9 不安
母からの魔力を、ミクの魔力庫に保管
言語関係解析継続指示
結構寝た感じがする。
おはようミク。
『おはようございます。マスター』
変わったことは無かったか?
『はい。マスターの肉体形成のスピードが徐々に緩和されて来ています。他には変わりありません』
緩和?と言うと、もうそろそろ産まれてもおかしくはない時期に入ってきたのかもな。
『はい。マスター』
そういえば出産時は、母親だけじゃなく赤ん坊も苦しいとか聞いたことがある。眉唾かもしれないが、その可能性はあるかもな。
ミク、出産時の俺はもしかするとちょっと通常時と違い、冷静でいられない可能性がある。だから、その時の状況全体を分かる範囲で覚えておいてくれ。
『了解しました。マスター』
身体が出来上がってきたのなら、ちょっと動いてみるか。
おぉ。前よりも大分動きやすくなってきたな、
手足を伸ばすと、柔らかい壁の様なものに当たる感覚がある。
『マスター。母体から普段よりもやや大きめの音声が聴こえてきています』
それはきっとあれだな。おなかの赤ちゃんが動いた!的な感じのニュアンスの言葉なのかもしれないな。
それはそうと、もし母親に陣痛が始まったとしたら、すぐに魔力への移送は止めてくれ。
出産時に何かの不都合があっても困るからな。
『了解しました。マスター』
あぁ、それと。産まれる時にミクの魔石は手に握った状態で産まれようと思うんだが、きっと赤ん坊の俺の握力では手から放してしまう可能性が高いと思うんだ。だから、出来るだけ、俺の手の中に納まり続けるようにしていて欲しい。
『はい、マスター。現状私は私の魔石を意識的に動かしたりすることが出来ないのですが、検索の結果、思念等で物質を動かすことに類似した事柄がありましたので、危険のない範囲で試みてみます』
うん。よろしく。
さぁ、近くに迫ったであろう終わりの見えてきた胎児生活。出産に向けて不安がないわけではないが、ゆっくり過ごさせてもらいますか!
と言う事でおやすみ!
『おやすみなさいませ。マスター』