬車を用意してあるので剣士学院のお二人はそこにいる案内役の指示に従ってください。今回は本当にありがとうございました。」


二人は案内役のもとに行く前に俺たちと挨拶をする。


「ノア、シエラ今回はありがとな。ゴーレムの討伐はもちろん模擬戦でもお前たちが居なければ勝つことが出来なかった。」


そういってマルクは俺たちに握手を求めてきた。


「それはこっちのセリフだ。二人の火力が無ければ勝つことが出来なかった。それに短い間だったけど楽しかった。ありがとう。」


そういって俺は差し出されたマルクの手を握った。



「ジュナもありがとな」


俺はジュナにもお礼を言い握手を求める。

ジュナは俺の手を剣士の力とは思えないほどやさしく握って「ありがとう、私も楽しかった」と小さい声で言った。

シエラも二人と別れの挨拶を済ませたようだ。


「じゃあ、次は魔剣祭まけんさいで会おう」


マルクが言う魔剣祭に聞き覚えは無いがとりあえずまた会えるのだろう。

その後マルクとジュナは案内役の人に連れられ馬車に乗り剣士学院に帰った。

あとは俺たちも帰るだけか。


「じゃあ、シエラさんもそこに案内役が待機しているので指示に従ってください」


副団長がシエラにマルクとジュナと同様の指示を出したがそこに俺の名前が無い。


「あの、俺は?」


恐る恐る聞いてみると軍隊長から少しだけ不吉な笑みを感じた。


「ノアさんは軍隊長から話があるという事なので少しだけ待っていてもらいます。申し訳ありませんがシエラさんもノアさんが戻るまで馬車で待っていてください。」


シエラが案内役に連れられその姿が見えなくなった瞬間軍隊長から話しかけられた。


「模擬戦、見事だった」


俺の知っている軍隊長からは聞いたことのないような素直な誉め言葉が俺の耳に入る。

何か裏がありそうで逆に怖い。


「そうですか、でも勝てたのは三人のおかげです。俺は特別何もやってませんよ」


「ほー。でも、俺はお前が居なければあの模擬戦には勝利していなかったと思う。確かに一見マルクやジュナそれにあの防御魔法を見せたシエラが活躍したように見えるが、一番の功労者はお前だろ。」


軍隊長は俺の実力にどれほど気づいているか分からないが俺がバレないように場をコントロールして勝利に貢献していたことに気が付いているらしい。

だが、認めるわけにはいかない。


「何を言っているのかわかりませんね。俺は相手の足止めをしていただけです」


「じゃあ、俺の勘違いということにしておこう。」


「そうしてもらえると助かります。」


これで、俺たちの静かな探り合いに幕が閉じた。


「ノアさん、私からも一つ良いですか。」


軍隊長との探り合いが終わったと思いきや今度は副隊長らしい。

だが、俺は副隊長に好印象を持っているので質問に答えることにする。

こういう時に普段の好感度が出るんだよな。


「俺に答えられる範囲であれば」


「ありがとうございます。では、ノアさんは世界最強の魔術師が現在何処にいるかご存じですか。」


副隊長の質問であれば何でも答えるつもりだったがこの質問はさすがに答えられないな。


「分かりません」


そういって俺はシエラが待っている馬車に向かった。


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