閉話2 イマガでの談合
とても短いので、20時にもう一話投稿します。お読みいただければ幸いです。
イマガの王都スンプ―にある王の屋敷の一室で、王と重臣立ちが集まり、話をしていた。
「ホリーコ伯が殺されて、新しいホリーコ伯が立ったそうです」重臣の一人が言った。
「ああ、あのくそみたいなやつが治めていた土地だな。いずれは殺されると思ったが、思いのほか早かったな」そう言って、ふと思いついたように聞いた。
「今度の領主はどんな奴だい」現イマガ王モットーが聞いた。
「はい、アシガ王国クーレン男爵の三男で、現在12歳。才気活発にして、大変優秀な者だと聞いております」
「へえ、まだ12歳なんだ。子どもなのにすごいね」
「あと、残虐非道さでは、とても12歳には思えない決断をしております」
「ほう、それはどのようなことだい」
「逆らったもの、逆らいそうなものは、基本皆殺し、老人から赤子まで見境なしで殺したそうです」
「あはは、さすがだね。甘さが全くないわけだ。領主にふさわしいね」そう言って、一笑いした後、ニヤリとしながら「ぜひ会ってみたいね。一度参陣を命じてみるか」
「しかし、独立伯は参陣を拒否できる権利を有しておりますが」
「話の持って行きようだよ。まあ、今度カイ王国との戦で、参陣を依頼してみるか」
「カイ王国ですか」イマガ王国はカイ王国と長年争っており、侵略したり、侵略されたりしていた。
「あの国は、天然の防壁に囲まれて、攻めきれなくて、いつもうやむやで終わっているしね。もしかしたら、そいつが何かのきっかけで、この膠着状態が動き出すかもしれないしね」
そういって、ニヤッと笑って、「古い秩序がその機能を失い、各地がバラバラに動き始めている。我がイマガ家こそ、この混乱を収拾し、新しい秩序を作るにふさわしい存在だ。そいつがどこまで役に立つか試してみようじゃないか」
すでに東方地域を治めていたヤマトアシガ皇帝はその力を失い、各地では実力のあるものがその地域を治め、王を名乗っていた。
イマガ家は、そのヤマトアシガ皇帝の縁戚であり、ヤマトアシガ家の血統が絶えたらイマガ家がその地位を継ぐと言われていた。
現当主、ヨシート・イマガは過酷な相続争いを勝ち抜き、踏襲に上った男で、温和にして冷酷、冷静にして狂気の持ち主と言われていた。
ヨシートはさらに付け加えて言った。
「もし、だめなら使い捨ての的ぐらいにはなるさ。別にそれでもいいけどね。とにかく我々の役に立ってもらおうじゃないか」と言って冷酷な表情で笑った。
家臣たちは背筋を震わせながら、平伏した。
恐ろしい、なんと恐ろしい。まだ12歳の子供を平気で使い捨てにするその判断がすでに狂っている、家臣たちはそう思った。
時代は混乱から戦いの時代へと動き出す。
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