第6話 イマガ王国へ
本日2回目の投稿です。お読みいただければ幸いです。
拙者はイマガ王国から王のもとに訪れるように依頼された。
タッカーに相談したところ、「行かないわけにはいかないでしょう。とりあえず、今回領主として認めてもらったお礼として、貢ぎ物をもって、挨拶してきてください。でも、役目が終わったら、すぐに戻ってきてください。いま、殿が殺されたらホリーコは解体してしまいます」と苦虫をつぶしたような顔で言った。
拙者は何人かの兵士ととともにイマガ王国のスンプ―に向かった。
「スンプ―の街は大変にぎやからしいですぜ。領主様」ミーツが言った。彼はホリーコでの戦の折、最初に声を上げた男で、いまでは拙者の側で警護の仕事をしていた。
「そうらしいな。くれぐれも羽目を外しすぎて町で騒ぎを起こすなよ」そう拙者はくぎを刺した。
「わかってますって。何せ俺たちは何かあった時、命に代えて領主様をイズ―に連れて帰らなくちゃならないんですから」
彼らの役目は、いざというとき、拙者を逃がすために命を懸けることだった。
彼らは、元負傷兵で、アタミに送られてきた者達だったが、鉄砲の使用方法を学び、再び軍人として志願した者達だった。みな、一度は死んだ命だと言って、拙者の命令で命を捨てる覚悟のできた強者たちであった。
スンプ―の街はとにかくにぎやかで、大きな町だった。
スンプ―のイマガ屋敷で、領主であるヨシート・イマガと会った。
「はるばるご苦労だったね。クトー殿、私が、ヨシート・イマガだよ」そう言って顔を出したのは、30代ぐらいの若い男であった。
「この度は私目のホリーコ伯継承を認めていただきありがとうございます。わずかばかりですが、お礼の品をお持ちしました。ご笑納いただけますとありがたいです」
「ああ、気遣いかたじけないね。だが、一つ問題があるんだよ」ヨシート殿は困った顔をしていた。
さて、本題だ。何が出てくるだろうか?
「今回、ホリーコ伯とヌマズ領主の双方を認めたが、臣下の中には反対する者がいてね」ヨシートは切り出した。
「外国の男爵をホリーコやヌマズ領主に認めるのはいかがなものかというわけで、私に苦言を言ってくるものもいるわけだよ。まあ、私はそんなこと気にしないが、臣下の言うことには耳を傾ける必要があるよね」
「さようでございますか」いよいよ本筋だ。
「どうだろう、私のもとで一度参陣してはいただけないかな」
「具体的にはどのように」
「おーい、地図を持ってきてくれ」そうヨシート殿は言うと、イマガ王国とカイ王国が大きく書かれた地図を持ってきてくれた。
「我が国とカイ王国は毎年のように戦っているんだ。と言っても、進攻ルートは限られていて、川沿いに北上するルートしかないから、いつもそこから攻めて、撃退されるわけだ。今回、そのルートのほか、カイ王国の一部である南シナノ地方を通って、スワに進出、北からカイ王国の本拠を攻める別動隊を組織することとなったんだ。そこの指揮を任せたい」
「兵力は、いかほどか」拙者が訪ねると、「ホリーコ兵とミカワ地方の兵各1000名動員しようと思っている。ミカワ地方はオットー・マツダが取りまとめることとなっているよ。マツダは副将として、貴君の隊に参加してもらうつもりだ」
「クトー殿よろしくお願いいたします」20歳ぐらいの若い男が拙者に対し、頭を下げてきた。「こちらこそよろしくお願いいたします」こちらも礼儀正しくお辞儀をした。
確か、マツダ殿は人質としてこの地に来て、そのまま本拠地のミカワに帰れず、イマガ王国の武将となった人物と聞いている。
つまり、今回の別動隊は全滅しても惜しくない外様の兵を当てており、実際のところ成功をまったくあてにしていないのだろう。
逆にこの別動隊のことをカイ王国に情報を流し、兵力の分断を図れれば御の字で、拙者たちが全滅すればこれ幸いと、ミカワとイズ―を直轄地にする気なのではないかと読み取れた。ここの王はなかなか策士のようだ。
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