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魔王娘の護衛に配属された!??  作者: うなぎ昇再
第6章 模合の休日
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第47話 別世界の妹ちゃん

 互いに椅子に座って向き合うと、透明なドッヂボールサイズの球体に手を翳し始める。


 「妹ちゃんの名前は何ていうの?」


 「麗亡ですよ、尋奈辺麗亡」


 「なるほど、、漢字はどう書くの?」


 「そこまで言う必要あります?読み方だけじゃ駄目なんですか?」


 「質問を質問で返さないの、いいから教えて」


 瞼を狭め訝しげな顔で、早急な返答を求められた。言えない理由も特にないのでそれにすんなり応じる。


 「尋ねるに、奈落に、辺りで尋奈辺。麗しく、亡くなるで麗亡です」


 「そかそか、そっちのイメージねー」 


 名前の一字一句を確認し終えると、目をゆっくり閉じて球体へ何やら擦り込むように両手を這わせる。もしかしてこれだけの情報で現在地を特定できるのか!?思わず期待の眼差しをお姉さんの手元へ向けてしまう。

 が、俺の心を読んだのかすぐに目を開けて注釈にかかる。


 「悪いけど、君が思うような代物じゃないよ」


 「と言いますと?」


 「好きなアプリ入れたり、民法放送見れたり、画面がちっちゃくて見づらい時なんかはプロジェクターの役割を果たして大画面で楽しめたりするんだけどね。指紋認証が厄介なのよ、五本指全部でないと許可してくれないから失敗の数は計り知れないわ」


 「いや、待ってください。それ、新発売の端末機器かなんかだったりします?ガラケーからスマホのモデルチェンジと比べてもかなりレベチなんですが…」


 物理的ボタン押しのハードキーから触れた指から微細な電気を発して反応するタッチパネルとの差には当時驚いたもんだけど。

 端末の形状が長方形から球体になるとか発想がやべぇー、映画も大迫力で楽しめそうだしやべぇー、指紋認証クソ面倒そうで激萎えー。

 あーーこのノリいつまで付き合えばいいんだろうか。ダリぃ。


 「ま、そんなモノないんだけどね!」


 「今すぐ帰っていいですか?」


 「ごめんてば、これからは真面目にやるからさ、怒らない怒らない、一休み一休みっ♪」


 「やる気ゼロじゃないですか」


 「冗談はさておき、唐突だけどこれから君には旅に出てもらう」


 「え、いきなり話のスケールデカくないですか?それ絶対今日中に終わらないヤツですよね?」


 流石に今度のは冗談ではないと信じ、固唾を呑んで次の言葉を待つ。でなかったらとんちのききそうな丸坊主に刈り上げるかんな!?!


 「んや、すっごく楽ちんだよ、妹ちゃんに会って話すだけで完了だから」


 「話すだけって、、それが出来ないから探す方法を探してるじゃ」


 「正確には別世界の彼女に会うの、姿も性格も、それ以外の生命を取り巻く文明も360度変わってるかもだけど心配無用、彼女にあった瞬間にビビビッと直感が知らせてくれるから」


 「なんすかその初恋みたいな反応は」


 「まあ、一目見ればすぐにわかるよ、君が今、私に心臓ドキドキさせてるのと感覚は似てるかな!」


 わざとらしく頬杖をつき、逆の掌で人差し指を向けてウインクをしてくる。本来ならときめく仕草だけど全く動じない。


 「あんたの想像してる動悸と俺のは断じて別物です。どちらかと言えば次ふざけたらどうしてやろうかなって感情からきてるんでこれは」


 「えぇーー!んもぅーどうしてやろーだなんてぇーエッチなんだからぁー……ハァハァ…」


 「急に息荒くして発情しないでください、変態ですか。それで?その世界に行くにはどうすれば?」


 「あっちの世界に君の魂を飛ばして一時的に器に入れる、これ以上説明してると日が暮れそうだから早速やってみよっか。水晶を両側から抑えて、目を瞑ってイメージしてみて、魂がコップに注がれる様を」


 言われるがままにすると球体から突如、天に一筋光が差し向けられる。少しずつ意識が朦朧とする中、目を開けるとなんと宙へ浮いていた、見下ろせばテーブルに突っ伏す自分の肉体とこちらを見上げたお姉さんが座ったまま手を振っている。


 「妹ちゃんにとって身近な人に憑依すると思うから一人で頑張って!」


 「わかりましたぁーーー!」


 猛スピードで上昇しているせいで既に出入口よりも高い場所まできていた。意識がトぶ瞬間、喉がはち切れるくらいに振り絞る声が筒状の室内で木霊する。


 「今更だけどぉーっ!私のなまえはぁーくろいずみぃーあらきぃーっ!、みょーじはぁーっ真っ黒にぃっ泉の精でぇっ黒泉ぃっ、下の名はぁっー!現れるに黄色でぇっ、現黄ぃっ!よろしくねぇっーーー!!」


 そこで意識は完全にプツリと途絶えた。

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