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【書籍5巻3/10発売】愛さないといわれましても~元魔王の伯爵令嬢は生真面目軍人に餌付けをされて幸せになる【つぎラノランクイン】  作者: 豆田 麦
第一章

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43 またおおきくなりましたし、まだまだおおきくなるのです

 馬車から降りると、冷たい風で鼻の奥がつんとしました。

 結婚式が来月にあるので、侯爵夫人(カトリーナ様)――義母上(ははうえ)義父上(ちちうえ)と一緒に王都へいらしてるのです。侍女がいっぱいいるのでお支度もちゃんとできるから、お式と披露宴のドレスはドリューウェットの王都邸(タウンハウス)に届けられることになりました。今日は試着をします。


義母上(ははうえ)!おはようございます!今日はお招きありがとうございます!」

「おはよう。よくきました。体調は――今日も元気でいいわね」

「はい!」


 馬車回しまでお出迎えしてくださった義母上は、礼をとった私に頷いてご挨拶をしてくれます。


「あなた寒くはないの」

「大丈夫です!タバサがあたたかい下着を何枚も「めくらない」はい!」

「――これからもっと寒くなりますからね。タバサのいうことをちゃんと聞いて冷やさないようになさい」


 部屋は暖めてありますから早く行きますよと、すすすすすっと先導してくださいます。タバサの教えてくれたドレスでの早歩きです。私も上手ですけど、義母上もお速い。


「――アビゲイル」

「はい!」

「競わなくていいのよ」

「はい!」




 義父上(ちちうえ)が前に王都にいらしたときは数日で領にお帰りになりました。元々社交のシーズンでもあまり王都に長く滞在することはなかったそうですが、前回はロングハーストのことがあったので特別だったそうです。そして今回も旦那様と私の結婚式があるので特別です。結婚式まで王都にいて、式や披露宴にお呼びする方たちと社交とか色々してくださるって言ってました。


 お二人が王都に到着した日、私は義母上(ははうえ)に聞いたのです。


「カトリーナ様はやきもちしましたか」

「――何の話の続きですか」

「私が義父上(ちちうえ)って呼んだら、カトリーナ様が義父上に怒って喧嘩になったって聞きました!」


 義父上が領地に戻った後、旦那様にお手紙が届きました。アビゲイルは本当に義父上(ちちうえ)と喜んで呼んでいるのか、無理やり言わせられたのではないかって、それでカトリーナ様と義父上が喧嘩になったって。

 私も読んだのですけど、ちょっとよくわかりませんでした。字も文章も私はちゃんと読めます。でも読んでも何故それで喧嘩になるのかがわからなかったのです。旦那様も「何をしてるんだあの二人は」って言ってたから、わからなかったんだと思います。

 一応タバサとイーサンの言う通りに、嫌でも無理やりでもないってお手紙は出しておきました。


 でも私は考えたのです。

 サミュエル様が旦那様に抱っこされたとき、私はやきもちしたらしいです。後から教えてもらいました。私と旦那様は喧嘩しませんでしたけど。


「――カトリーナ様は義父上(ちちうえ)の妻です。なので、私と同じかと思ったのです」

「あなたそれ、あれからずっと考えてたの」

「ときどきです!」


 義母上は、真っ赤になったお顔を扇にくっつけてしばらくの間笑ってました。

 それから、ふぅって息を吐いて、あなたは義母というものに嫌な思いしかしていないからと思ったのだけどって、ちょっとまたよくわからないことを呟きました。

 義母ってロングハーストの義母でしょうか。義母上はサーモン・ジャーキーくれるし全然違います。


「そうね、ええ、やきもちだったかもしれないわね。あなたが嫌でなければ……ああ、いいえ、アビゲイル、私も母と呼んでくれたらうれしいわ」


 こうしてカトリーナ様を義母上ははうえと呼んでいいことになったのです。旦那様と同じが増えました。




「……ねえ、サイズ測ったのいつだったかしら」

「ドリューウェットから帰ってきてすぐです!」


 四着目のドレスを試着しています。これは両肩が全部出ています。プリンセスラインてデザイナーさんは言ってました。お胸から裾まで空色がどんどん濃くなって夜空色になります。それに金色の刺繍がはいったレースがかぶさってるのです。肩が寒いからってふわふわのショールをかけるから、両手をぴって横に伸ばしました。


「ジャストサイズね……ねえ、あなた本当にきちんとタバサの言う通りにちゃんと食べてるんでしょうね」

「いつも全部きれいに食べられます」


 本当はときどきもうちょっと食べられるんじゃないかと思うのですが、タバサのいうこと聞かないとおなかいたくなりますので。

 デザイナーさんとお針子さんが、タバサが指示したとおりに大きめにつくったって義母上に教えたら、さすがねって頷かれてました。


「――あらあらあらまあ、それでもちょっとお胸がきつくおなりですね。大丈夫ですよ。合わせられる程度ですから」

「そう、よかったわ」


 義母上はもう一度満足げに頷きます。そしておつきの侍女に目配せをすると、さっと丸っこい陶器が差し出されました。すごい。どこからだしてきましたか。まるでうちの家令のイーサンみたいです。


「もう少しがんばりなさい――はい」


 陶器から真っ赤で丸いお菓子をひとつつまんで、口に入れてくれました。あ!不思議なかんじ!さくっとでもなくてしっとりしてるけど、歯にくっつくようなくっつかないような感じです。中に甘酸っぱい――。


「苺!苺の味します!赤いですし!」

「マカロンですって。最近流行ってるそうよ。昨日出席したお茶会で教わってね」

「美味しいです!」

「ほら、もうちょっとだけ首まっすぐ!」

「はい!」


 お茶会では色々な新しいお菓子とか教えてもらえるそうです。お茶会すごい。


いよいよギブです!明日は更新おやすみしますよ!多分明後日は更新できるはず多分!

無理だったらしあさって!

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― 新着の感想 ―
目頭が熱くなりました。本当に素敵な作品で大好きです。
[良い点] >「競わなくていいのよ」 文章力と言って良いのか判りませんが、前文とこのセリフだけでアビーが何をしたのかが目に浮かぶのが凄い。
[良い点] 「競わなくていいのよ」 ここ好きです。 義母上とどんどん本物の親子のようになってきましたね [一言] 最初から読み直しています(3週目)
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